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#1「山と里のいろどり展」~あるべき場所 求める空間~/百姓一揆

こんにちは。百姓一揆です。

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ふざけてません。

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松山文化伝承館で開催中(8/30現在)の
「山と里のいろどり展」にお邪魔しました。

出羽三山、山形をモチーフにした作品を展示した、
吉田祐子、渡辺綾両氏の企画展です。

両氏どちらも山形県出身ではありません。なぜ山形に?
なぜ庄内、出羽三山に強く惹かれるのか?
気になり、ギャラリートークに参加してみました。
(先月日付を間違えたため、今度こそという腹で)

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距離を保ちつつ、20名ほどのお客さんがいました。
NHK山形やYBCラジオ、荘内日報などでの取材もあったそうで、注目の二人、といった感じです。


お二人のプロフィール

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吉田 祐子 さん
埼玉県出身、東北芸術工科大学大学院こども芸術教育研究領域を卒業後、作品制作をしながら、子どもたちに向けてワークショップなどの活動を行う。現在は天童市在住。

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👆裏の風景まで作品になってしまう、懐が深い👆

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渡辺 綾 さん 

宮城県出身、東北芸術工科大学大学院日本画研究領域を卒業後、「山形食べる通信」「ショウナイスタイル」の制作に携わる。山の絵を多く描いており、修験者として出羽三山へ入った経験もある。

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👆誰もいないときに床に寝そべって見ると面白い👆

本当はもっと近くで、本物を見てほしい。 

9/13まで展示は行われるので、ぜひ生で見てもらいたい。

コロナウイルスの影響を強く受けた芸術分野。仙台での展示予定もあったそうだが立ち消えになった。今回の展示も、やるか、やらないか瀬戸際だったそうだ。
「『自分の活動は不要不急ではないのだ!』と強く言いたい」
という渡辺さんの言葉が強く残る。場所を使わせてもらえることにまず感謝する、人に会えたことにも感謝する。そんな根っこの部分。
吉田さんは、展示だけでなく、庄内、ひいては出羽三山に受け入れてもらったと話す。何かと謙虚さが裏目に出て新しいことをしようとする流れに厳しいときもあるが、継続した者には必ず声をかけてくれる、シャイな庄内人の気風。そこにも愛おしさを感じるという。めちゃくちゃいい人じゃん。

出羽三山に登るため、山伏修行した話、身寄りのない霊のために酒を捧げるホイホイ酒の話、相手が何を言っても「受けたもう!」としか言ってはいけない話、もう全部面白そう。


「取材してもいいですか?」


言っちゃった。答えはYES。やったね。
閉館間際だったため、近くのカフェ「草木舎」さんに場所を変え、インタビューさせてもらうことにした。

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コーヒーの匂いが薫る店内、雰囲気のある佇まい


インタビュー 

山好きのお二人なので、「多分山のどこかだろうな〜」と思いつつ「庄内のここ行っとけ!」ってところありますか?と質問してみた。

(渡辺)まず「困ったら阿部久書店に行け!」って言われてて〜
(吉田)阿部さんは誰でも受け入れてくれるからwあと阿部久書店行くといろんな面白い人に会えるんだよね。面白いってか、濃い人。
(渡辺)寄せてくるねぇ、類友じゃないけど
(吉田)あそこはほんとに本屋の概念が変わる!最初ブックオフみたいな感じだと思ってたんですけど
(百姓)違いますね!
(吉田)the古書だね。創刊して何号かのジャンプとか
前に「どうやって仕入れるんですか」って聞いたら、「庄内は旧家や研究者気質な方が多いから、蔵ごと買い取りに行く」って言ってて
(百姓)「ダンボール200〜300あって大変だったよ〜」って言ってましたもんね…
(吉田)すごい宝が眠ってたりするんだって!どういう顧客がいるんだろうw

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(百姓)place...
(渡辺)え、ばしょですか?やっぱり今井アートギャラリーかな…激推しですねあそこはすご〜い
(百姓)激推しくん…
(渡辺)そう、激推しくん。あそこで私も劇的に変わりましたからね〜庄内暮らしが。

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クリームあんみつ登場。頭をハイにしてくれる

(百姓)すーーーーーーーーーーーっっっ…ハァ
(百姓母)あんみつを嗅ぎすぎだよ…綾さんは、いでは堂からの綾さんしか知らなかった…
(渡辺)そうかもしれませんね、まず、庄内に就職したんですが、自分から刺さりにいかないと、なんにも出会いがないなって、まだ友達もいなくてですね、展覧会見に行ったりとかしましたね。
今井アートギャラリーのどこが面白いかって、まず今井繁三郎の人生が面白くて。あのゆぽかにある絵なんですが、いわゆる月山の絵だけど、なんかこの絵って、いいなって思ってたら、まさかの今井さんで!
あの方は東京で美術雑誌の編集をやっていたんですね。
昔池袋に芸術家村があって、池袋モンパルナスっていうんですけど、そこが空襲で焼け出されてしまって、家族と一緒に庄内に戻ってくるっていう。
やっぱり自分も地方に住んでいながらでも、芸術としてはしっかりやりたいなという思いがあったので…
「東北画は可能か?」の展示も見に来てくださったんですよね?
(百姓)そうっすね。
(渡辺)私は地方でもこんだけやれるぞ!っていう自信を持ちたくて「東北画は可能か?」のチュートリアルに入ったんですよね、やっぱり「都市と地方」の差がすごくあった時代なので…
(百姓母)やっぱりストレートに行くと都市になるんだ。
それでアンチテーゼを打ち出したいみたいな…
(渡辺)そうです。そういう意味で今井さんって鶴岡でアートシーンを作った人なので、庄内イチのスポットは、今井アートギャラリーかなって。

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庄内藩の話、キッズドームSORAIの話

(百姓)庄内藩って、幕府が朱子学を奨励してるときに、それやらないで徂徠学をやってたんですよ。原文ママで中国古典とか学ぼう(合ってるのか?!)ってやつなんですけど、藩の方針として「その人の得意を伸ばす」っていうのがあって。
だからまわりまわって今井さんみたいな人がいるし、その人たちとつながったときがすごい面白くて、自分の場合それに味しめちゃってるっていう…w
(吉田)それこそスイデンテラスの近くにあるキッズドームSORAIもそっからフィーチャーされてて
(百姓母)えー!そうなんだ!空じゃないんですね!
(百姓)そうそう(知らなかったけど)
(吉田)そうそう、やっぱ名前決めるときに、徂徠学っていうのは庄内を作ってきた大事なものだから、ってSORAIになったんだよね。
(百姓&百姓母)すごい。
(百姓)そうなんだ……ってなりますね…
やっぱり求めていくと、面白いことにぶち当たって、徂徠学もやっぱおんなじじゃないですか。自分から学んでいくスタンスっていうか、庄内、求めて学んだり、遊んだりするの結構面白いんじゃないかなって。
(渡辺)たしかにそうだね。
(吉田)庄内は自分でなんかやりたいって思ってる人がいっぱいいて、それが繋がりやすい環境なんだよね。
(百姓母)これが普通だと思ってたけど…普通ではないんだね
(百姓)そうだよ(普通だと思ってたけど)
(渡辺)仙台に戻って絶望したのは、誰かにあったときに、また違う誰かに出会うっていう連鎖が、ないんです。
(吉田)天童もねえ、そういうのなくって、今作りたいと思って活動してる人がいるみたい。
(渡辺)ぽしゅーーーーん↘↘↘↘↘って感じなんです。
(吉田)庄内の出会いの連鎖ってねえ、爆発的なんですよね
(渡辺)バクハツテキ!
(吉田)狭いからもあるかもしれないけど、それだけじゃないんだよね。私も繋がりの仕組みづくりをしたいと思っているんだけど…
(百姓母)考えてることの共通性ってありますか?庄内に流れるなんか…
(百姓)時間とか空間とかね
(吉田)山岳信仰関係も結構あるから…
(渡辺)あの当時まだまだアカウント持ってなかったfacebookを、山伏の方々がガンガン使いこなしてたのが衝撃だったんですよね…
(吉田)ああいう人達って俗世から離れてると思ってたから…
星野さんなんて…
(渡辺)バリッバリ使ってる。

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飛島ツアーの話

(吉田)一緒に羽黒山伏の星野文紘さんと飛島に行ったことがあってですね…
(渡辺)すごかったですねぇ。
(吉田)もう一人岸本先生って民俗学の先生もいっしょにいらっしゃったんですけど、
(渡辺)民俗学からの観点と、山伏からの観点とがあって…
(吉田)いや、濃かったよねえww
(百姓)カルピスの原液そのまま飲むみたいなww
(一同)wwwwwwwww
(吉田)飛島来なよって誘われてたんだけど、その話をしたら星野さんが「俺も行きたいな」と言われて。「なんか飛島って聖地だって聞いて…」って。
星野さん、こう…感じるものがあったみたいで、すごく感動してて!
(吉田)いきなり水ん中入ったんだよねww
「海に入りたい!」って言ってww天気良かったよそんとき。
飛島からだと、鳥海山も何も全部見えるんですよ!
それに星野さんがすごい反応して「スバラシイ!!」って。
(百姓)違う窓から見る景色じゃないですか。秋田から見る鳥海山みたいな。
(吉田)そう。あと飛島って本島以外にも小島がいくつかあって、御積島(おしゃくじま)っていういまだに女人禁制のところがあって…男性陣だけその島に飛び移って
(百姓)ズルいですね。
(吉田)写真を見せてもらったんですけど、中に洞穴があって…中に観音様の壁画みたいのがあって…(君の名は。のほこらみたいな)それがすごかったみたいですね、大コーフンして帰ってきて。
(百姓母)でも女人禁制w
(渡辺)でもやっぱり、入れない雰囲気はありましたね。場所として。入っちゃいけない、犯しちゃいけない部分だなって。 
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違う窓から物を見る

(百姓)物事を違う人の目線で見たいっていうのがあって…
外の目線で見たときに、主観でしか見たことのなかった人が「あ、そうなんだ」って少し心が動くと思うんですよね。
(吉田)疑似体験できるのがいいと私思ってて、まずはその「場」に身を置くことが重要っていうか…感じるものがあると思う、話聞いてるだけじゃわかんないですよね、場に身を置くだけで「なんだこれは…」って。
(渡辺)たしかに。いかないとわかんないわ。

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できること、できないこと

(百姓)庄内の「遊び人マスター」になりたいんですよ!
1つに深くじゃなくて、ちょっとずつツバつけてくみたいなw自分の性質として、興味がすごく移りやすいんですよ。
(吉田)あーでもすごくわかる。私もちょっとずつかじりたいw 
最初は「一個を極める人カッコいいな」って思ってたんだけど、大学入ってから「自分は一個を貫くのは難しいな…」って。そこに引け目を感じてたんですけど…
(百姓)作品をつくってても、そう思うんですね?
(吉田)常に思ってますね。
(渡辺)そうなんですか…?そんな…
(吉田)いいとこ取りでもいいんだけど、やっぱ自分のやれることって限られてるじゃないですか。そしたらできる人に助けを求めて、できたらいいのかなって。
(百姓母)振り方上手になれば…
(百姓)紹介人みたいなね!

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地元と可能性

(百姓)自分リーダーには向いてないと思ってて…小学校の時の児童会長蹴られてるんですよw
(百姓一揆は小学生時代、誰も立候補しなかった児童会長に立候補し、何故か無効となり、副会長となっている)
(百姓)最近は、こう… チームのバックアップみたいな立ち位置が向いてるんじゃないかって。
(吉田)助っ人タイプっていうかね。まだこの年で決めつけちゃうのはもったいないと思うけど…
やってみて、リーダー向きの人と2番手向きの人っていますよね。
(渡辺)サブっていうのは本当にサブなんじゃなくて、「サブ」っていう役職なんだよね。後ろを任せられる人っていうかね〜。私サブのほうが好きですね〜。「管理職より、現場で働きたい!」みたいな…
(百姓)プレイヤーがいいってことですよね。
自分の年代って「私はどこに行こうか」みたいなものの過渡期だと思うんですね。みんなに「いろんな人がいるよ、いろんな可能性があるよ」って言いたかったので…
(百姓母)これもあって、あれもいい、みたいな
でも庄内の県外就職率ってすごく高いですよね。
(渡辺)ショウナイスタイルを作ってたときもそこはすごく難しくて…
でも取材する人ってUターンの方とかもいらっしゃるから、一回外に出たことによって、自分の居場所を確認することもできるし。
ただ、高校生のときに「こういうことも戻ってくればできるのか」っていう可能性は提示しておくべきですよね。
(吉田)都会で力をつけて、地元で頑張りたい!とかさ。旅立つことも重要なんだよね。
(百姓)庄内の持ってる基礎だけがいいものであればよくて。わざわざ囲いこむ必要もないんですよね。「戻ってきてもいいんだよ」って。そういう情報を発信していきたいですね。

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自分の考えだけでは至らないところもある。

それは往々にしてあることだけれど、今回はビジュアル面、トーク面でも見たことのない景色が見えたと思う。パーン!って。

私達はまだ霞の中にいるが、少し手で払いのけるだけでも気づいてくれる人がたくさんいる、もっと言うなら霧払をする風車は、常に身近にいるということ。そこに気づけたインタビューだった。ありがたいね。

今回一番伝えたいことは


・自分で求めていく庄内は
こんなにも面白い!
・自分以外の思考を取り入れると、
主観の窓、その枠幅も大きくなる!

ってことですかね。まだ全てわかったわけではありませんが。
少し心残りなのが、あんまり山について聞けなかったこと、百聞は一見にしかずということで、庄内町民なのに月山に登っていない男、百姓一揆。月山、登れるのか?




吉田祐子氏、渡辺綾氏、
インタビュー受けていただきありがとうございました。

「山と里のいろどり展」は9/13まで松山文化伝承館で開催されています(終了しています)。両氏が滞在している日もあるようなので、お誘い合わせの上、是非足を運んでみてください。

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ライター紹介

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百姓一揆:羽黒高校3年/鶴岡、酒田でDJとして活動/庄内町在住/空洞論者
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私達ショウナイユースプロジェクトは、仲間が足りません。
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