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ドラマ感想『ブラッシュアップライフ』

少し前に巷で大絶賛されていましたが、僕もようやっとその気持ちがわかりました。バカリズムさん脚本『ブラッシュアップライフ』ネタバレありで語ります。

完璧と思わず言ってしまいたくなるほど、綺麗に風呂敷を広げて、綺麗に畳んで帰って行きましたね。最初から最後まで楽しませていただきました。

まずは会話。このドラマの根幹を担っていると言っても過言ではないパーツです。主人公麻美と幼馴染の二人の会話にはじまり、あらゆる場面での会話が、全てリズムよく、面白く、現実的に感じられるました。すごく調子がいい時の友人との会話をずっと続けているみたいな感覚がありました。

次に雰囲気。次の展開を期待させるギミックはありますが、不必要に怖がらせたり、不吉な音楽をわざと流したりすることがなく、安定した状態で見ることができました。結構ショッキングな展開も実はあるんですが、ショッキングなことや残酷なことを全面に出してしまった場合、僕はこの物語を普通のお話だと結論付けていたと思います。終始同じような感覚で、場面場面を楽しめる雰囲気を作っていたからこそ、愛着を持って最後まで見れたのだと思います。毎話笑えて、楽しい気持ちと次が気になる気持ちで埋め尽くされていました。

キャラクター。雰囲気にも密接に関わる要素ですが、麻美もそうですし、大抵の登場人物が好きになります。それぞれに長所短所があって人間らしいですが、決して悪人ではありません。タイミングやすれ違いで嫌な奴に見えることもありますが、どんどんブラッシュアップされていく中で、皆が大好きになります。最初は才能もないろくでなしだと思っていた福ちゃんが、どんな結果になっても毎日をなんだかんだ楽しく生きていて、毎度ポテトをサービスしてくれる人だとわかった後は、愛おしく思えてきました。麻美も凄いですね。本人は考えてないと思いますが、どんな展開になっても自暴自棄になることなく、見ている側からすると楽しんでいるようにすらみえる、ナチュラルなポジティブ人間という気がして、応援していましたし、彼女の言動と考えには何度も笑わせてもらいました。

友情。この物語は、友情の物語でしたね。SF要素があったり、考察ドラマと言われたりしていましたが、終わってみれば、四人の友情、ひいては同期との友情を全面に押し出した、小さな温かい物語でした。九話にて、麻美とまりりんが、みーぽんたちをお茶に誘って、誘いに乗ってくれて泣きそうになる場面が大好きです。ここで物語の主軸がはっきりとわかりました。同様に、タイペイに降り立った後に、四人が再会する場面も涙です。

伏線自体は、思い返せば伏線とは呼べない程露骨なものが多いです。けれど、回収された時に、あっここがこう繋がるのか! と見事にびっくりさせられるのは、一つ一つの場面が文句なしに面白いからでしょう。さっき言ったように、会話だけで面白いし、麻美の思考回路やツッコミも面白いし、次はどうなるんだろうという前への推進力も凄まじいし、目の前で展開されている物語にのめり込んでしまうので、伏線回収の効果が大きくなっていると思います。要するに、伏線のための物語になっていないんです。自然と、奇跡のように出来事が繋がって大きくなっていく、巨大樹のような作品が完成していたんです。もう、素晴らしい。見ていて爽快感も、興奮も涙も、鳥肌もたって、これ作っている人たち楽しいだろうな、と心から思いました。登場人物も作り手もいきいきとしていました。

これは色々な人と共有して、一緒にはしゃぎたい作品になっています。日本の歴史の変遷も辿れますし、久々に平成ソングを聞いて、早速アップルミュージックで聞き始めています(笑)イケナイ太陽とか、粉雪とか、yah yah yahとか。yah yah yah って平成だったけ?


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