映画感想『踊る大捜査線 THE FINAL 新たなる希望』
ついに最終作に辿り着きました。オープニングのRhythm and policeと、エンディングのLove somebody、それから「レインボーブリッジ封鎖できません」が脳内で変わらずぐるぐると回っています。
1 いい終わり方
青島やその仲間たちに大きな悲劇が訪れることもなく、大きな変化が訪れることもなく、青島の刑事人生が続いていく終わり方でした。僕たちが見れないだけで、これからも青島は青島として存在し続けるのだと思うと、嬉しい気持ちになりました。
予告編や宣伝では、やたら「さらば青島」などど言っていたのでびびり散らかしていたものの、資本主義の権化に騙されていただけのようでしたね。青島は終始ピンピンしていました。
2 原点回帰?
3の体たらくがあったので、このシリーズは一体どこへ向かってしまうのだろうと不安を抱いていましたが、結構楽しめました。
依然として所轄が虐げられる現場で、青島をはじめとする所轄が力を発揮して事件を解決するという展開がはっきりしていたので、シリーズを追っている身としては、また戻ってきたな、と感じました。
見慣れている感じはしますが、見慣れていたとしても面白いですね。僕が好んでいる、大捜査線の「勢い」が感じられます。
レインボーブリッジの時に真矢みきが背負っていたある意味での悪役を、今回は警察の上層部全員で負ってくれていて、序盤中盤はいい意味で最高に腹立たしい気分になり、いざ終盤、室井さんと青島のコンビが結成されてからは爽快感というか、安心感が体が溢れました。
3 とはいえ
言っても真矢みきは方針が違うだけで味方でしたし、これまでの踊る大捜査線は、事件が解決したことに対する達成感がありました。
基本的にいくつかの事件が重なって同時進行で捜査が進んでいくので全員疲労困憊。そこから解放された爽快感も相まって、観ているだけの僕も一仕事終えたような気持ちになります。
しかし今回の事件は、犯人が警察の人間でした。警察がちょっとした出来心で犯罪をする映画などないに等しく、警察が犯罪に手を染める以上、それなりの強いバックグラウンドがあるわけです。
今回もまさにそうで、自分の利権しか考えていない上層部のせいで救える命を救えなかったという過去があるメンバーが、上層部をぶち壊し、正しい組織を作るために犯罪を犯します。
やり方が間違っているとはいえ、そうでもしなければ腐り切った上層部は変えられない、ということは、青島と室井さんに対する彼らの言動で明らかです。
しかし、彼らの決意を持った正義は青島によって妨げられてしまいます。根本の部分では分かり合えそうですが、青島は犯人を逮捕することに正義を持っていますから、まぁそうなってしまいますよね。
となると、残るのは心のモヤモヤです。事件が解決した!大団円だ!と思う気持ちの反面、腐り切ったクズしかいない上層部はきっとまだ居続けると思うと、また、犯罪を犯した警察官たちの気持ちを考えると、無念さが残ります。
とそういえば、現場にバスで突っ込むすみれさん.....あれも無茶苦茶ですね....。
4 ということで
ということで、面白かったですが、なんとかまとまったな、という印象に止まりました。
ただ、踊る大捜査線というシリーズがここまで長く続いたことがとても嬉しく、映画が駄作だろうがなんだろうが、これでよかったのだと思います。
ドラマシリーズと映画を通して、キャラクターとBGMが紡ぐ特有の「勢い」を嫌いになったことはありません。
この長いシリーズを、全部ではないですが追いかけることができていた時間はとても充実していたと思います。