映画感想『ウォンカとチョコレート工場の始まり』
思ったより明るい
夢を追い続けるという話はいいですよね。
ウォンカには元々最高のチョコレートを作る実力があるという点では、実力なく無様にもがいている僕たちとは雲泥の差がありますが、ウォンカが工場建設を阻止しようとする悪漢たちに負けずに、挫折を乗り越えていく様は希望を与えてくれます。
良かったのは、ウォンカが終始穏やかだということです。悪漢共に街を追い出されたり、チョコレートに毒を仕込まれたり、なかなかに酷いことをされますが、ウォンカは決して感情をぶちまけて自暴自棄になることなく、優しさを持ったまま行動をすることができます。僕だったらブチギレて奇行に走るか、落ち込んで地面に四肢を投げ出すでしょう。
冷静なまま、むしろ楽しみを見出しながら荒波を乗り越えていく主人公というのは結構新しい気がしました。現代の夢追い人という印象です。
思ったより際どい
時々、チョコレートがドラッグに見える瞬間がありました。食べたら情緒がおかしくなったり、チョコレートの個数で取引をしたり、依存症になってやめられなくなったり、という描写が多かったからでしょう。
意図的なのかはわかりません。ですが、チョコレートが序盤からドラッグに見え始めると、神父がチョコに依存していること、富裕層と貧困層が明確に分けられていること、企業と公権力が裏で繋がっていること。全てが何か現実問題を皮肉っている感じがして、ある意味ブラックコメディ映画を見ているような、また違った視点から映画を楽しむことができました。
そういった意味では、全く雰囲気は違いますが、ティムバートン版のチャーリーとチョコレート工場に似通った部分を感じたりもしました。
思ったより真っ直ぐ
色々な裏テーマなどはあるのかもしれませんが、観終わった後に残るのはシンプルな楽しさでした。
鮮やかなミュージカル、悪役をちゃんとやっつけるラスト。豊かな色彩、魅力あるキャラクターたち。
そういえば、映画を観て純粋に楽しいな、と思ったのはいつぶりだったのでしょうか....そんなことをふと思う映画でした。