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(涙)友人、僻地へ飛ばされる


ある晩、仕事を終えて疲労困憊の最中にあった中、友人であるデブから晩御飯の誘いが来ました。

ちょうどお腹が空いていたので、いつも通り暇なもう1人の友人サイコパスと一緒にデブと合流し、なじみの中華料理屋へ行きました。

食べかけ
どの店も値上げ

そこで、デブの口から衝撃的な話が飛び出したのです。

なんと、デブの職場が、我らが地元から遥か彼方と離れた極寒の地へと決まったというのです。

話を整理しますと、僕とデブは4月に社会人となりました。しかし、それぞれが働いている会社は全く傾向が違います。僕の会社は、4月から早速最前線で働かされる攻撃的な方針で、その途中で何人か死んでも構わないと思っている節があります。一方デブの会社は、育成を重要視しており、完璧な兵士に仕立て上げてから前線に送り込む方針のため、4月から数ヶ月みっちりと研修を受けていました。

で、デブの話では、研修の終盤で配属が告げられるとのことでした。何をもとに配属が決められるのかはわかりませんが、僕とサイコパスは、恐らく優秀な奴らが近場に配属され、カスみたいな成績の奴らが田舎に飛ばされるだろうと、そう判断していました。

そして話を元に戻し、デブの配属先が、プライバシー尊重のために詳しくは言えませんが、極寒の田舎町へと決まったのです。

デブはこう主張します。優秀だから、この土地を任された。その土地の偉い人に気に入られ、恐らくどうしても来て欲しいと懇願されてこの配属が決まった、と。

馬鹿言え、と僕とサイコパスは思うわけです。彼が”優秀とは程遠い存在“であるということを僕たちはよーくよく知っています。

一方、やたらとタバコで紡ぐコミュニュケーション能力が高く、多くの人と仲良くできる馬鹿故の能力があることは確かなので、意外と懇願されて今回の配属が決まったのは事実に近いのかもしれません。

いやぁしかし、寂しいものですね。友だちが北の地へと飛び立ち、数ヶ月後には凍りついて昇天してしまうと考えると、切ないものがあります。
デブは明るい人間ですから、彼がいないとなると、サイコパスは下へ下へと下降していくだけのどん底の心持ちで日々を暮らしていくことになりますし、僕も23年間連れ添った友人を氷漬けにされると考えると、胸の前で十字架をきりたい気分です。

相変わらず、寒いのが苦手なのにも関わらず、デブ自体は能天気に出発を楽しみにしています。恐らく、寒さ対策とか言って大食いの口実を作り、次会う時には100キロ越えの巨漢となっているに違いありません。

さらば、デブ

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