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犬山という場所③ 結末

あらすじ

犬山に遊びにきた僕と彼女は、案の定寝坊をかまして犬山駅についたのは午後三時過ぎ。犬山城に早く行けばいいのにも関わらず、僕と彼女は周囲の飲食店に誘いこまれるのでした。果たして、犬山城の入場時刻に間に合うことができたのでしょうか。

間に合いませんでした。

こんなに引き延ばしておいてあれですが、ちゃんと間に合いませんでした。写真がないですから、気がついた人もいるかもしれませんね。犬山城の営業時間は五時までですが、最終入場時刻は四時半でした。僕たちは犬山城の門の前で、ただ楽しそうに出てくる客を見つめることしかできなかったのです。

あぁ……。

多少悲しい気持ちにはなりましたが、逆を考えてみると、少し心が安らぎました。というのも、もし犬山城に先に行って、その後に飲食を楽しむ作戦だったなら、城から出た後に残っているのは、軒を閉ざした沈黙のみです。そうなるくらいなら、城を捨てて飲食を楽しんだ現在の方がいいじゃないかと、そういう考えです。
僕たちは飲食優先のカップルです。この選択がベストです。
完全に負け犬の遠吠えですが、吠えさせて下さい。

この上り坂の先に、犬山城への門があります。
さすが城です。簡単にその姿を見せてはくれません。
犬山城はどんな姿形なのでしょうか。想像しながら階段を降りました。

僕たちのために、まだ営業を続けてくれているお店がありました。グーグルマップでは閉店と書かれていたのに、僕たちが暖簾に首を突っ込むと、快く中に入るよう言ってくれたのです。名前は伊勢屋砂おろし。感激しました。

様々なメニューがありますが、メインは蒟蒻料理の店だと口コミには書いてありました。こちらのチゲスープの麺も蒟蒻でできていて、見た目は中華麺ですが、噛んだ瞬間に違いがわかります。歯ごたえが違います。ラーメンのようにスルスルと口の中に入っていくのではなく、弾力と存在感が一口噛むごとに出てくるのが特徴的で美味しかったです。

こちらは名古屋名物きしめんです。温かいきしめんで、御覧の通り、横幅が非常に広い、一反木綿のようですね。こちらも非常に美味しい。僕はきしめんの方が気にいりました。見た目の細さからは感じ取れないようなモチモチ感が口の中で広がり、そこらで食べるきしめんとは一段か二段、格が上だということがわかります。きしめんはうどんと区別がつかないなんて馬鹿にされることもありますが、これを食べた瞬間に、これはきしめんだ、ということがはっきりとわからせられます。他の何物でもないのです。これは、きしめん!

きしめんの後は、甘いものが食べたくなってきました。行くときから気になってはいたのですが、帰り道になってより一層強烈に目を引いてきたお店がこちらのswan's cafe juice standです。このお店もグーグルマップでは閉まっていると書かれていた六時でもどういうわけが店を開けてくれていて、理由はわかりませんが、とても感謝しています。

店主さんがとてつもなく善人のオーラを放っていて、注文しながら気分的には菩薩を目の前にしているようでした。後光がさしているような気さえしました。

そんな菩薩が作って下さるお飲み物がこちらです。左はカフェラテ、カフェモカ(?)で、右が、みかんをたっぷり三つ使った飲むスムージーです。僕は飲むスムージーが大好きでして、もしこのお店が近所にあったら、僕の財布は今頃空になっているだろうという確信があります。みかんそのもののうまみと、スムージーでしか味わえない爽快感が良い具合に合わさって、唯一無二の存在になっていました。
他にも美味しそうなメニューがたくさん書かれていたので、オススメですし、まだ行きたいですね。

以上、犬山城に行かない犬山城への一日旅行でした。犬山城に行かない方が楽しめる、なんて暴論を吐くつもりは一切ありませんけれども、犬山城の周りも粒ぞろいの精鋭たちがいるんだぞ、ということは伝わったのではないかと思います。
昔ながらの雰囲気もありますし、美味しい食事もありますし、そこまで混んでいませんし、名古屋から近いですし、かなりいい条件の観光名所ではないでしょうか。

皆さんもぜひ。

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