マーケティング・マネジメントの聖地巡礼での再確認
学なし、コネなし、一文なしの徒手空拳で大工から起業した私は数年の間にスタッフが増えて、大工の親方から経営者に変わらなければならなくなりました。建築士兼職人なのでモノづくりのことは分かりますが、人を使うのも、売り上げを創るのも全く学んだことがなく、大いに焦って様々な学びの場に足を運びまくりました。実は今もまだ、その学びを実践している旅の途中ですが、20年にも渡る長年の積み重ねで「ここが肝やな」と分かった事も多少なりともあります。今回はそのインサイトを体現された上杉鷹山公が祀られている聖地に職人育成プロジェクトの説明に行ってきました。肝のまとめ記事はこちら、
事業とは作る、売る、回す
事業所とは目的を持って事業を行う所、目的や存在意義を明確にしていることが最も重要であることは間違いありません。その事業は財務や人事といったコーポレート機能が組織体の下支えをします。そして、その事業の本体とは価値あるものをつくる(プロダクト)、その認知を広げ売れる市場を形成する(マーケティング)、提供する商品やサービスの品質と必要な収益、そして働く人の生きがいを担保するように回す(マネジメント)の3つです。職人だった私はプロダクト以外の知識やスキルがびっくりするくらい無くて、起業からまもなく、マーケティングとマネジメントについて必死に学ばなければならない状況になりました。
シンプルで奥深い本質
その当時から数多くの書籍を読んだり、セミナーや研修に足繁く通って自分に足らない部分についてなんとか補おうと必死に学ぶ中で気づいたことがあります。それは、色々な人が様々な切り口で無知な私に教えをくださったのですが、その本質はいつも同じだと言うことと、マーケティングとマネジメントは別物だと思っていたら、実は最も重要な部分は繋がっており、根本は全く同じだったと言うことです。
結局、どんな本を読んでも、誰に話を聴いても同じことを繰り返し目にしたり耳にするばかりでした。ただ、その本質を自分のものにするのは決して簡単ではなく、知っているからと言って簡単に出来る訳ではありません。本質に気づいた時、ゴールの見えない旅が始まったと思いました。
マーケティングは在り方から
私が気づいたマーケティング、マネジメントの共通項であり、その本質とは目的に向き合う「在り方」です。本質的なマーケティングとは単に上手に売り込む(これはセールス)だけでは無く、持続可能性を高められる様に自社独自の市場を形成する活動を指します。取引があった顧客には繰り返し注文を貰えるように信頼を得なければなりませんし、また、新たな顧客を呼び込むには同業他社が出来ていない問題解決を行う必要があります。それらは即ち、顧客の立場に立って物事を考え、心から幸せを願う思考(在り方)がまず初めに無ければなりません。そしてその表出としての行動(やり方)が伴うことで徐々にマーケットが形成されるとの理論にたどり着きました。
人の心に寄り添うのがマネジメント
マネジメントとは、人の配置や段取りを適切に行うと共に、事業の進捗を確認して計画通りの着地へと導くのがその役目です。しかし、ただ人を上手に回すと言うのは、指図や命令を高圧的にもしくはこと細かく行えばうまくいく訳ではありません。トップダウン式で押さえつけるだけでは組織は本来のパフォーマンスを発揮して機能することはなく、皆が目的や行動から生み出す価値を深く理解して、納得して行動しなければ、たとえ表面的な成果は現れたとしても長続きすることもありませんし、本質的な価値(=圧倒的な信頼関係の構築)に結びつくことはありません。ここでもやはり、在り方を整えるのが欠かせないのです。
愛ある在り方
事業に於いて最も重要なのは「信用と信頼」と昔から言われ続けてきました。圧倒的な信頼を得ることが出来れば、仕事の依頼は集まるし、事業に関わる人が熱心に真摯に動いてくれる様になります。当然、事業はうまく回る様になり、企業が目指すべき大きな価値である持続可能性が高まります。結局、全ての根本にあるのは在り方であり、それを見つめ直すとは、相手(顧客や同僚、ステークホルダー等関わる全ての人)の幸せを願うことに他なりません。陳腐な言い回しになってしまいますが要するにマーケティングもマネジメントもインサイトは愛であり、愛ある在り方を体現することに尽きるのです。
最も起業家が少なく、経営者が多い県
リーダーが在り方を真摯に見つめ直し、襟を正して、率先垂範することで経済的な発展を遂げた最も顕著な例が、破綻しかけていた米沢藩を救い、日本一豊かな国と言われるまでに改革を成し遂げた上杉鷹山公の偉業です。国中の隅々まで愛と信頼の輪を広げることで財政を立て直し、民を富ませることに成功したその手腕は、世界的に見ても特筆すべき事例で、かつてアメリカのケネディ大統領が最も尊敬するリーダーとして、世界各国で触れ回ったことで世界中の人が知るところになりました。現在、米沢市は日本で最も経営者の比率が高い街だと言われていますが、何と!新たに起業する人は全国で2番目に少ないらしく、多くの事業所が先代からの事業を受け継いで経済が成り立ち、街が存続しているとの驚異的な事実を今回知りました。米沢には鷹山公の偉業が今も脈々と受け継がれており、まさにマーケティング・マネジメントの聖地だと改めて感じた次第です。経営者は絶対に鷹山公の在り方に学び、上杉神社、松岬神社に参拝に行くべきだと思います。つづく。
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