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勝兵は先ず勝ちて而る後に戦いを求め、敗兵は先ず戦いて而る後に勝を求む

NHKの大河ドラマを観ている。という人も最近はめっきり減って来た様に感じていますが、一年間かけて作られるドラマはそれなりに見応えがあるし、小説を二時間の枠に押し込める映画とはまた違う面白さがあると思ってます。
現在放映中の「どうする?!家康」は後に天下を取って江戸時代には神の君として祀られた徳川家康の人生の選択に焦点を合わせ、毎回、どうする?との問いを残して放映を終えるのはなかなか面白く、弱い家康像に賛否両論ある様ですが、楽しく見ています。

英雄達の生き様に学ぶ

私は子供の頃に歴史小説にどっぷりハマった時期があり、司馬遼太郎や山岡荘八の長編小説を読み漁りました。信長
、秀吉、家康の三傑はもちろんの事、黒田官兵衛や高山右近など、なかなか主役として取り上げられない武将の人生をなぞり、栄光と挫折の間接体験に没入していました。戦国時代の英雄達の生き様に感化されて基本的な価値観を作ったのかも知れないと自分自身思うほど強く影響を受けています。

人生は何度も繰り返せる

本を読む事は間接体験だと教えてくれたのは、当時書店経営を行っていた父親です。本来、一度きりでしかもぶっつけ本番、リハーサル無しの人生を送るしか無いと思っていたのが、まるで輪廻転生を繰り返して数多くの人生を経験するが如く、何度も死んでは生き返ることができるのが、本を読む事の醍醐味だと思っています。その意味では、本でなくても映像でも良いのですが、人の人生を2時間に押し込めるのは少し違和感があり、やっぱり大河ドラマクラスの長編作品にしてもらいたいと思ってしまいます。最近はNetflixで原作の小説よりも細かなエピソードが足されたドラマシリーズがあり、コロナの間に読書の代わりに随分とハマりました。

限られた命の使い方

後世に名を残した人物の人生を追体験してみると、当然ですが大きな気づきや学びを得られます。生と死の物語を読めば自ずと人生を俯瞰して見ることに繋がります。なんのために生きるのか?生きるにあたって大切な事は何か?との問いや示唆を受け取り続けることで安穏に行き当たりばったりの人生になりがちな時間の使い方を省みる機会を得られたのは今振り返って見ると、私の人生にとって非常に大きかったと思います。

勝兵はまず勝つ

人生に於いて大切にすべきこと、人生に意味や意義を感じられるように、社会に生きる上で身につけるべき力等々、誰もが自分の人生を生きるにあたって向き合うべき非常に重要で難しい問いへの答えは経験を積み重ねる事で見えてくると思っています。そしてそれは間違いなく先人の生き様に散りばめられています。今回の大河ドラマでは家康が武田信玄の策にまんまとハマり、滅亡していてもおかしく無い大敗を喫した三方ヶ原の戦が描かれていました。「勝兵は先ず勝ちて而る後に戦いを求め、敗兵は先ず戦いて而る後に勝を求む」との信玄の言葉がずっしりと重みを持って語られました。

人の心はどこにあるのか?

ドラマを観ていれば、家康ももう少し冷静に考えれば信玄に罠に気付くやろうに、と思ってしまいますが、家族や家臣の生死がかかった、一刻の猶予も無い状況では盲目的な判断を下しても致し方無し。その過ちを俯瞰して観れるのは大きい価値があると改めて思わされました。そして、信玄の戦略の真髄とは、弱く臆病で、しかしそれが分かっている賢く若者の家康の心に憑依するが如く、心の在処を観ることだ。との言葉は、大きく変わった現代社会にもそのまま生きている、使われている真理だと気付かされました。

現代に生きる信玄の戦略

基本的な人の営みは1万年前から変わらない。と言われます。行き過ぎだと思うほど経済性が重視される様になった私たちが生きる資本主義社会は、言わば自由競争の弱肉強食の世界です。程度の差はあれ、生き残りを賭けた戦いの真っ只中にあると言っても過言ではありません。そんな厳しい世界を生き残るのに最も重要な能力は人の心の在処を知る力では無いかと私は思っています。武田信玄の真髄こそ、現代に生きる私たちが身につけるべきでは無いかと改めて思った次第。大河ドラマ、意外に勉強になったりもします。

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本質論、原理原則を組み合わせた職人育成を高校生から社会人まで行っています。

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