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USPから意図への転換①

毎月、神戸にある株式会社四方継本社で開催している原理原則を基軸に売り込みを一切なくしても継続できる事業モデルを構築するノーマーケティングの勉強会、継塾は今月、第93回目を迎えました。もうすぐ9年目に突入し、12月16日にはなんと!記念すべき第100回目を迎えることになります。我ながら長い期間、飽きもせずに継続してきたと思いますし、よくネタが持ったものだとも感じます。

脱・マーケティング宣言

9年にも渡る長い期間、毎月、20人から40人程の方が参加され、私も含めて共に学び続ける機会を維持できたことは、流石に私も感慨深いモノがあり、勉強会で取り上げてきたテーマが「人の道」とも言われる原理原則で、3000年以上も前の古から受け継がれてきた普遍の定理だったからこそだと思いますし、元を質せば、社員大工向けのマーケティング実践勉強会としてスタートしましたが、近年、世間でマーケティングという言葉が集客やクロージングのテクニック的な意味合いで頻繁に使われるようになり、原理原則に基づいて信頼をベースに自社独自の市場(マーケット)を作ることだと定義してきた私としては強い違和感を覚えるようになったと共に、小手先のテクニックを教えている場の様な誤解を受けるリスクを感じるようになっていました。また、年末に第100回目の節目を迎えることから、これを機に今一度、勉強会の方向性や在り方を考え直そうと、今年になって試行錯誤を繰り返しておりましたが、最近になって漸くその答えを見出しました。
その答えは脱マーケティング=ノーマーケティングであり、持続可能なビジネスモデルを構築するための勉強会であり、次世代に、有限な地球の環境、安心安全な地域社会、働きがいのある事業所、素晴らしいこの世界を少しでもより良くして継ぐための勉強会と定義を改めたいと思います。仮にサスティナブル・ビジネスモデル研究会とでも呼ぶことにします。

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自分だけからの脱却とはサスティナブル思考

私が起業してからのこの20年間、経営を行う上でいつも思考の根底にあったのは、「自分だけ良けりゃいいのではない。」ってことです。自分だけ幸せになるのではなく、社員も、協力業者さんも、お客さんも良くなる三方良しのビジネスモデルを作りたいと思いましたし、その入り口として、世間一般では3K(キツイ、危険、汚い)で社会的補償が全くなされていない職場と認識されてきた職人を正規雇用して、本人も家族も安心して働ける労働環境を整えました。手前味噌ではありますが、子供の学校の行事や、家族旅行などに有休をとって行ける大工は私からすると信じられないくらいに良い環境だと思い羨ましく感じましたし、そんな安定した状態だからこそ、現場で高いパフォーマンスを発揮して顧客満足に寄与してくれると思っています。そして、私自身が職人の出自ということもあり、同業他社の職人さん、果ては全国の建設職人全てにも、職人という生き方が楽しくやりがいのある、そして豊かな暮らしを手に入れられる誇れる仕事だと胸を張ってもらいたいと思い、全国で職人の未知なる可能性を見出し、才能を開花させる研修事業を立ち上げて講座を開いています。それはとりも直さず、今だけ、金だけ、自分だけ良ければ良いと言う強欲な自由資本主義からの脱却であり、未来に向けて、金銭に変えられない価値を、人様や次世代を担う子供達へ引き継ぎたいという想いでもあります。私が長年主宰してきた私塾の名称を元祖職人起業塾から継塾へと変更したのもそんな思いからであり、持続可能なビジネスモデル、社会を目指すサスティナブル思考に他なりません。そんな観点から、マーケティング塾を改め、サスティナブル塾へと定義を変えることに違和感はないどころか、しっくりくる感じさえあります。

世界の変化に適応する塾

勉強会の方向性を転換したいと思ったのには、近年の外部環境の大きな変化にも大きく影響を受けています。AIやICTテクノロジーの進化、情報革命、そしてパンデミックと世界は今までの延長線上にはなく、全く違う世界へと変わったことを強く感じ、パラダイムが逆転した世界に適応した学びの場に進化を遂げる必要を強く感じていました。スピチュアル系というか、統計学的にというのかは分かりませんが、地の時代から風の時代に変わって、世の中の価値観がひっくり返ったのを認識したのは、新型コロナの影響が大きくありました。メディアは不安を煽るのが商売なのを露骨に感じる様になり、フェイクニュースは誰でも作れるのを知り、事実も正義も区別がつかない、情報を収集しても何が真実か信じられない、ありえないことが次々と起こり、これまでの価値観がすぐにひっくり返る、考え込んでも答えは出ない時代なのだと日々感じられる方も多くいると思います。そんな時代だからこそ、今一度、人間としての在り方を見つめ直す原点回帰、原理原則へのコミットメントでしっかりとした軸を持つことが必要だと感じると共に、時代の潮流を読んで、軽快にピボットを踏むかのように変化に敏感に対応することも重要なのだと思うのです。原理原則への回帰と共に、新しい世界への適応も勉強会の大きなテーマに掲げたいと思います。

意図こそが価値を認められる

最近の継塾のイントロダクションで私が繰り返し伝えているのは意図の重要性です。3人のレンガ職人の寓話で説明される、金のために働く職人と、言われたことを完璧にこなすだけの職人と、人々の幸せを願いながらレンガを積む職人がいたら、100人中全員が3人目の職人に仕事を依頼したいと思う、アレです。善き意図に人は心を動かされ、応援したいと思います。それは人からの信頼を構成する4つの核(意図、誠実さ、力量、結果)の中でも最も重要であり、これが欠ける、もしくは他人から共感されないと、その場凌ぎの売り上げ利益を作ることが出来たとしても、絶対に持続的なビジネスモデルにはなり得ない、コアの部分だと思っています。そして、これまでの世界では、目に見えない意図はあまり重要視されませんでした。デフレ経済の厳しい世界では、どんな気持ちで働いているかよりも、見た目が綺麗、価格が安い、仕事が早い方が価値として認められてきたのが現実としてあったと思います。それが、今、パラダイムが逆転してもう一度、見えないものの価値が見直される様になったと感じています。これまで人間が行ってきたあらゆる仕事がAIやロボットに置き換えられると言われていますが、決して機械には代替することが出来ない、優しい意図を持った思いやりや相手に対する気遣い、臨機応変な対応など、人にしか出来ないことこそ、価値があり、認められる時代がきたと思っています。

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USPから意図へ

先日の継塾のイントロダクションでも、多くの人に共感される意図こそが経済的な付加価値を生み、イノベーションを促進させる例として、ソーシャルバンクとして有名なオランダのトリオドス銀行を取り上げました。同じような金融システムはESG投資という名前で日本でも徐々に認知が広がりつつありますが、ESGとは環境(Environment)社会(Social)企業統治(Governance)の略で、これらに配慮する企業を重視・選別して投資先を市民と環境に有益な組織に限定し、公平で持続可能、人道的な世界を目指している銀行です。最近、イングランドにも支店を展開し、大きな話題になりました。このところ、ヨーロッパでは銀行による預金獲得競争が激化していて、新規口座を作るとキャッシュバックのキャンペーンがあるなど、サービス合戦が繰り広げられているらしいのですが、トリオドス銀行は預金者に対して、そのような特典の付与などは一切なく、意図を示すだけで多くの預金者から支持を集めて莫大な資本が集まっていると言います。ちなみに、持続可能な投資資産の割合をみてみると、ヨーロッパは52.6%、アメリカは38.1%と既にスタンダードになっており、儲かれば良いという新自由主義的な資本を凌駕しつつある様です。それに比べて日本は2.1%と殆ど認知さえされていないのが現実ではありますが、世界がカップリングした今、SDGsに代表される持続可能な社会の実現に向けての取り組みは日本の義務教育にも取り入れられており、日本人の投資に対する意識もヨーロッパのそれに近づいて行くのは時間の問題だと思います。世界は既に意図の価値を認める世に変わっているのです。そして、世界は成熟するに従って、本質が求められる様になる、原理原則を軸とするのは、意外と最先端の世界の変化と符合するのではないかと思っています。次回の継塾は6月16日、テーマはズバリ、脱・USPとしています。同業他社に勝つ強みを磨くのではなく、意図を明確に事業に落とし込む方が今の時代には合っています。興味を持たれた方はお気軽に下記からお申し込みください。ちなみに、無料です。(笑)

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