原理原則の圧倒的な力を使った若者達の卓越 #第93回継塾
私が代表を務める一般社団法人職人起業塾では建築実務者向けの研修やセミナー、経営者向けの人事制度のワークショップの開催、また、社外顧問として運用のサポートなどを行っており、それらはもちろん有償ですが、卒塾生のフォローアップの意味合いも込めて、全国展開の研修事業の元となった私塾を神戸で毎月無料で開催しています。今月で第93回目を迎えるその「継塾」はコロナ蔓延のタイミングでオンラインでも解放、全国から参加できるようになり、今では近畿圏だけではなく、東北から九州まで幅広い地域から多くの方が熱心に参加されています。5月は塾生の一人が先日、30歳の若さで社長に就任した記念に、その彼の未来に向けての事業方針というか、目的とビジョンを熱く語ってもらう場としてみました。同時に長年この塾で学ばれ、実践を継続された方々に原理原則を実践してみての報告会を開催したところ、私としても大いに気付かされることがあったので以下ににシェアしておきます。
マーケティングの定義
毎回、勉強会の冒頭に初参加の方への説明を込めて、継塾の内容を説明するようにしています。もともと、私が代表を務める株式会社四方継の社内勉強会としてスタートしたこの塾では、原理原則に基づいたマーケティング理論を学び実践することを目的にしています。今回で第93回目を迎えて足掛け8年、毎年私が言い続けているのは、成果を求めるならば状態を整える必要があると言うごく当たり前の概念です。マーケティングと言う言葉はこの10年間で非常に一般的に使われるようになり、市場調査からSNSを使っての集客、最近では動画編集や配信方法まで「やり方」を含めで売り上げを作る方法を全て包括した名称として認知されるようになりました。しかし、その語源を紐解くと、マーケティングとは自社独自の市場を構築する行為であり、それは既存顧客から信頼を勝ち取り、継続した取引を叶えることと、同業他社が行っていない社会を良くする問題解決=イノベーションを行い、提案して新規顧客を集めることに他なりません。かつて経営の神様、ドラッガー博士が言ったように、本来のマーケティングとは売り込みをしなくても売り上げを継続できる力を身に付けることであり、それは単なるやり方ではなく、あり方を見直すところから始めるべきものです。今回、私はこの塾が目指すのは一般的なマーケティングを手放して、ノーマーケティングと定義を改めると宣言的な説明を行いました。
成果は状態に由来する
顧客に信頼されるには、信頼される力を身に付けなければならない。他社が行っていない問題解決を行うには、常に最新の情報収集を行い、問題意識を持ち続けなければならない。支持される提案を行うには圧倒的な知識をつけなければならない、高い品質のものづくりを行うには技術を磨かなければならない。共感してもらうには正しい意図を持たなければならない。そして、人を幸せにするには目先の損得に囚われない強い意志を持たねばならない。どれも当然の事ばかりではありますが、自ら積極的に学び、取り組もうと思わなければ身に付かないものばかりであり、そしてそれらは日々地道に積み重ねる習慣の力を利用することによって誰にでも確実に、間違いなく手に入れられるものばかりです。このような、状態を整えることでパフォーマンスを最大化すると言うごく当たり前の理論に地道に取り組むべく、私は参加者へのリマインダー効果を兼ねて8年近くにわたり毎月この塾を開催してきました。長年塾に通われた方は、当然のように自分の内面に向き合い、あり方を見つめ直し、地道な努力を繰り返してこられています。今回の実践発表会はその原理原則に従って学びを、行動を積み重ねることでどのような成果を手にしたかをシェアしてもらう非常に良い機会になりました。
次世代の工務店業界を担う若きリーダー
メインプレゼンテーターを務めてもらった浮村さんは26歳の時に私と出会い、それから熱心に継塾に通われるとともに、私が代表を務める一般社団法人職人起業塾の半年間の研修にも同時に参加された熱心な塾生で、出会った当時は建築業界に足を踏み入れたところで、右も左もわからない、注文建築事業でどのように営業するのかさえわからないと悩んでおりました。しかし、持ち前の素直さと真面目さで熱心に学び続け、情報収集を行い、それをアウトプットすることにより、相当な実力を身に付けて今では自社の数億円の売り上げのほぼすべてを自分の手で作り上げる立派なプレイングマネージャーの経営者となりました。本人曰く、家づくりをする人が最初に取り組むべき資金計画の提案については神戸市内でも屈指の情報量と提案力を持っていると自負しているとの事。それもこれも4年前の私との出会いがきっかけだと非常に嬉しい言葉を口にしてくれました。そして、自社が別事業で製材所と木材卸を行っていることもあり、木の家の素晴らしさを住まい手に伝えるとともに、林業の活性化を含めて地元材の流通を促進できるように山から街を繋ぎ、木材関係、住宅関係の団体を統一し、自分がイニシアチブをとって業界を変えていくのだとぶち上げられました。そのコミットメントを聞いて、私が代表を務めている兵庫県産木材活用の啓蒙団体「ひょうご木づかい王国学校」の代表理事を彼に禅譲することを決め、その場で彼とオンラインで参加してくれていた事務局の池川さんに次回の運営委員会の議題にあげてもらうようにお願いしました。自他ともに認める、まさに次世代を担う未来のリーダーに育ってくれたことを心から嬉しく思った次第です。
圧倒的な進化を遂げる若手大工
浮村さんのメインプレゼンテーションの後、次々にLT(ライトニングトーク)を披露してくれた5名の方々もそれぞれがメインを張っても全く違和感のないレベルの素晴らしい発表を行ってくれました。北九州から熱心に参加してくれている梅谷さんは職人起業塾13期の塾生で、自動車関係の製造業から大工に転身してなんと2年目で注文建築の新築住宅を取り仕切る棟梁となり、3年目の33歳で専務取締役に就任してアグレッシブに業務改善に取り組んでおられます。驚くことに、7年後には代表取締役に就く事が決まっているという脅威の成長を続けている若手大工です。彼は「なんのために家づくりをしているのか?」との本質的な問いを常に持ち続け、現場でのあらゆる作業、施主をはじめ、出入りする職方とのコミュニケーションの場でその問いについての解を伝え続けることで、現場全体、事業そのものを大きく変えられたと自負していました。在り方を見つめ直し、良いと思うことをそのまま伝え、行動することで周りへの影響力を拡大し続けてきたようで、30代の若さで既に事業所を引っ張っていくリーダーになっています。私が目指し、提唱してきた大工という職業の働きかたが生み出す圧倒的な付加価値を具現化してくれています。私としては先の浮村さんと並んで、自社、地域だけではなく、全国的な業界全体のリーダーとなって活躍してくれる人物だと大いに期待している大工の一番星です。
カリスマになったMrアベレージ
3人目に登壇頂いたプルデンシャル生命の田中さんは、6年前に私と出会ってその二週間後に一緒に富士山頂に登拝してからずっと熱心に継塾に通い続けてくれているライフプランナーで、出会った当時、「私は学生時代から今もずっと、ミスターアベレージなんです」とこれまで、そこそこ良い人生を送ってきた、しかし、つまらない男なのだと自嘲気味に自己紹介される控えめな好青年でした。しかし、この6年間、コツコツと自己研鑽を続けられてきて、今では生命保険の営業としては世界トップ5%に入る業績を残し続けているだけではなく、トレイルランにチャレンジされるほど身体を鍛えたり、社会貢献の活動に熱心に取り組んだりとライフワークバランスのお手本のような暮らしを過ごしておられます。今や誰もが昔Mrアベレージ等と呼ばれていたなど想像もつかないオーラを纏ったカリスマライフプランナーになられました。その田中さん曰く、以前は血尿が出る程、必死になって営業に回って数字を作っていたが、今は、できる限りなんでも人に貢献することだけを熱心に行っているだけで、自然に目標としている数字をクリアできるようになったとのことで、その秘訣は、読書や専門知識の習得、フィジカルトレーニングなどの状態を整える時間を持つように常に意識してきたからだと語られました。本人も原理原則の圧倒的な力を体感していると言われていましたが、初めて一緒に富士山に登ったとき、下山道で生まれたての子鹿のようにひっくり返っていたフツーの人が、多くの人に尊敬され、憧れられる存在になっているのを改めて感じて、人は変わるものだと痛感させられました。
再現性があるからこそ原理原則と言う也
その他にも、独自の燃焼性能を実現して2年待ちの行列ができている小さな薪ストーブメーカーの西岡さんにより、肩肘はって頑張るのではなく、心身ともにリラックして人生をかみしめて、味わうが如く自分のなすべき事に向き合い、行動することで豊かな人生を手に入れる事ができているという、突き抜けた習慣力を行使して、圧倒的な知識と技術を身に付けられた先にしか見えない世界をご披露いただいたり、4年ほど前から株式会社四方継のスタッフ全員が農業研修に通い続けてお世話になっている農家、キャルファーム神戸の大西さんの、作物を作って販売するだけじゃない、インフラ事業とそしての農業への転換を着実に進められている話、また、元々、新規獲得のため飛び込みのドブ板と言われる営業手法から、原理原則のマーケティング理論を使って数年先までの受注が取れるようなったプレカット営業時代の圧倒的な成果を引っ提げて起業して、自分でも怖いくらいの成果を上げ続けているという中村さんのパラダイム転換の体験談など、詳しく書けばキリがないほど、素晴らしい事例報告が続きました。オーディエンスの皆さんからもまるでオムニバス映画をみているようだと素晴らしいLTの数々に喜びと驚きの声が数多く上がり、通常よりも30分も延長するほど過熱して盛り上がる会になりました。ご登壇頂いた皆様には心から感謝し、厚く御礼を申し上げます。私が本当に嬉しく思ったのは、長年一緒に学び続けた同志達が、同じ理論、同じ概念を持って、それぞれ全く違い分野で、卓越した成果を手に入れられていることで、再現性があるからこそ、原理原則と定義されるのが、遺憾無く発揮されたのを体感できた事です。そしてそれは、誰にでも使える力であり、誰でも確実に人生において求める成果を手にすることができる法則がこの世に存在することを証明してくれたと感じました。彼らが真摯に人生に向き合い、在り方を見つめ直した結果は多くの若者にも勇気を与えてくれたのではないか思います。そして、私自身も、ちっぽけな自分が継続し、コツコツと積み重ねた結果、多くの人の人生に少なからず寄与できたと聞かされて、人生の意義と意味を感じさせて頂きました。ありがとうございました。深謝。
________________
原理原則を実践する塾やってます。
一般社団法人職人起業塾のオフィシャルページとFBページ
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?