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座標軸(在り方)から考えるメリット、デメリットでの判断

現在の私達は間違いなく弱肉強食の欧米型資本主義の枠組みの中で生きています。この世の中の価値の中心は金であり、人の判断基準は目先の損得勘定になってしまっています。そんな世知辛い世界を良いとは思いませんし、本来、人が持つべき基準は損得ではなく善悪であるべきだと思いますが、残念ながらそうはなっていないのが現実です。今、世の中に蔓延する様々な解決が難しい課題は人の価値基準の歪みに起因している事が多くあり、社会課題を解決するにはその根本的な部分の見直しが欠かせないのではと思っています。

基準は志の実現

私は現在、3つの法人の代表を務めておりますが、元々貧乏暮らしが長かったせいか、お金より大事なものは世の中を良くする事だと親に教育されたからか、金儲けがあまり得意ではない自分に見限ったからかは定かではありませんが、お金に全くと言って良いほど執着がありません。それが良いか悪いかは別として、世の中の大多数の経営者とは少し価値基準がずれていると認識しています。そんな私が最も大切にしている価値基準は志を実現できるかどうかです。その志とは、創業時に掲げた「職人の社会的地位の向上」であり、建築業界の構造改革を進め、私と同じように学歴社会からこぼれ落ちた若者が生きがいを持って生きられる世界に変えることです。

ナショナルフォーラム2022

結局、メリットデメリットでの判断

そんな世間一般と少しずれている私ですが物事を判断するときに、損得勘定、メリットデメリットで取捨選択を考えていないか?と自問自答を繰り返した時、胸を張ってそんな基準で判断していない。と必ずしも言い切れない自分がいます。もちろん、短期的な目先の金儲けにとらわれて判断する事はありませんが、中長期的に見て自分が掲げた志の実現に寄与するかどうかを考え、全く何ら良い影響を生み出さないことには一切興味を示さず、遠くても回り回って自分が目指す理想の世界に近づいていくようなことには積極的に取り組みます。これもある意味メリットとデメリットを比較して判断していることに変わりはありません。

良知と未来を信じる力

人は誰しも本能的に快楽を求め、痛みから逃れようとします。いわばメリットとデメリットを推し量って判断するわけで、これは致し方ないことではありますが、人は理性を持っているからこそ人であり、また、すべての人は生まれながらに良知と呼ばれる善なる良き心を持っているとされています。その性質を持っているからこそ単純に、短絡的に痛みから逃げ出し、快楽を追い求めるだけではなく、文明を発達させ、社会を進化させてきました。人がチンパンジーと全く違う進化を遂げる事ができたのは、未来を信じることができる能力を備えたからだと言われます。目の前の食料を欲望に任せて食べ尽くすだけではなく、何年も先を見越して種を植えて未来に備えることができたからこの地球の覇者になり食物連鎖の頂点に立つことができました。未来を見据え、目の前の痛みを受け入れることができる事が人間の最も大きな能力と言っても過言でないかもしれません。

Wikipediaから拝借

在り方とは時間軸と対象軸の座標

あいつはいつも損得勘定で物事を判断する。と評されるとあまり良い印象を受ける事はありませんが、何の価値も生み出さない意味もない選択をするのは明らかに間違いです。損得勘定、メリットデメリットで判断するのが世の中を悪くしているのではなく、時間軸(短期的利益か、長期的利益か)と受益の対象(自分だけの1人称もしくは2人称か、広く世の中全体を見る3人称か)をどのように考えるかの視点の広さ、視座の高さが問題で、その座標をどこに置いているかを一般的に「在り方」と呼ばれるものだと思っています。

事業モデルの在り方の座標軸

短期決算方式の功罪

現在の日本では欧米型の資本主義にどっぷりつかり、社会を構成する事業所は株主のものであり、株主利益の最大化を目指すことが経済活動の目的になってしまっています。株主による投資のリターンを計測するために、短期会計方式が採用され、短い時間単位でいかに利益を出すかが企業の責任になってしまいました。足元の経営状況を確認するには最適な方法論ではありますが、その会計方式が広く広まったことで大企業だけではなく、中小企業においても月次決算、KPI指標のチェックなどがスタンダードとなり未来に向けての長期にわたる投資は評価されにくくなっています。この時間軸に対する意識の短さが数多くの社会課題を生み出す根元になっていると私は考えています。

衰退する業種の特徴

日本の国民の暮らしを支える経済は企業による事業活動の集合体です。そして、「企業は人なり」の大原則を鑑みれば、あらゆる業界において未来を見据えた長期的な投資の最たるものは人材の育成です。若者が多く集まる業界は大きく発展するし、若者が全く集まらない業種業態は廃れ、絶滅してしまいます。現在、建設・建築現場従事者は6K(キツイ・汚い・危険・給料が安い、休暇が少ない、カッコ悪い)と言われ若者から忌み嫌われています。そのような業界こそ人材への投資を積極的に推し進める必要があるのは自明の理では在りますが、業界の経営者の殆どが経営に対する在り方を短い時間軸と狭い対称軸で低い座標に居座ってしまっています。だからこそ、あと10年で本格的に現場従事者が居なくなるような状況になってしまっているのですが、未来の見えない業種、業態の経営者こそ、在り方(時間軸と対称軸)を学び直し再設定する必要があると思います。

共感資本こそが人の幸せをつくる

行き過ぎた資本主義と言われる現在、解決できない多くの社会課題が世の中に溢れています。格差や分断が招くのは争いであり、戦争です。このままの状況が進行すると世界中が戦禍に見舞われてしまいかねません。それを回避するべく、世界は徐々に価値観を改め、システムを刷新する動きが活発になりつつあります。その一つが国連加盟国全てが持続可能な社会にシフトすることにコミットしたSDGsであり、共感資本主義、ステークホルダーとの共存共栄思想の広がりです。冒頭に書いたように、人はメリットデメリット、損得勘定で物事を判断します。これは人間の性であり、それを否定するつもりは全く在りませんが、自分の思考する座標は確認した方がいいし、その座標が共感される位置にある方が中長期的な視点で見たときに絶対的に多くの人にメリットがあります。これからのあらゆる事業所や組織は多くの人から共感を得て、支持され、応援される在り方にシフトすることで大きなメリットを享受できるようになるし、それは人の幸せに寄与すると思うのです。
時間軸と対称軸のマトリックス、確認してみることを強くお勧めします。
ちなみに、建築業界の共感型モデルへの移行のマガジン書いてます。参考になれば幸いです。

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