職人不足問題と社会課題の深い因果関係と根本的解決へのアプローチ
私は、本業を通して社会課題の解決に取り組む、高い志を持った事業者のコミュニティー、経営実践研究会に所属しています。毎月、7の倍数の日にCLミーティングなる全国の500社以上のメンバーの中から有志がオンライン上に一堂に会してピックアップされた4人のメンバーのビジネスモデルプレゼンを聴き、感想や意見を述べ合う機会があります。様々な業種業態の会員が発表されますが、皆さん本業で社会課題を解決すると言う会の目的にしっかりとコミットされ、高い志を持った方ばかりで非常に大きな刺激をもらっています。前回は株式会社四方継本社3階のTUGIスタジオ、新しくオープンした全天候型バーベキューサイト「TUGIテラス」から兵庫ブロックの数名の経営者と一緒に参加しました。
生きづらさを感じる世界こそが根本的課題
前回のそのミーティングでは、アルコールや薬物、暴力や犯罪、ギャンブルなどの年々増え続けていると言われている依存症の問題に向き合って誰1人取り残されない世界を実現したいと発表された方がおられました。その三宅さん曰く、依存症の問題の根本は中毒者や患者の個別の問題ではなく、現代の日本に数多くある社会課題そのものに端を発しており、依存症になっている人へのケアでは対症療法にすぎない、根本的な問題解決に向き合う必要があると語られ、まずは全国から1000の事例を集めて根源的な問題の抽出を図る研究をスタートされるとの事でした。その方ご自身が、今の社会に対して生きづらさを感じ、様々な軋轢の中でアルコールに依存し、ギャンブルで人生を大きく狂わせたとのことで、最終的には犯罪にも手を染めてしまったと言う赤裸々な体験とともに語られた壮大な志には聞いている(同じような過去を持つ)私も胸が熱くなりました。
対処療法ではなく、根本解決を目指すべき
依存症の人がいなくなる世界を目指すとの発表を聞いて感じたのは、個別の問題として捉えがちなことも実は社会全体、もしくは地域単位やコミュニティーごとに点ではなく面で数多くの人が問題意識を持って取り組まなければ根本的な問題解決には向かわないと言うことです。
これは、私が取り組んでいる建築業界の職人不足問題にもそのまま当てはまることで、私が研修事業で行っている職人の意識改革や育成のサポート、職人を雇用する会社の制度整備、循環型ビジネスモデルの構築等は実は全て対症療法だと言うことに気がつかされました。私が行っている事は所詮モグラ叩きの飛び出してきたモグラを押し込む程度のことで、根本的解決への取り組みが全然できていないと言う気づきを貰いました。久々の目からウロコの衝撃的な体験をすることができて、経営実践研究会の凄みを改めて感じた次第です。
気づいた者の責任
今年は台風の逆当たり年というか、台風による大きな被害はありませんでしたが、つい最近も関東で震度5の地震があったり、九州では阿蘇山が噴火したりと自然災害は相変わらず毎年日本のどこかの地域で常に起こっています。そのたびに応急復旧を行ったり、ライフラインや生活インフラを整えるのは建築、建設業界が担う役割であり、つまるところ実際にそれらを行うのはその地域に住まう職人です。今後、爆発的に加速していく職人不足はそのまま地域や国土の安全保障を脅かす重大な問題であり、大きな社会課題だと思うのです。そんな重大な課題に対して私たちは業界の中だけにとどまってこじんまりと対処療法を行うのではなく、地域のコミュニティーと一体になって地域を支える職人になりたい若者を育てて増やす、またそのような若者を受け入れ、育成する事業者をスタンダードに変える責任があるのだと改めて気付かされました。大きなリスクに気づき、その回避の方法を知っているなら、自分たちだけ安全地帯でのほほんと過ごすわけにはいきません。
社会課題は他人事ではなく自分事。
私が代表を務めている株式会社四方継では「つむぎ建築舎」と言う建築部門と、「つない堂」なる地域コミュニティー事業部の二本柱で地域に密着した生活全般をサポートするものづくり企業として幅広い活動を行っております。社名とともに事業ドメインを変更した一昨年までは自社とご縁があった顧客向けに主に建築関連から暮らし全般に関わる課題解決のサポートが授業の中心でしたが、今ではもっと積極的に地域に溶け込み、社会と一体化して建築の枠にとらわれず幅広い課題に対して能動的に取り組むようになりました。先日の三宅さんの発表を聞いて、私たちが突き進んでいる方向性が間違っていないと背中を押していただいたように感じたこともあり、今後さらに建築に限らずありとあらゆるご相談が集まってきて、コミュニティーメンバーと共に解決の道を模索できるコミュニティーのハブ的存在になりたいと強く感じた次第です。社会課題の根本的解決はそれぞれの地域社会、コミュニティーでひとつずつ丁寧に解きほぐしていくしかないと思うのです。まずはその母体となるコミュニティーの再構築から、志を同じくする多くの方々と連携をとりながら地道にコツコツと進めていきたいと思います。
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職人不足解決への具体的アプローチを示しています。
地域課題を解決するコミュニティー形成を進めています。
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