点ではなく面でつなげるコミュニケーション
世界が大きな変化を迎えていると共に、そのスピードが加速度的に速くなり続けており、令和以前に比べるとあらゆるものが一瞬にして陳腐化してしまうようになったのを受けて、近年、生涯学習の時代になったとよく耳にするようになりました。私はもう50代半ばになっておりますが、この15年間、毎年のように年間通じての学びの場に身を置く事を継続してきました。30代〜40代の間はマーケティング理論と理念経営についてのセミナーや勉強会に足を運び続けましたし、40代の終わりから50代にかけては経営者の真摯な学びの場とされる倫理法人会とトレーニングメニューが充実しているBNIの朝活を継続しながらUXデザインを学ぶビジネススクールに足掛け4年間通い続けました。今年になってからは最新の組織論を学び直そうとティール組織の実践者が集う自然経営研究会に参加させてもらっています。昨日も、そのダイアログに参加して、非常に腹落ちした部分があったのでここでもシェアしておきたいと思います。
自立した人の集合体こそ効果的な組織
自然経営研究会は世の中にある原理原則の根本と言われる自然の摂理に則った組織形態、社会構造への変容を目指す、非常に知見に溢れた意識の高い人たちの集まりで、毎回、とても深い示唆をいただけています。私は自身が経営する建築会社で3年前からピラミッド型の組織構造を解体し、チームや個人が並列しプロジェクトごとに集合離散を繰り返しながら、共通の目的である「四方良しの世界の実現」を目指して全体最適を叶える組織作りに取り組んでいます。大工と設計士だけの技術系人材ばかりが集まった組織で指示命令系統を撤廃し、それぞれが主体性を持って個々が持つ良心の判断に従って絶対的な顧客及びステークホルダーの満足と、シミュレーション通りの利益の確保をかなえながら働く環境整備を目指してきました。まだ道半ばではありますが、私たちが目指している組織の形は、最近もてはやされているティールやホラクラシー型組織と根底の部分では非常に近しいものがあり、これまでの建築業界にはなかった新しい組織の形態を標榜しています。
コミュニケーションが解決の鍵
組織の改造や改革を行う最も中心的な目的はコミュニケーション不全の解消です。メンバー間の情報共有をスムーズにし、全体最適となるように相互間でサポートを行える体制作り、メンバーそれぞれの個性が最大限生かせるような状態を整えることでシナジーを生み出せる組織へと変容することを主眼に置いています。心理学の大家であるアドラー博士は、人間が抱える問題は全て人間関係に起因すると言われましたが、組織のパフォーマンスの効果性において、非常に大きな部分はコミュニケーションが円滑に行えるかどうかにかかっていると言っても過言ではありません。私たちの事業所では大工と建築士だけの技術者のみで構成されており、どちらも技術系と言うだけあってコミュニケーションが得意だと胸を張るメンバーは皆無です。これまで長年にわたってメンバー間で円滑なコミニケーションを取れるために試行錯誤を繰り返してきて、組織の解体、再編を毎年のように行いながら、メンバーがやりがいを持って、楽しく働きながら事業所の目的を達成できる組織を模索し続けています。
面で考えるコミュニケーション
昨日の自然型ダイアログでも組織間もしくは個人間でのコミニケーションの問題が話題に上り、非常に効果的な方法として紹介されたのは、コミュニケーションを点と点、個々でつなげるのではなく、面と面、グループやコミュニティーとしてつなぎ合わせるという方法論でした。誰かとコミュニケーションを取る際に、所属するグループやコミュニティーごとやりとりをすれば、コミニケーション自体が対象が人ではなく「場」となり、アクセスのハードルが下がる面もあるし、シナプスが細胞数が増えることに乗数効果でたくさんのつながりが出来るように、アクセスできる数が圧倒的に増えて効果性が高くなるのは容易に想像がつきます。個人対個人の関係性は近くなる程様々な要因が絡みあい複雑さを増していきます。もちろん、深い関係性が奏功する面もありますが、ちょっとしたきっかけで感情面でこじれると解決するのに大きなエネルギーを要することが少なからずあり、大まか、人はそのエネルギー消費から逃避したがるもの。これが組織内のコミュニケーション不全を生む一因になっているような気がします。
人と「場」の価値
個人と個人(点と点)の繋がりではなく、コミュニケーションを面で考えるというのは、まず、安心安全な場として認知されるコミュニティーやグループの形成が必要です。逆に、それが出来ていると、個人とのコミュニケーションが行いやすくなり、そこに新しい価値や存在意義を見出せることも少なくないと思います。ちなみに、今日もBNIメンバーとの部活動で集まっている場に、最近、動画制作の事業で起業してこれからビジネスモデルを構築しようとしている若者がゲストで参加されていました。その若者は人が持つ、しかし表面的に認知されていない熱い部分を表現して見える化し、正当な評価を受けられるようにしたいと起業されたなかなか熱い男で、私としてはできるだけ応援してあげたいと思いました。そして、今日の会合に参加されて信頼できるメンバーが集まり、お互いがお互いをサポートし、交換しあう場の空気を感じて、私にBNIに入会されることを薦められて面としてのコミュニケーションに大きな価値を感じられていたようです。
多面性がコミュニケーションの質を上げる
コミュニケーションの問題はこれまで、個人間の問題だとして、第三者にはどうすることも出来ない「他者の課題」として認知されることが多かったように感じます。しかし、面で向き合うことを意識して見直してみると、意外と解決へのアプローチは数多くあり、選択肢が多くあることに気付かされました。多様性のある組織には様々な特徴的な人が集まるのが当然で、確固たる信念や信条を持った自立心旺盛な人の集まりこそ、個人レベルのコミュニケーションが難しかったりします。その意味では、個々に目を向けるのではなく、平素から「場づくり」を意識して見ることで、人対人ではなく、人対「場」の関係性になり意外と問題視していた課題は解消する可能性があると感じた次第です。私は3つの法人の代表を務めながら、営利、非営利含めて9つの組織の運営に関わっておりますが、一つの組織単体で見るのではなく、全体を通しての活動が私のコミュニケーション能力だと認知することで、人に対する貢献の大きさも変わるように思います。目先の収益に囚われることなく、引き続き多くの「面」に関わっていきたいと思った次第です。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
https://www.shokunin-kigyoujyuku.com/
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?