『温かいご飯と熱々の味噌汁』生きている幸せを感じる瞬間

2024年4月4日 08:03

食日記

池波正太郎さんのエッセイ「食卓の情景」を読んで感じた事、今回で3回目となります。

池波さんは、ほとんど食べ物の事しか書いてない日記を7年以上続けてらっしゃいました。美味しかったものには色鉛筆で丸をつけ奥様の献立、料理作りのヒントになるようにと。

そして、不思議な事にそのほとんど食べ物の事しか書いていない日記を読み返すと、何年も前の事なのにその日にあった出来事までまざまざと思い起こす事が、たびたびあるそうで。

私は以前から懐かしい記憶を思い出す時、いつもそこには「食」があると感じていました。

亡き母と小学生の頃に買い物帰りに寄った喫茶店。
いつも注文してしまうバナナオムレットとレモンスカッシュの味。

母がよく作ってくれた小鯵を丸ごと揚げた唐揚げ。

食べ物を思い出す時、その情景までもまざまざと蘇ってくるのです。
まさに池波さんの書かれていた事と同じで、ハッとさせられました。

「食」は日々の生活に欠かせいだけでなく、香り、音、舌触り、食感…
五感を使った様々な記憶が「食」を通して一気に甦ってくるのだと思います。

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りんごは進化する

「食卓の情景」の中の一節。

死ぬことを考えると、だれだって気が滅入るであろう。
しかし、人間というものは実によくできている。
死ぬときのことを考えていた翌朝、あたたかい飯と、熱い味噌汁と、好物の焼海苔を口にいれた瞬間に、
「生きていることの幸福」
を感じるように、できているからだ。

「食卓の情景」池波正太郎　著より

美味しいご飯が食べられる幸せ。
ご飯が美味しいと感じる幸せ。

幸せは「食」と共に、いつも日常にある。

じんわりと心に響く、このエッセイの中で特に心に残る一節です。

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