食育イノベーションと食育総研について
~食育をオワコンにしたくない~
食育イノベーション
食育総研は2001年から食育にまつわる活動をしています。
つまり20年以上、これをやっています。
長いことやった結果、このところ抱いているのは
ぼちぼち食育にも飽きたかな
食育も古くさくなったな…
という感覚です。
ただしこれは「旧来型の食育」に対して、の話です。
旧来型の食育
これまでの食育は
「食育とは何か」
を伝えるところから始まっていました。
あと、「栄養バランスに気を付けよう」「地元の野菜を食べよう」など、正しいのだけれど、お説教が多い。
こういうのを食育総研では「旧来型の食育」と呼んでいます。
しかし、そうした「食育の黎明期」は過ぎました。
いまは
「『食育とは何か』については、ほぼすべての人が知っている」
そういう時代になっています。
また、「地産地消」だの「有機」だのといった、かつては新鮮だったキーワードも、今ではほとんどの人が知っています。
お説教だって、聞き飽きた。
にもかかわらず、世間一般の食育では
「その話、もう何度も聞いたよ」
いまや誰でも知っていることを、くどくど繰り返しお説教する状況が続いています。
しかも、それにも関わらずですよ、「旧来型の食育」が解決しようとしていたさまざまな問題の多くは、いまだに解決されていません。
国民医療費は増えています
農業はあいかわらず高齢化が進んでいます
食料自給率もさっぱり上がりません
何なんでしょうね、これ。
旧来型の食育は、オワコンになりつつあるのでしょう。
現代食育
もっとも、「旧来型の食育」が目指していたことがすべて誤りだとは思っていません。
言ってることはべつに間違っていない。
ただ、やりかたが古くなったのでしょう。
これからの食育には、
「食育とは何か」の説明は要りません
「地産地消」「オーガニック」などを説明する必要もありません
説教もいらない
そういう「学校の先生がやることみたいな手法」を使っても、もはや人は動きません。
新しい要素、新しいキーワードが求められています。
こうした時代に対応することが「現代食育」に求められています。
食育総研ではこれを
「食育イノベーション」
と呼んでいます。
具体的に何をすれば「食育イノベーション」を起こせるのか、正直、まだ確信があるわけではありません。
いまもって、手探りの状態です。
ただ、ヒントがないわけではありません。
かつての食育は、すごく「総花的」でした。
栄養や健康
農業や地産地消
食料自給率や食の西洋化
フードロスや食と環境
食文化の伝承
といったキーワードをあれもこれも一緒くたに扱い、片っ端から盛り込んだものでした。
鍋にたとえたら、何鍋?
しかも、こういうお説教をする人にかぎって、大事な疑問にちゃんと答えられない。
★言葉に詰まる
「食品添加物はダメですよ」
「でも食品添加物がなかったら、食品ロスが増えるんじゃないですか?」
「うっ」
★誤魔化す
「日本の農業を守ることが大切です」
「じゃあ先生はどうして農家にならなかったの?」
「私はいいんです。食べる専門なので」
★怒る
「地元が大切。地元の野菜は世界一美味しいんですよ」
「でも農薬使ってるよ」
「黙って食べなさい!」
「食事って会話しながら楽しく食べるものじゃないの?」
「屁理屈いうな!」
たしかに簡単な問題じゃないけど、こういう矛盾にちゃんと向き合わないまま、食育のお説教が行われていました。
つまり、かつての食育は、食に関わるあらゆる内容をひとくくりにして行われていました。
良くも悪くも、雑だったんです。
しかし、時代は移り変わります。
これらのテーマは専門性を要するものとなり、それぞれの分野における専門活動家たちによって、より深く、より詳細に追求されるようになるでしょう。
現代食育では、総花的に進めるのではなく、それぞれの専門活動家が個別のテーマに特化し、その分野におけるイノベーションを生み出すことが期待されています。
これにより、より実効性のあるアプローチを模索する動きが見られるのではないでしょうか。
つまり、「食育イノベーション」を起こすキーワードの1つは、「専門分化」かもしれません。
また、近年、SNSなどの研究を通じて
「多くの人が注意を引かれ、共有したくなるコンテンツには、『新奇性』がある。すでになじみがあるものよりは、目新しいものに注意がいく」
という人間の性質が明らかになってきているようです。
ビジネスのプロジェクトなどでも、
「参加者がやりとりする会話やメールなどに新奇な情報が多く含まれているほど、プロジェクトの進行が速い」
というデータがあるようです。
このことから、「食育イノベーション」を起こすキーワードのもう1つは「新奇性」なのかもしれないと思っています。
食育総研について
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食育イノベーター検定
「旧来型の食育」を乗り越える「食育イノベーション」とはどういうものか。
食育総研のこれまでの「手探り」の成果をまとめ、検定にしました。