ユーザーが生きる世界を体感する。ユーザーインタビューのWHY&WHAT。
こんにちは、Shoko(@shokosuzuki1991)です!
建設×ITスタートアップ SHELFY で、建設業向けのカンタン書類作成サービス『Greenfile.work』の事業責任者 兼 PMをしています。
チームには私含め建設業の経験者がいないため、サービス提供者/スタートアップの中でもユーザーインタビューを重視している方だと思います。
そこで今回はユーザーインタビューのWHY(目的)とWHAT(何を得られるのか)に絞って書いてみました。 HOW(手法)は流通しまくっているので...w
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ユーザーインタビューのWHY:「隠れた当たり前」の窓を開ける
ユーザーインタビューのWHY(目的)とは、ユーザーが生きてる世界に身を投じることで、「ユーザーにとっては当たり前なのにサービス提供者が気づいていないこと」を判明させることです。
とくにDog Foodingが難しい私たちBtoBサービスの提供者にとって、ユーザーが日々生きている世界にどれだけ実感値を持ってるかが勝負ポイントであり、それこそがサービス成長の火種になります。
上記は心理学やコーチングでよく用いられることで有名なジョハリの窓ですが、これでサービス提供者とユーザーを捉えてみると整理しやすいです。
<左上:UIの伸びしろ>
・サービス提供者としては伝えたい・使ってほしいと思っているがユーザーは知らないもしくは使っていないこと。
・そもそもニーズがないこともあるが、デリバリーがちゃんとできていないことの方が多いのでUI(表現方法)の伸びしろ。
<右上:未知の領域>
・ユーザーもサービス提供者もまだそれが必要だと知らないこと。
・iPhoneみたいに「目の前に提示されるまで欲しいと思わなかった」みたいなパターンのプロダクトはこの窓をいきなりこじ開けたパターンと言える。
<左下:周知の事実>
・ユーザーも競合含めたサービス提供者も、そのフィールドにいる人なら知っていること。
・どんなに強いニーズやペインでも、それが自明なものであればあるほどサービス間での差はつかない。
<右下:隠れた当たり前>
・ユーザーにとっては当たり前の感情・行動だが、サービス提供者は気付いていないこと。
・サービス提供者側にとって初めて聞いたときには「?」となるような言動を掘り下げて判明することが多い。
右下の"隠れた当たり前"とはピーター・ティールのいう「賛同する人が誰もいない、重要な真実」に近いです。競合との差別化はもちろん、プロダクトの神細(かみさい:神は細部に宿るの意)に影響します。
この"「隠れた当たり前」"をどれだけ収集し、プロダクトに反映できるか、がプロダクトマネジメントの肝だと言えるでしょう。
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WHAT:実際にインタビューで判明した「隠れた当たり前」
ここまで抽象的な話が多くなってしまったので、なにを得たのか(WHAT)をこれまでに行ったユーザーインタビューでの事例からお伝えできればと!
1. 書類を作成するときの感情
「建設業に従事する方にとって書類作成はペインである」という仮説からGreenfile.workは立ち上がったわけですが、ユーザーインタビューをすればするほど、これは「ペイン」ではなく「アンガー(怒り)」だという結論になりました。
そしてそれらを引き起こしているのが、
・同じ内容で書式が違うだけのファイル
・属人的なマクロが組まれていて、秘伝のタレ化したエクセル
・修正のために何度も往復するやりとり
といった要因なのですが、一番の収穫はこれらの事実よりもそれを語っているときのユーザーの温度感です。なぜか書類作成について質問してるとインタビュー相手がイライラしてくるんですよね。
はじめはこちらの聞き方が悪いのかと思ったんですが、書類をつくる情景を思い出してるうちに、そのときの感情が蘇ってきて怒ってるんだと気付きました。
ここから当初の「かんたんさ」と「正確さ」というコンセプトに加え、「楽しさ」というコンセプトがサービスに加わり、ユーザーのイライラを和らげるような親しみのあるパンダのキャラが生まれましたw
2. ITリテラシーに関する自己評価
建設業のIT活用率が低いというのはマッキンゼーのレポートなんかにも出ているくらい、周知の事実です。
そのためサービス開発当初は「ユーザーは便利なITツールがあれば使いたいと思っているが、HOWがわからず苦手意識を持っている」という前提にたっていたのですが、それらは完全なる誤解でした。
ユーザーインタビューを行うと、ITに苦手意識を持っているユーザーはわずかであり、ほぼ全員が「自分はスマホやPCを使いこなしている」と認識していたのです。
IT業界とちがってそれを職業にしているわけではないのだから、スマホでLINE、PCでワードやエクセルを駆使していれば「自分はITツールを使いこなしている」という自己認識になるのはたしかに当然なんですよね。
これを踏まえて当初はトップページに記載していた「PCが苦手な人でも使えます」的な文言を一掃しました。一方で、ユーザーの半分以上がブラウザはIEだし、検索流入はYahoo>>>Googleだし、サポートにはPCの使い方の問い合わせなんかも多くきます。
それでも「ユーザーはITが苦手だと思っていない」という"隠れた当たり前"があり、事実とユーザーの自己認識を切り分けて訴求・展開することの重要性を学んだのでした。
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当然ながら、ユーザーインタビューは万能ではない
「多くの人に使ってもらってなんぼ」のWEBサービスにおいて、
・一人のユーザーを深く掘り下げるってどんな意味があるのか?
・話を聞いた人に引っ張られてバイアスがかかってしまうんじゃないか?
といった意見もあるかと思います。
例えば下記のようなことを検証したいなら、ユーザーインタビューではなく別の手法をオススメします。
1:ニーズの有無の調査
→営業としてアポった方が効率的(BtoBの場合とくに)
→インタビューだと協力したいあまり、思ってないことも言う。営業だと実際に買う立場としてのシビアな意見が聞ける。
2:UIの改善ポイントの判明
→そもそも離脱率など数字を見た方が早い。
→定性的に見るとしても便利なツールがいっぱいあるので、移動含めた3時間ほどをかけるのはtoo much。
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まとめ
1. ユーザーインタビューは目的次第
2. 「隠れた当たり前(サービス提供者は知らないがユーザーにとっては当たり前なこと)」を見つけるのには良い手法
3. 「隠れた当たり前」をどれだけ収集し、サービスに反映できるかが、競合優位性ならびにユーザーにとって”違和感”のないサービスにつながる
「・・・で、結果は?」というのところはこれから私たちが証明していくものなのだと思います( ・`ω・´)笑
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