まずはこの7冊!突然「プロダクトマネージャー」になった私を助けてくれた良書たち📕
こんにちは!これまで営業→CS→広報→人事→PMと4年間で職種の大横断をしてきたShoko(@shokosuzuki1991)です。どの職種もはじめてやるときは素人なのでざっくりとキャッチアップをするのですが、ぶっちゃけPdMが一番大変でした...
なぜなら役割や職務内容が明確に決まっておらず、何調べてもPdM=CEO of Productって出てくるんです。「結局何すればいいんだ」感が満載、、またエンジニア・デザイナーといったクリエイター出身のPMが多い中で、完全なるビジネスサイド出身の私は技術・マーケ面でのキャッチアップに苦労しました…
そんな背景もあって、最近は「はじめはどうやって勉強したの?」「オススメの本ある?」と聞かれることが増えたので、PMのキャッチアップのために読んだ書籍をまとめてみました。同じような境遇の方の参考になれば幸いです!
はじめに:地図を持とう👉PMトライアングル
CEO of Productってなんやねん!と思っていた私の救世主となったのが、「【翻訳】プロダクトマネジメントトライアングル」という記事でした。
PM=「プロダクトの "WHY" と "WHAT" に責任を持つ人」という定義が、個人的には一番しっくりきますが、そのうえでより細かく「自分に何ができて、何ができないのか」を判明させるのに上記が役立ちました。
ちなみに私は「Users⇔Business」はある程度バリューが出せる自信があったものの、「Developers」から伸びてる2線は知見が皆無に近かったので、ここのキャッチアップから始めました。
「PMとしてどこに注力すべきなのか?」はプロダクトやチームによって大きく異なると思います。がむしゃらにインプットを行うよりも、今の自分が「どの分野の知識やノウハウを補う必要があるのか」を認識したうえで、足りないものを埋めていくことをオススメします。
本題:インプットの目的別7冊📕
読書は異常にコスパのいい投資です。PMに限らず、手っ取り早くその職種のインプットを図るのに一番効率がいいのは書籍でしょう。
ここからは完全に私の独断と偏見ですが、PdMのキャッチアップのために読んだ数十冊の中から「これを読んでなかったら今頃どうなってたんだろう、、」と怖くなるくらいバリューのある書籍のみを厳選し、目的別にまとめました。
①PMの起源を学ぶ👉『トヨタの製品開発』
いきなりクルマの話?と思うかもですが、トヨタの主査制度がアメリカに輸入された結果Product Managerという職種が生まれ、その後それが日本のTech業界に逆輸入された、という経緯をご存知ですか?
この本ではトヨタの3つの人気車種が世に出るまでがストーリーになっているのですが、日本を代表する大企業が当時ここまで泥臭い仮説検証を繰り返していることに感銘を受けました、、!また予算も期間も莫大で、不可逆性がかなり高い自動車という製品でも、主査一人にほぼ全ての責任と権限が集中していることに驚かされます。
「各分野のエキスパートに持てる力を発揮してもらうこと」と、「とはいえ合議制では良いモノはできない」という相反する2つの事実を、主査という制度で組織として成り立たせたトヨタこそ、PMという役割が生まれた場所であると言えます。
ーーーーー
②PMの職務を学1👉『INSPIRED』
今回紹介する書籍の中で最も実践的で、とくに新規サービス開発に携わっているPMの方にオススメです。構想段階でどこまで仕様を決めておくべきか、といった上流から、インタビューするユーザーの集め方と質問リストまで、実務に使えるノウハウが詰まっています。
私はこれを読んで、チーム内でPMが果たすべき役割や振る舞いについての解像度がかなり上がりました。また実際に実験による「つくるまえの検証」に重きを置くようになったのも、完全に本書の影響です。
②PMの職務を学ぶ2👉『プロダクトマネジメントのすべて』
そもそもプロダクトマネジメントってなに?日々どんな仕事するの?というPdMになる前・もしくは成り立ての方はまずはこの一冊を読んで大まかな地図を手に入れるといいでしょう。期待される職務や業務の流れ、コラボレーションすることの多い職種の人たちなどをイメージすることができるようになります。
ただしカバー範囲が広くて網羅性が高い分、一つひとつのトピックに関する記述は薄いので、この本で学びたいトピックや分野を抽出して、後述の各分野からさらに専門書を読んでいくことをおすすめします。
ーーーーー
③開発を学ぶ1👉『エンジニアリング組織論への招待』
こちらは言わずもがな、ですね。「不確実性」という概念を獲得することはTech業界における必修科目と言えるでしょう。
PMに限らず、IT企業でサービス開発に関わる人ならしのごの言わずに読んだ方がいいです。ので逆に多くは説明しません!w
ーーーーー
開発を学ぶ2👉『KAIZEN JOURNEY』
アジャイル・スクラム開発ってよく聞くけど実際よくわかっていないんだよね...というチーム/個人にオススメしたいのがこちらです。開発手法の本は網羅性を重視する分、どれも読みにくいモノが多いのですが、こちらはストーリー形式なのでスッと読めます。
主人公がSIerのエンジニアからPMへと転身していく話なので、エンジニアからPMになった人は追体験ができるでしょう。私的には文中に度々でてくる「それであなたは何している人なんですか?」というセリフがグサッときました。笑
ーーーーー
④イノベーションを学ぶ👉『ジョブ理論』
「どうやってイノベーションを起こすのか」という死ぬほど抽象度の高いテーマを、「全ての製品・サービス・プロダクトはある"ジョブ"を終えるために顧客に雇われている」という極めて汎用性の高いフレームワークに落とし込まれています。
相関関係と因果関係は別であり、因果関係を判明させるのがジョブ理論です。例えば「早朝にミルクシェイクを買う人はビジネスマンが多い」というのは相関関係であり、「車通勤の人が会社に着くまでに、手を汚さずにてっとり早くお腹を満たすものがほしい」というのが因果関係(ジョブ)です。
このときに相関関係でしかない「ビジネスマン」というセグメントに着目すると、ランチタイムにも販売個数を増やすキャンペーンといったお門違いな施策を打ってしまうことになります。
ジョブ=ペインポイントと言い換えてもいいかもしれません。この考え方は当たり前のように聞こえるかもしれませんが、デモグラ(例:40代男性サラリーマン)からアイデアを出そうとしてしまうのはめちゃくちゃよくある落とし穴なので、お互い"ジョブ"に着目することを忘れないで生きていきましょう…
ーーーーー
⑤マーケティングを学ぶ👉『クラウド誕生』
Salesforceの創業者マーク・ベニオフが「BtoBプロダクトでもここまでできるぜ!」と背中で語ってくれる本です。一時期私とCEOの間で、大胆な打ち手を「ベニオフ」と呼ぶのが流行りました。なんか発音もいい感じですしねw
個人的にマーケの施策って、それっぽいデータやフレームワークが溢れているぶん、小賢く考えてしまいがちだと思っていて、そういう意味で「目的から落とし、手段をゼロベースで考える」ベニオフの姿勢から学ぶものは多かったです。
Salesforce = ToB のマーケの話でしょ、と思うかもしれませんが、そんなことはありません。すでに明確な競合が存在するなど、マーケで突き抜けることが必要とされるようなプロダクトに従事している人には気づきが多いでしょう。
マーケティングを学ぶ2👉『顧客視点マーケティング』
数あるマーケティング本の中で私的に実践度No.1の称号を与えたい本。P&G→ロクシタン→スマートニュースと、トラディショナルなマーケティングからアプリマーケまでを幅広く見てきた著者ならではの手法の整理が秀逸です。
とくに定性と定量の使い分けが抜群にうまく、次回購買意向という軸で積極/消極でファネルを分けるのは実務でも使わせてもらっています。「P&Gみたいな巨大会社でもここまで泥臭くマーケット調査してんだぞ!」と喝をもらいました。笑
ーーーーー
⑥チームビルディングを学ぶ👉『なぜ部下とうまくいかないのか』
(タイトルが分かりづらいのが玉にキズなんでですが)チームの関係性に悩んでいる人は必読です。この本の素晴らしいところは「人間の成長」という極めて曖昧なものをきちんと定義しているところです。
よくマネジメントにおいては「部下の成果は60点で合格と思え」とか言いますが、それってすごい失礼な話だと思いませんか?
PMだととくに、そういった「いかに100点である自分に近づけるか」というマネジメントよりも、「全メンバーが持てる力を発揮できるビジョンと環境をつくるか」というチームビルディングがテーマになると思うのですが、このあたりのヒントを多く獲得できると思います。
チームビルディングを学ぶ2👉『1兆ドルコーチ』
スティーブ・ジョブズ、エリック・シュミットなど名だたる経営者には決してメディアに出ないコーチがいた...という、ある意味ありがち?な展開ではじまる本書ですが、コーチングの実用書というよりほぼ哲学書に近いです。
人によっては押し付けがましいという印象を持つかもしれませんが、マネジメントという職業の尊さ、一貫した姿勢で人と向き合う素晴らしさをビル・キャンベルの生き方から学べます。マネージメントに従事していると日々の課題に忙殺されることも多いですが、そんなときにこそこの本を手にとってみると新たな発見があるでしょう。
ーーーーー
⑦UI/UXを学ぶ👉『アンソロビジョン』
デザインシンキングといったフレームワークやUXリサーチの手法の書籍は溢れていますが、それらは元々文化人類学から発展していることを知っていましたか?
UI/UXというとユーザービリティの話や、インサイトを引き出すインタビューとはといったTipsの話に偏りがちですが、本当にいいUXをつくるには「仮説をもたない観察を通して、語らない”なぜ”に耳を傾けること」の重要性を本書が教えてくれます。
GMが落ちぶれた理由、キットカットが成功した理由、メリルリンチが日本市場で受け入れられなかった理由、といったビジネス事例+リーマンショック、トランプの台頭、パンデミック、ESG投資ブームといった社会現象まで具体例を用いて、WHYを捉えるとはどういうことか、というがとてもわかりやすく語られています。
N=1インタビューを定期的に行っているがイマイチ深いインサイトが捉えられていないと感じる人、データを用いた定量分析は得意だが定性分析に課題を感じている人にはとくにおすすめです!
UI/UXを学ぶ2👉『ノンデザイナーズ・デザインブック』
言わずとしれた名著ですが、コンサル会社に移ってスライドをつくる機会が増えたので読み直しました。学生時代に読んできりだったのですが、社会人経験を経た今読むと、自分のできていないポイントがわかる、わかる、、、!笑
タイトル通り"デザインの原理原則"をノンデザイナーに向けてまとめたものなので、ビジネス・エンジニア出身で読んでないPdMは今すぐ読むべきです。世にあふれるUIや広告の見方が変わることでしょう!
⑧BtoBのプロダクト開発を学ぶ👉『ビルドトラップ』
BtoBとBtoCのプロダクトマネジメントは本質的には同じですが、実務経験からもBtoBならではの勘所みたいなものはいくつかあり、それがエピソードを通して深く理解できるのが本書です。
「セールスが顧客企業に機能リリースを約束してしまい、開発がデスマーチに...」「頑張ってリリースした機能が全く使われない...」「組織内にジュニアなPdMしかおらず、どうやって開発を進めていっていいのかわからない...」このどれか一つにでも悩んでいる方がいれば今すぐ本書を読むことをオススメします!
ーーーーー
読んだら実践する。自分の脳みそで考える。
書籍だけでなく、WEB上にも必読のコンテンツはたくさんあるので、いつかそちらも紹介できればと思います。(前回ユーザーインタビューについてまとめた「ユーザーインタビューのWHYとWHAT」もよければどうぞ。)
しかしながら、経験に勝るインプットはなく、「行動なき読書」に価値はありません。業務範囲がいい意味で曖昧なPdMという職務の特権は、インプットしたことを現実ですぐに試せることにあると思います。
下記は、かの有名なレバレッジ・リーディングからの引用です。
必ず最後に愛は勝つ
インプットにもダウンサイドはあります。様々なノウハウや理論を知ることで、「それっぽくなること」です。笑
どんなノウハウや理論も、あるプロダクトや特定領域にポジションをとり、愛と情熱を持って日々ユーザーと向き合っている人には敵いません。逆に「自分は正解を知っている」と思い込んでしまうことのリスクは計り知れません...
私自身、これまでの経験を振り返ると、セオリーに反してでも自分の頭で考え、本質から問い直したら上手くいった、ということの方が多いです。
とくに日々不確実性に向き合うPdMにおいては、「思考さえ止めなければ、多少の知識が欠けていてもなんとかなる」という姿勢が一番大切ではないでしょうか。
そのうえで、それらを加速する知識を書籍から得られたら最高ですよね。
私のポリシーは「勧められた本は全部読む」なので、皆さんのバイブルもぜひ教えてください!
\Twitterやってます/