さごしの豆鼓煮(2016/9/2)

気づけばもう9月ですね。「食欲の秋」と聞くと、なぜか白いご飯と魚の組み合わせを思い浮かべてしまうのは、秋刀魚のせいでしょうか。
今回は秋刀魚ではなくて、サゴシをメインにしました。鰆になる前の、小型のものをサゴシと呼びます。地域によっては別の呼び名があるみたいですね。

所謂煮魚ですが、味付けのポイントは豆鼓です。はちみつと酢も使って、白いご飯に合う甘辛味でありながら、さっぱり。しあげにたっぷりのネギも添えました。
スープは、パパイヤと鶏むね、絹ごし豆腐の、すっきりスープ。具材は大きめに、食べごたえのある仕上がりになりました。

小鉢には蒸し南京の豆板醤和え、枝豆と茗荷炒め、緑豆薏仁湯(緑豆とハトムギの善哉)をあわせました。緑豆薏仁湯は台湾の夏の定番デザートで、道端なんかでも売られています。体の熱や余分な水分を取ってくれる上、お肌にも良いという、いいことづくしのデザートです。

この日はありがたいことに、ランチ完売。喜んでもらえていたらいいなぁ。

さて、ここから先は小話コーナー。レシピや、ちょっとした裏話などを、気まぐれに。投げ銭方式です。

サゴシの豆鼓煮、本来は豆鼓とみりん・はちみつ、醤油、酒で仕上げる予定でした。調子よく調味料を鍋に入れ、味見をしてみたところ…あれれ?なぜか酸味があります。慌てて調味料を確認すると、なんと、みりんとお酢を間違えていたのでした。やり直そうかと思ったのですが、これが結構悪くない。鰯なんかを酢で煮る料理も世の中にはありますし、いけるんじゃないかな?と思い切ってみたのが大正解。我ながら美味しく仕上がりました。

ただ、酢というのは、同じ米酢であっても商品によってかなり味に差があります。今回使ったのは、京都の「富士酢」。とてもまろやかで、刺すような酸味がないのが特徴。なので、他の酢でも同じようにいくかは、改めて実験してみないとわかりません。
ただ、少なくとも富士酢でつくる、魚の煮付けはとても美味しかった。砂糖でなく、はちみつを使ったのも相性が良かったと思います。まろやかさとコクが加わりました。

調味料の覚書です。材料は目分量ですが、「醤油:酒:みりん=1:1:1」で、青魚などにぴったりの、濃い目の煮汁ができると覚えておくと便利です。
後はイメージに合わせて、醤油を減らしたり、甘みを減らしたり。今回は醤油味がベースながらも、塩辛さより甘みを出したくて、はちみつを加えました。みりんが酢に変わってしまったのは、上記のとおりの秘密。
・豆鼓…荒く刻んでおく。一人あたり小さじ1杯弱相当くらいのイメージ
・生姜スライス、大蒜をつぶしたもの…適量(それほど多くはないです)
・醤油
・酒
・はちみつ
・酢(富士酢)
・水…魚がひたひたになるように、調整。
以上を鍋に入れて煮立てたところに、魚を一切れずつ並べていきます。
魚の身が汁から出てしまう部分には、スプーンなどで煮汁をかけたり、鍋全体に蓋をして蒸し煮状態になるようにして、調整します。
魚の大きさにもよりますが、5分〜10分以内に火を止める。今回はそれほど身が厚くなかったですし、三枚におろしたものでしたので、5分ほどで火を止めました。
煮魚は火を入れ過ぎると、パサパサになって台無しです。基本的に、魚はすぐ火が通りますし、蓋をして余熱で仕上げるくらいの感覚で良いと思います。(もちろん、厚みのある魚を丸ごと調理するときは、注意がいりますが。)

日を止めたらすぐ、5センチの長さくらいにカットした青ネギをたっぷりと乗せて、再び蓋をします。こんなに??というくらい載せちゃって大丈夫。4人分だったら、市販の一束全部使っても大丈夫です。もっと多くてもいいかもしれない。蓋をすることで、余熱でネギをしんなりさせるイメージです。もちろん、しんなりしすぎて、煮汁をしっかり吸ったネギも美味しいので、そこは成り行きで。
盛りつけ時には、魚の上にたっぷりのネギ、そして、豆鼓と煮汁をかけて仕上げます。生姜と大蒜は香りづけなので必要ありませんが、お好きな方は食べちゃってください!


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