見出し画像

私の居場所、秘密のロッカー

更衣室には、ヒーローがいるのを知っているだろうか?

大学病院で働いていたとき。
私の居場所はロッカーだった。
怒られてばかりで、病棟に行くのが憂鬱だった時期。
隣の人がおはよーって話しかけてくれた。
違う病棟の看護師で、先輩にあたる人。

会えば必ず話をしてた。
今日の服可愛いねーとか。
カバン昨日と違うね、鍵忘れなかった?とか。
急に話しかけてくれるようになった。

私も嬉しくて、
今日は採血が一回でできました!とか
点滴がぴったりの時間に交換できたんですとか。
患者さんに怒られてもう嫌ですとか。
いろいろ。
更衣室で話を聞いてもらってた。

先輩はうんうんっていつも笑って聞いてくれた。
それからロッカーで話す人がどんどん増えて、全員働く部署は違うけど顔も名前も好きなお菓子も知ってるっていう状態。
今思えばちょっと特殊かもしれない。

更衣室が着替えるだけの場所ではなく、
誰かに助けてもらったり、たまにその逆もあった。

最初に話しかけて仲良くなった先輩は、実習生やその病棟の人たちからは
“怖いのによく話せるね”
と噂されるほどの人だよって言われてた。

でも私は全く怖くなかった。
だっていっつも話しかけてくれるんだもん。

数年後にその先輩の同期の方から(病棟が一緒になった)
あー!ロッカーの子ってしょうこか。
あの時話しかけなかったから、この子辞めるんじゃないかみたいな顔してたって聞いてたよ
って言われた笑

そのあとにロッカーの先輩と会ってその話をしたら。

だって、本当に顔が暗くてさ。
心配で心配で話しかけたの。
そんなことしたの初めてだったよ!緊張したんだから。

ずっとヒーローだと思ってた先輩も緊張するんだ。

たまにロッカーにお菓子が貼ってあってね
〇〇に行ったからお土産だよとか
夜勤でしょ?頑張りなとか
そんな感じ

患者さんの話をもっとゆっくり聞けたらいいのに。
本当はこんなことをしたいのに。
そんな話をずっとしてた。
うんうんって聞いてくれた先輩たち。
私を一人ぼっちになんて絶対にさせなかった人たち。

いつもロッカーは私の心が安心するような場所だった。
病棟に行くために履いたナースシューズには、
足取りを軽くする魔法をかけてくれた。

私もいつかそんな人になる。

𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄
あなたの大切な時間を使って読んでいただけて本当に嬉しいです。
ありがとうございます。
もしこの記事が好き!いいな!そう思っていただけたら是非ハートをクリックしていってください。フォローもコメントも大歓迎です。


いいなと思ったら応援しよう!