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駅前で見かける人たちと「洗脳」の話

駅前で宗教の勧誘をしている人たちを見かけるたびに思う。
「年末年始もずっと立っているんだな」って。
たぶん彼らには彼らなりの使命感があって、信じるもののためにやっているんだろう。
だけど正直なところ、
「自分のために時間を使えばいいのにな」
と思ってしまうのが本音だ。

私がこんなふうに思うのはきっと、彼らの行動が自分の価値観からはかけ離れているからかもしれない。
誰かに自分の考えを押し付けるようなことをする時間があれば、自分自身の幸せや未来のために何かをしたほうがいいんじゃないかと思う。だけど、もしかしたら彼らにとっては「その行動こそが自分の幸せにつながる」と信じているのかもしれない。それはそれで、否定するのも違う気がする。
私のこの考えだって、押し付けかもしれないし。

ただ、その「信じる」という行為が、どこか「抜け出せないもの」にも見えてしまうのが気になる。
抜け出したいとさえ、気がつけないと言うか。

昔、母親が言っていた言葉を思い出す。
「子育てって、ある意味では洗脳に近いからね」

私はその言葉を聞いたとき、ものすごく驚いた。洗脳という言葉には、どこか怖い響きがあるからだ。
我が家とは無縁だと思っていた洗脳。
いつも隣り合わせだったなんて。

だけど、母が言いたかったのは、親が子どもに価値観を刷り込むことは避けられない、という話だった。たとえば、「こうするのが正しい」「こういう人がいい人」といった基準を、親は子どもに自然と伝えていく。もちろん、意図的にやっているわけではないけれど、それが結果的には「小さな洗脳」に似た形になるのかもしれない、と。

私の家では、箸や鉛筆の持ち方は特に厳しかった。
できるまでずっと特訓させられた。
大人になってから恥ずかしい思いをしないように。親の最大級の愛かもしれないけど、もし私が一生正しいとされる持ち方ができない場合は親はどんな顔をしたのだろうか。

宗教の勧誘をしている人たちも、きっと自分の「正しい」と思うものを信じている。
その信じる力が彼らを動かし、駅前に立たせている。だけど、その「信じるもの」が、いつしか自分自身の生き方や選択肢を狭めてしまっているようにも見える。
だって立ちたくてたっていると、思わされているだけかもしれないし。

宗教だけじゃなく、人生の中で私たちはいろんな「小さな洗脳」を受けていると思う。
親から教えられた価値観、学校で言われたルール、社会の中で求められる役割。そういうものに従うのが当たり前で、そこから外れることが怖い。だからこそ、人は何かを信じ続けることで安心を得ようとするのかもしれない。

でも、それって本当に自分の選んだ道なんだろうか?
宗教に限らず、誰かに勧められたもの、社会が「これが正解だ」と言っているものに、知らず知らずのうちに縛られているかもしれない。

私は駅前の彼らを見て思う。「抜け出すのって、きっと大変なんだろうな」と。
一度信じたものを疑うこと、それを手放すこと。これは本当に難しいことだ。信じるものがなくなるということは、自分の存在の根幹を揺るがされるような感覚になるだろうから。

でも、抜け出すことがすべて正しいとも思わない。
信じるものを持つことも、その人の自由だ。重要なのは、自分が信じているものが本当に自分の選択なのか、それとも誰かに「刷り込まれた」ものなのかに気づくことだと思う。

母親の言葉を思い出しながら、私も自分自身に問いかけてみる。
私は今、何を信じているんだろう?
それは誰かに教えられた価値観ではなく、自分で選んだものだろうか?

駅前の人たちを見かけるたびに、そんなことを考える。
彼らの姿は、ある意味で私たちの生き方を映し出しているのかもしれない。信じるものに縛られることも自由だし、そこから抜け出す努力をするのも自由。どちらを選ぶかは、自分次第だ。

だから、私は思う。自分の信じるものを疑うことを怖がらないでいたい、と。
誰かに「それは間違っている」と言われても、「いや、これが私の道だ」と胸を張って言えるような信じ方をしたい。

駅前に立つ人たちを見て、そんなふうに考える2025年の朝。

彼らが信じるものもまた、彼らにとっての真実だ。
私はその真実に寄り添うことはできなくても、自分自身の生き方を見つめ直すきっかけとして、そっと心に留めておくことにする。

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自分の信じているものを否定されたら悲しいし、でもそれはちょっとって仲のいい人なら止めたくなる気持ちもあるし。
ネットワークビジネスにハマっていく人に対しての気持ちとも似ているかもしれないです。

大切な時間を使って読んでいただけて本当に嬉しいです。ありがとうございます。
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