デートにサイゼはアリかナシか?私の答え
「しょうこちゃん、美味しいイタリアンがあるから、一緒に行こう!」
10代のある日、1歳下の男の子にそう誘われてデートに行った。
連れて行ってくれたのは、そうサイゼリヤだった。
「サイゼリヤ?サイゼリア?」と脳内で一瞬迷うのは10代も今も変わらない。
大体サイゼで会話が成立するからかもしれない。
今は時折デート論争で話題になるサイゼ。
美味しいイタリアンに連れてきてもらった私は、「おぉ、サイゼ!」ってテンションが上がった。
なんなら、ミラノ風ドリア(半熟卵のせ)を注文する気満々だった。
そして彼はすごく真剣な顔でメニューを開きながら、「ここ、美味しいんだよ!」と熱く語ってくれた。まるで、知る人ぞ知る名店を紹介するかのように。
その様子が、なんというか……すごく可愛いらしくて嬉しかった。
「美味しいものを食べさせてあげたい!」という純粋な気持ちが伝わってくる感じ。
だから私は、「へぇ〜!楽しみ!」と笑顔で返した。
サイゼを知らないふりをした。
そして、彼もなんとミラノ風ドリアオススメしてくれた。
うん、安定の美味しさ。
間違いない。
けど、私は食べながら気づいてしまった。
多分彼はサイゼリヤを知らないで育ったんだろうな。
サイゼリヤは、全国にあるチェーン店だ。
リーズナブルな価格で、気軽にイタリアンが楽しめるお店。
高校生でも、ワンコインで満足できる(当時)
デートから数日して彼が私に言ったのだ。
「なんで教えてくれなかったの?」
ん?なにを?
「サイゼ、みんな普通に行くお店なんでしょ?」
少し私は考える。
みんな?何人行ったらみんなになるんだろう。
確かに私の周りに行く子は多いけども。
そう、彼の地元にはサイゼリヤがなかった。
だから彼にとってサイゼは、「知る人ぞ知る美味しいイタリアンレストラン」だったのだ。
私を“特別な場所”に連れて行ったつもりだったのに、実は普通にみんな行くお店だったと知って、めちゃくちゃショックを受けていた。
でも、私は「教えなかった」という意識すらなかった。
だって、本当に嬉しかったし、美味しかったし、楽しかったから。
本当は私が嫌な思いをしていたのではないかと気にしていた。
「え、でも私、すごく楽しかったよ?」
そう言ったら、彼は「ほんと?」と安心したような顔をしていた。
この出来事をきっかけに、「デートにおけるお店の価値」について考えるようになった。
一般的には、「デートはおしゃれなレストランで」「特別感のある場所で」みたいな意識があるかもしれない。
でも、本当に大事なのはそこじゃない。
どんなお店かよりも、
「相手がその場所をどう思っているか」のほうが大事だったりする。
サイゼリヤを「ただのファミレス」と思う人もいるだろう。
でも、彼にとっては「美味しいイタリアン」だった。
それを純粋な気持ちで伝えてくれたことが、何より嬉しかった。
それに、よくよく考えたら、サイゼって最強だと思う。
・安いのに美味しい
・メニューが豊富
・長居できる
・なんならワインも飲める(私は飲めないけども)
大人になった今でも、普通に利用する。
仕事帰りにふらっと寄ることもあるし、友達と「今日はサイゼ行こ」っていまだになることもある。
たぶん、この先もずっと、サイゼにはお世話になると思う。
そして、サイゼに行くたびに、あのデートの日を思い出す。
「美味しいイタリアンがあるから、ぜひ!」と目を輝かせていた、1歳下の男の子のことを。
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口が真っ黒になるけど、私はイカ墨のパスタが好きです。
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