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ありったけの有難うでサヨナラをしよう

エンバーミングという言葉をご存知ですか?

医療従事者の間でもまだこの言葉はあまり浸透していません。

エンバーミングは日本語で「遺体衛生保全」と訳されます。

亡くなった方のご遺体に防腐、殺菌処置をするものでできるだけ元の身体の状態に近づける
その仕事をしている人を「エンバーマー」と呼びます。

エンバーマーになるための学校は日本で唯一神奈川県にあるそうで、2年の勉強、実習のあとに試験に合格後に資格を取得できるそうですが、民間資格だそうです。

日本でのエンバーマーの数は約150人。

エンバーマーの仕事をしている人(元々は看護師からなったそうです)が教えてくれるエンゼルケアの勉強会に以前参加してきました。

私はエンゼルケアはだだ単に亡くなった人を綺麗にするだけでなく家族へのグリーフケアを含めていると思っています。
家族の思いを感じるとること、最期の最期まで大切に扱ってもらえたと感じてもらうこと。
それが大切なことなのではないかと思っています。


メイクとエンゼルメイクの違い
メイクは綺麗にしたり華やかにするもの
エンゼルメイクはその人らしさを引き出すもの
普段メイクをしない人がラメの入ったお化粧品を使って、綺麗にすることは本当にその人らしさなのかどうか


詰め物をするかどうか
亡くなったあと、鼻や肛門につめものをするのですが(体液がでてこないように)医療現場ではこれは分かれます
どっちも根拠があるけれど、エンバーマーの立場からみるとつめものをしていない人の10人に1人の割合で体液がでてくることがあるそうです。


ペースメーカーなどが入っている場合それをとるかどうか
できる限り病院での取り外しを推奨していて、理由はリチウム電池の破裂による火葬路の損傷や火葬技師への被害がないとはいえないからだそうです
ただ、ペースメーカーを取り外す際に縫合部から出血する場合もあるためその後の処置をしっかりとすることが理想とのこと。

もし取り外せない場合はご家族や葬儀の人に一言ペースメーカーが入っていますよと伝えられたら伝えるといいそうです。

いろんな意見がある中で、「エンバーミング」を仕事にしている「エンバーマー」の人からの話を直接聞けるのは貴重な経験でした。

最期の最期まで立ち会うことができるなら、私には何ができるのかなといつも考えます。

エンゼルケアをしながら、いつも通りに接することはとても難しいけれど(やっぱり悲しくて泣きそうにはなる)

昔患者さんが亡くなって、ご家族を病院から車を見送ったあと後輩に聞かれたことがあります。

「何で車が見えなくなるまで頭を下げるんですか?」

この答えが言葉にできたのは見送った患者さんのご家族が後日病棟に挨拶をしにきてくれた時

「車からね、皆んなが頭を最後まで下げて見送ってくれた姿が見えたの。
ここでね、すごく大切にしてもらってここで亡くなってあの人は良かったなってそうやって思ったの。
頭を下げて欲しいわけじゃなくて、その姿にちょっとほっとしてね。
あ、ここで亡くなって良かった。そう思ったんだよ」

どうしても分からないことがあって、勉強をしたくて朝イチの飛行機まで九州に勉強をしに行った日。
エンバーマーの人が私にくれた言葉があります。

“病院や施設での一番の患者さんのその人らしさを知っているのは医者でもなければエンバーマーでもありません。
いつだって辛い治療の時も苦しい時も
悲しくて八つ当たりだってされるのはあなたたち看護師です。
そんなことがあったって、こうして知りたいと思って勉強にくる。

その人がどんなことが好きだったか
どんな人だったか
一番の「らしさ」を知っているのはあなたたちだと思います。
看護師だって、信頼関係を築いてきた患者さんが亡くなって悲しいのは当然のこと
エンゼルケアは、患者さんとその家族に対して行うケアだけど、それだけではないことを知っているはずです”

出会ってくれた大切な患者さんに、
ありったけの有難うでサヨナラをしよう。

𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄
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