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いただきますとごちそうさま。⑮
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他の投稿でも何度も描いているのですが、「あなたはとても大切な存在だよ」っていうメッセージは、摂食障害のどんな治療や薬やカウンセリングなんかより、絶大な効果があると思うんです。
というか、むしろそれに尽きるのではないかと。
他者からの「大切だよ」っていうメッセージを受け取る。
自分からも「大切だよ」って自分に伝える。
そうやって、一般的な基準とか評価とか関係なく、「自分は大切な存在なんだ」って心から実感できれば、過食嘔吐という自分を傷付けるような手段を使わなくても、自分のメンタルを保てるようになります。
ここで、摂食障害の人をサポートする側の人へちょっと補足ですが、相手を大切にするというのは、「私はあなたを大切に思ってる」っていうメッセージを押し付けることではありません。
例を挙げると、一昔前の手編みのマフラーとか、拒食症の子どもに毎食栄養たっぷりのご飯を作ってあげるとか。
もちろん、相手に何かしてあげたいっていう愛情からだろうとは思うのですが、趣味でもないマフラーを使わなきゃいけない彼氏側の思いを、毎食、母親の手の込んだ料理を捨てるなり吐くなりしなきゃいけない子ども側の思いを考えてもみてください。
いや、マフラーは嬉しいかもしれない。ごめんなさい。
好きな人からもらったものは趣味じゃなくても嬉しいものだよね。
とにかく、重要なのは「どうしたら自分の愛が相手に伝わるか」ではなく、とことんまでその大切な相手の気持ちに寄り添うこと。
「バカげてる」「間違ってる」「私はこう思う」「こうしなさい」
サポート側は、こうした態度を一切捨ててください。
摂食障害当事者が子どもだろうとなんだろうと、苦しみ、悩み、もがき、そして一番真剣に考えてるのは当の本人なんです。
非力で、未熟で、頼りなくて、経験も浅い。
そう見えるかもしれない。
だけど、必要なのは、相手の力を信じること。
そして、必要なサポートに徹するということ。
「あなたの力を信用できない」は、「あなたは大切な存在だよ」とは真逆のメッセージです。
焦るだろうし、心配だろうし、何かしてあげたいという気持ちはよく分かります。
だけど、その行動が、相手の気持ちに寄り添ったものか、それとも自分の不安を払しょくするためのものなのか、ちょっと立ち止まって考えてみてほしいと思います。
あなたの大切なその人が、もういちど「ご飯が美味しい」を取り戻すことができますよう。