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駅から我が家は徒歩20分。じっくり緩やかな坂道。行きは良い良い。帰りが本当にキツイ。

健康のために毎日歩きたいのだが、ちょっとイクジ無しの今週は、原チャリ。

原チャリが最高に好きである。

ヘルメットをかぶって、着席。スイッチブルンで、走り出す。爽快。

いつも何か忘れてるんじゃないかと思ってしまう。車なら必ずシートベルトがいるのに、原チャリは、本当に座るだけ、なんだもの。


箱根の山の中で育った。中学までは、箱根の中にあったけれど、高校は、小田原まで路線バスで下りて、そこからさらに電車に乗ったりそれぞれ行く。遠い高校に行く子から朝早い時間のバスに乗り込んで、みんな山を下る。毎日。箱根の子にとっては当たり前。

ある朝、バスに乗った。いつもどうり。

しかし、道の半分に差し掛かった頃、同乗していた同級生の男子が叫んだ。

「ゆうこだ!」

もっと早い時間のバスに乗らないと間に合わないはずの高校に通っている、ゆうこちゃんが、原チャリに乗って、ものスゴイ速さで我々の乗っているバスの後ろを追いかけるように走っていた。バサバサと制服のスカートを翻して、やがて追い抜いていった。

バスの中のみんなで、その後ろ姿を見送った。

朝から、ちょっとセンセーショナルな思いがした。

きっとゆうこちゃんは、小田原駅の近くにバイクを止めて、何食わぬ顔で電車に乗って、普通の顔して教室に入るのだ。

朝から、箱根の山道であんなにレーサーみたいな走りをしていたのに!

みんなと同じバスになんか乗らずに、一人でバイクで走るゆうこちゃん。


その時から、いつかわたしも、と思っていたような気がする。

そんなこともすっかり忘れていたけれど、42、3歳で叶った。

そして、ものすごく、爽快。自由。

ゆうこちゃんは、今はどうしているだろう。もっと遠くに行ってしまっているのかも。


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今井しょうこ@考古遺跡発掘ワークマニュアル📖
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