雑多な抜き書きより
ノートに走り書きされた、もはや出典もよくわからない言葉たちを転記しておく(多分、多くは当時購読していた毎日新聞だと思う)
最終的解決なるものはないのであって、暫定的解決を無限に続けていくのが歴史だと思う(大平正芳)
なにかを本気で知りたくなると、どこかで知っている人とつながる道が、不思議と切り開かれるものだ(アーサー・ビナード)
なんでも外に向けて表明せよとささやくソーシャルメディアの誘惑は強い。それにあらがい、内に秘めるべきものと外に表すべきものを確かに隔てる内省の力が求められている。内心の自由は自然に与えられた権利ではない。自分たちの自覚と実践を通じて守らなければ守れないのだ。(武田徹)
仕事は手を抜かず、ナメずにまじめにやっていれば、なくなることはないと思う。おれの意見だけど、プライベートが充実していなかったら、第一線では活躍できない。考え方が自己中心的になってしまうんだ。(中略)視野は少しでも広い方がいい。(唐沢寿明)
特に印象に残ったのは、「読者の信用を得るうえで重要なのは、(作者)本人にとって切実な問題を書いているかどうかだ」という平野さんの話。創作に欠かせないのは「書く必然性」だという。
そこで思い出したのは、8年ほど前、原稿を書くのが遅いという悩みを口にしたとき、先輩記者に言われた言葉だ。「それはね、自分の中の”圧”がまだ足りないんだよ」。表現こそ違うが、平野さんの話とどこか通ずる。ただし、記者の場合、切実な動機は通常、自分ではなく、取材対象と真剣に向き合うことで生まれる。今、私の”圧”は足りているだろうか。ふと自分に問いかけた。(須田桃子 毎日新聞 2015年12月17日・夕刊)