絵本の中の美味しそうな食べ物たち
食べることが人生の楽しみなのだが、食べ物の絵も大好きだ。食べられなくてもいい、眺めるだけで幸せ。
特に、絵本に描かれた食べ物って、何であんなに美味しそうなのだろう。
『ぐりとぐら』のカステラ、『カラスのパンやさん』の見開きいっぱいに描かれたたくさんのパン、『こまったさん』シリーズの、ヒヤシンスの根っこのラーメン、『おばけのてんぷら』の、うさこさんが次々と揚げる野菜の天ぷら、昔話ド定番の『桃太郎』のきびだんご、『おむすびころりん』のおむすびなどなど‥。
あと、絵本ではないが、アイスクリームの写真を山ほど掲載した子ども向けの本も大好きだった。
私のお気に入りは、ガラス製のアイスクリームカップに、モンブランのような麺状の茶色いアイスクリームが載ったものだった。
私はそのアイスクリームに、確か「めんま」という愛称をつけていた。
絶対に食べられないからこそ、どれほど美味しいものか、味を想像しながら楽しんだものだ。
以前、料理の先生が、「料理は見た目が一番大事。次に匂い、最後に味」といった趣旨のことを仰っていて、めちゃくちゃ納得したのを思い出す。
絵本は卒業してしまったが、近年は、イシヤマアズサ先生の『真夜中ごはん』『つまみぐい弁当』で描かれる食べ物の彩りに感動し、ナガノ先生のフードイラストの更新を心待ちにしている。
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余談だが、後に、きびだんごだけは本物を食べることができた。
五味太郎さんのパッケージイラスト(現在はリニューアル済)で有名なそれは、動物たちを従える力強いイメージとまったく違う、上品で優しい甘さのお菓子だった。