祈りの力 2
お盆ですものね。
ちょうどいいから書こうかな、やっぱり。
前回「祈りの力」で書いた、私が大好きだった人について。
私は、海外へ出る前の20代の頃、
都内の外資系レコード会社で働いていました。
マーケティングや宣伝、海外渉外など一通りさせてもらえ、たくさんのコンサートを見て、実際に来日アーティストと仕事をしたりして、とても刺激的な毎日を送っていました。
でも心の奥からの叫び声を無視し続けることはできなかったんですね。私は海外へ出たかったし美術を美術を学びたかった。人間やり残したことを放ったまま人生進んではいけないんです。
ちょうど音楽業界はCDからオンラインストリーミングへと音楽を売る形態が変わり始めた頃でした。会社が吸収合併等で、私がいた洋楽部も閉鎖になることに。私はこれは最後のチャンスだろう。と思い、周囲の反対も押し切って退職。高校・大学時代に出来なかった長期留学をすることにしました。
それから実際に海外へ引っ越すまでの数ヶ月を実家のある長崎で過ごすことにしたのですが、そこでとある会社へ通訳事務として短期派遣で働くことになります。
東大出身のエリートが多い職場、いかにも日本の団塊世代のおじさん、
という人たちが仕切る職場で、音楽業界という割合自由な社風になれていた私には窮屈なところでした。そんなところで出会ったのがSさんです。
Sさんは、とても優秀な方で、気さくで冗談も通じる人。仏頂面した人の多い職場で、私を見るとニカっと大きな笑顔を向けてくれる希な人。
長身で大きな身体を持て余すかのように猫背で、周囲を和ませる雰囲気を持った素敵な人でした。
Sさんはすぐに私の「会社のお気に入りの人」になりました。
でももちろん恋愛感情というのとは別物です。
私はあと数ヶ月後には留学することになっていましたし、歳も一回り上の
Sさんは奥様と2人の息子さんたちと幸せな生活を送っていました。
1ヶ月後、留学に出る私に
「寂しくなるなあ。気をつけて行ってきてね」
と言ってくれた人。
一緒に働いたのは実質たったの1ヶ月。
あっという間の時間。
でもたった1ヶ月しか同じ場にいなかったということが嘘のように、
その後ずっと私の人生に、何か大きな家族の一員のように
いてくれています。
家族っていうと、あれだな。
やっぱり異性としても好きだったよ。
Sさんも同じだよね。ふふ。
続きはまた次回。
読んでいただきありがとうございました。