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母の背中を見つめて追いかけて、今、私は。

母の匂いが好きだった

過去形なのには
訳がある
19歳のとき
母を胃がんで亡くしたからだ

私のそばには
いつも母がいた
保育園へは
祖母が一緒だったけれど
17時過ぎ
母が祖父母宅に迎えに
仕事帰りの自転車でやってくるのが
待ち遠しかった
座布団も敷かない
荷台に乗り 
ガタゴトと
舗装も乏しいアスファルトを
しっかりと母に掴まり
帰る毎日が懐かしくて
愛しい

母を亡くして
23回忌を終えた今年

母がずっと
私の背中を押し続けてくれていたこと
母の子育て日記を読み返して
改めて実感してジーンとなったんだ

1518gで産まれた私は
ずっと母の心配でしかなかった
まともに育つのか
五体満足でも
知恵おくれでないか
発達障害でないか

母と小学校6年まで通った
こども病院への道のり
母はいつも怪訝な顔をしていた
終わるとホッとして
もうここに来なくていいとなった日のこと
思い出して
胸が熱くなる

次男の発達障害グレーゾーンに
あたふたして
不安になり
どうしたらいいのか
いつも悩むと
母の日記を読むことが増えたんだ

会えないけれど
ここには
母の言葉がある
母の言葉が生き生きとしていて
しんどい心の隅々まで
行き渡る気がして

義母や姉には言えないことも
言葉にしたくてもできないことも
母の日記に
表すかのように
私の気持ちが共感している

会えなくてもね
次男が言うように
天国でいてくれるからね
ママはママでいられるのよ

淋しい時もね
あるけれど
お墓参りすると
会えたようでホッとするの
だからさ
あなたたちも
お墓参りしてほしいの
母方の方もね

ママが死んでも
きっと会えるよ

辛い時も
背中押すからね

私は日記は苦手だけれど
ここに記した言葉が
私が残す
大切なこどもたちへの
メッセージなんだ
だから
ここに
残すよ
いつでも
ママに会えるように

優しくてかわいいこどもたち
私のかけがえのないこどもたちへ

#創作大賞2024 #エッセイ部門


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