回り道、バンザイ 〜俺は畑には行かないと言ったA〜
子どもの決断を尊重する。
最短距離を行かせようとしない。
わかっちゃいるけど、とても難しい。
俺は畑には行かない
「遊びが人生の骨格をつくる」じぶん旅ジョニーです。
昨日のじぶん旅。メインは「ジャガイモを植える」。
100日後、今日植えたジャガイモを収穫して、ポテトチップスにして食べよう。という"食いしん坊万歳"な企画。
子どももオトナも、未来のポテトチップスに向けて集まった。
スタートし、すぐ畑に向かうことに。子どもたちの遊びが始まる前に。
畑と遊び基地は歩いて5分くらい、少し離れている。よって、遊びが始まった後だと、大多数の子どもは、畑には行かないのだ。そりゃそうだ。こっちで遊ぶのは楽しいもの。畑で何をするかイメージもできないしね。
前回畑に行った時も、遊びが盛り上がっており、子どもたち10人中8人は残ると言った。
そんなこともあったため、今回は、前回の教訓を活かし、遊びが始まる前、集合してすぐ畑に向かおうと決めた。
そして、集合後、「さあ行こう」と畑に向かおうとした瞬間、
Aは言った。
「俺は残る」
そう、彼は、前回も残った。
残るは残るでいい。
ただ、彼は作業が好きな子。小さい頃から薪割りをこなし、竹を切ったり焚き火をつけたり上手い。オトナ顔負けに作業をこなしてくれるのだ。
みんなが探検に行っている間もトーさんとふたりで残り、「俺がやっておいたから」と、大量の薪を見せてくれたことも、1回ではない。彼は本格的な道具で作業することが本当に好きなのだ。
なので、Aのご両親もワタシも、彼が畑に行ったら、きっとそこで新たな好きを見つけるであろう。なんとなく感じていた。
しかし、今回も行かなかった。
連れて行ったら、畑作業にハマるだろう。「ね、言ってよかったでしょ」と言えるだろう。
でも、彼のトーさんカーさんは、彼の「残る」選択を尊重し、我々に背を向けて向かった、作り途中の「水路」に、一緒に居残ることを了承してくれた。
そして、畑から帰ってくると、Aは庭の竹林で採った大量のタケノコをドヤ顔で見せてくれ、それをみんなで調理し、「採りたてタケノコのお味噌汁」が完成した。ちょっとタケノコが足りなそうだと言うと、家に持って帰る分までお味噌汁用に供出してくれ。
美味しいお味噌汁。Aは、いい顔してた。
水路は、手伝いに来てくれた吉田のおじちゃんと一緒に、20m超のロングコースを完成させた。Aは大汗をかきながら「俺の水路が完成した」と言った。
回り道、バンザイ
1日の終わり、カーさんは「(今日の畑にはAを)無理して連れて行こうかと思ったけど、ここは彼の選択を尊重する場だと自分に言い聞かせた」と話してくれた。悩んだと。
そう、ワタシも、そこ迷った。無理にでも騙くらかして連れて行くってのもアリかと。彼はまだ作業スタートしていなかったしね。
でも、看板に「じぶんで遊びをつくる」をテーマに掲げているじぶん旅。危うく遊びを作ろうとしていた彼を黙殺してしまうところだった。危ない危ない。ここの場の価値を、何より理解してくれているAのトーさんカーさんに感謝。
「ほら、よかったでしょ」の厄介さ
子育てをしていると、つい言いたくなる「ほら、(言うとおりにして)よかったでしょ」。習い事や、出かける先など、ワタシも娘との関係でよくある。
良かれと思って、オトナが先回りしてしまう現象だ。ことわざとかもある気がする。
もちろん、その通りの時もある。まず来てみてわかることもあるからだ。
しかし、こういう、先が見えない時代だからこそ、子ども達自身の決断を尊重し、彼らが自分で決断したことに自信を持ってもらうことが大事なんじゃないかと思っている。
今回のAのように。
時に、シッパイすることさえ、大事だったりする。
自分の意志で決めた経験が増えると、自分の決断に自信が持てる。いや、むしろ、その決断に自信なんかないのかもしれない。ただ、何を選択しても、その先大丈夫だと思っている。そんなニュアンスに近いのかもしれない。色々あるかもしれないけど、それ含めて、まあ、大丈夫よねと。他人指標の軸で決めてない分、余白がすごいのだ。
遊びが育むチカラ
そうした経験を多く積めるのは、「遊び」だ。オトナが介在せず、自分たちでルールを決めて、ルールを変え、時にケンカし、大笑いして、サイコーを作りだす経験。
ワタシもそうだった。竹林を修行場所に見立てて飛び回ったり、お寺のお堂で鬼ごっこやったり、自転車で町中を走り回ったり、やりたい放題だった。
オトナが入りすぎない。ここも大事な1要素。オトナは面白く出来る。でも、それだけだと、子どもがサービスの受け手になってしまう。
「ミッキー、次何してくれるの??」ではなく、自分自身でディズニーワールド作れると思っちゃう。そんな気概を作っていきたい。
昨日、子ども達はカエルをつかまえ、バケツの中に小さな世界を作っていた。苔を入れ、竹を浮かべ、想像力が爆発したフロッグワールドだ。ネズミの次は、カエルが来るかもしれん。
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