海外で初めての健康診断に行ったら、色々衝撃だった
スイスで働いているとき、はじめて海外で健康診断を受けた。
先進国だし、たいして違いはないだろう、と呑気にかまえていた私。
今思えば、事前の尿検査の時点で確かにちょっと様子がおかしかった。
日本だと、私の記憶が正しければ、あらかじめ醤油入れみたいなケースに採取した尿は、中身が見えないように黒い袋に入れた上で、さらに紙の封筒で包んで、回収された。
スイスでは。
袋に入れた醤油入れを、別室で待ち構える看護師さんに渡そうとしたら、
「袋から出してください」
と冷たく一言。
醤油入れをそのままお姉さんに手渡した。
明るい電灯の下で光り輝く私の聖水。
「アイドルはトイレになんて行かない!」と信じてるファンからしたら大スキャンダルである。
まあ、私アイドルじゃないからいいんですけど。
続いて一般検診。
名前を呼ばれて、診察室に入ったら40~50代の男性のお医者さんがいた。
「じゃあ、下着になってください」
え?ぽかんとする私。
「服。脱ぐ。ブラジャーとパンツオンリー。オッケー?」
先生は私がフランス語を理解してないと思ったのか、英語とフランス語の単語を並べた。
おそるおそる服を脱いで、気づいた。
下着が上下バラバラだ。
お医者さんを誘惑する気は毛頭ない。ただ、「うわ下着ダサいな~日本人って意外とズボラなんだな~」とか思われたかもしれない。
日々美意識高く頑張る日本女子の皆さま、ごめんなさい。
私の脚についた複数の青あざを見た先生が、
「まさか、家で暴力とか振るわれてないよね?」
と、緊張感MAXで聞いてきた。
すみません、それはこの前、酔っぱらって家に帰って盛大に転んだだけなんです…。
日々美意識高く頑張る日本女子の皆さま、ごめんなさい(2度目)
診察内容はまあ割と普通で、心音聞いたり、腕あげたり下げたりしたり、目つぶって片足立ちしたり、かっけの検査もした。
ふと思う。これ下着姿になる必要あった?
さらに数日後、婦人科検診があった。
一般検診ですっかり学習した私は、手持ちの下着の中で派手すぎず、でもダサすぎない絶妙なバランスのセットを身に着け、大和なでしこ代表として戦いに挑んだ。
名前を呼ばれて診察室に入ると、今回も40~50代くらいの一般検診とはまた別の男性のお医者さん。
「じゃあ、そこのカーテンの後ろで着替えてください。」
と、薄いブルーの紙製ワンピースみたいな診察着を渡された。
あ、今回は羽織るものがあるのか、と安心したのも束の間。
「ノンノン。下着も全部脱いで」
え?ぽかんとする私。
「ブラジャーとパンツ全部脱いで。裸。オッケー?」
せっかく勝負下着なのに?
すっぽんぽんに心許ないペラペラの紙きれを纏う私は誘導されるがまま、診察台に横たわった。
あれ?
婦人科でよく見かける「アレ」が見当たらないことに気づく。
日本の婦人科では必ず設置してあるアレ。
そう、腰のあたりにぶら下がるカーテンがない。
無駄に広い診察室にポツンと置かれた診察台。
検診中、お股をのぞき込むお医者さんとがっつり目が合い、なんともいえない感情に包まれた。
今回は完全に敗北。大和なでしこ代表、完全敗北。
日本は病院の診察でさえも、ちょっとした配慮が隅々まで行き届いた気配りの国なんだなあ、と改めて感心した。
おそらく国や病院によっても診察方法はさまざまだと思うが、海外で健康診断を受ける際は、どうか油断なさらぬよう。