おじいちゃんの話。追記。

日曜日、おじいちゃんのお別れ会が終わった。


おじいちゃんの遺言書には

「戒名は絶対いらない。骨を地上に残さず散骨してくれ。

葬式葬儀告別式の類はせず、家族だけのお別れ会なら許す」

と書いてあったので、お坊さんも呼ばず、漢字だらけの戒名もつけられず、

本当に家族だけの家族のためだけのお別れ会を行なった。

お坊さんのありがたい話を聞くときに

どうもそのお坊さんの話のうさんくさいところや嘘っぽいところを

探してしまう癖があるダメな孫なので、助かった。

宗教の類は全て信じていないところ、おじいちゃんとは気があう。


棺の中のお花に囲まれたおじいちゃんは、仏様のような顔をしていて

大好きだった氷結を、綿棒みたいなものをつかってちょんちょんと口に濡らしてあげる。

おじいちゃんが目を閉じながら氷結を飲んでる姿を思い出してまた泣く。

そうこうしていると、焼かれる時間になって、

おじいちゃんは骨になって、その骨を骨壷に入れた。

この骨を粉々にして、夏に海に散骨する。


おじいちゃんが好きだったイタリアンの店に行って、

店員さんにおじいちゃんが亡くなったことを告げたら、泣いてくれた。

そしてウイスキーのオンザロックをくれた。


こうして、おじいちゃんはおじいちゃんのままいなくなった。

最後までお酒が好きで最後まで自分の意見を曲げない頑固ジジイで、

最後までおじいちゃんらしい最後だった。

**

大学生の時、卒論が「ライフストーリーインタビュー」という、

人のインタビューを文章化したものだった。

大学卒業してからも、人にインタビューするのが好きで、

おじいちゃんには2回ライフストーリーインタビューをした。

改めて本当にやっておいてよかった。


ふぅ。私はいつ泣かないでおじいちゃんの話ができるようになるのだろう

わからんけれど、時間しか解決しないんだよな人の別れは。

がんばろうよなぁ。

おじいちゃん。

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