KYOTOGRAPHIE2018 京都国際写真祭 テーマ「UP」
今年ははじめて、パブリックイベントのトークを聴くことができました。
・その方法で発表することが最善か(写真集/雑誌/コンクール/展覧会) ※1
・オーディエンスは誰か ※1
・アーカイブの困難さと重要性 ※1 ※2
・私的な表現と時代性、社会・世界に提示すること ※2
など、他の芸術分野とも共通する話題が数多くありました。
メインプログラムのスタンプラリーは達成しましたが、初日はとても混んでいたのでゆっくり観られない所もありました。また、KG+に3ヶ所程度しか行けなかったのも反省点です。
メインプログラム5ヶ所の感想を書きました。
■ローレン・グリーンフィールド「GENERATION WEALTH」 @京都新聞ビル 印刷工場跡
新聞社の印刷所だった場所で展示されているため、ジャーナリズムと富の関係が わかりやすくアイロニカルで面白かったです。
ここに印刷機があった頃、新聞はここで生み出される “印刷物” だったはずです。 巨額の富やセレブの虚ろな美しさも、写真という"印刷物" に集約されてここに存在している、という点でも面白かったです。
■森田 具海「Sanrizuka – Then and Now –」@ 堀川御池ギャラリー 1階
壁や塀の写真が、また塀のように展示されていました。
撮影テーマ含め、写真が時間や場所を “越える” メディアであることが実践されているように思いました。森田氏によるステートメントにも心打たれました。
■深瀬 昌久「遊戯」@ 誉田屋源兵衛 竹院の間
作家の魅力とアーカイブプロジェクトの意義が、丁寧に整理して提示されていました。
鳥のコンタクトプリント(のようなもの)にドローイングしてある作品では、深瀬氏の目がどこに向けられていたかわかりやすく、より興味をひかれました。ブラックパンサーの展示 ※3 や、去年の二条城 ※4 でもそうでしたが、コンタクトプリントが展示の一部に加えられていると、撮影者の意図が明確になるように思います。
(作品だけでなくコンタクトプリントまで見たい、というのは、鑑賞者が作家に甘えすぎかもしれませんが…)
■中川 幸夫「俎上の華」@ 両足院(建仁寺内)
生け花を見るのは好きですが、その厳しさについては全く無知であったことを思い知りました。短い時間にしか存在しない芸術表現を追い求める孤独に、強く胸を打たれました。
黒い畳をはじめて見ました。
■アルベルト・ガルシア・アリックス「IRREDUCTIBLES」@ 三三九(旧氷工場)
独特の会場よりも、作品そのものが強く心に残りました。
アンダーグラウンドな雰囲気の人々がカメラを睨むポートレートも、殺風景な部屋の片隅をうつしたものも、ごまかしが全くありません。すっきりと潔い表現です。
“そのもの” を撮ることと、"そのように" 撮ることの違いについて考えさせられました。
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※1 トーク: 写真集を作る時に考えるべきこと
アンドリュー・サニガー(Thames &Hudson コミッショニング・エディター)
※2 トークセッション:「写真で生きていく」ということ
中島祐介、トモ・コスガ、仲西祐介による鼎談
※3 ステファン・シェイムス「Power to the People」@藤井大丸 ブラックストレージ
※4 KYOTOGRAPHIE2017
アーノルド・ニューマン「マスタークラス -ポートレートの巨匠-」
(2018年4月14日~5月13日)