園とまちの出会いを広げる「地域活動」──写真で知ろう!小規模保育【園運営】
園の移転を機に、地元のお祭りに参加したりイベントに出店したりと、地域活動により力を入れるようになりました。地域の方々や在園児・卒園児の家庭と関わる貴重な機会として、保育士のモチベーションにも大きな影響を与えています。
<京都ランド園/京都府京都市>
■ ねらいと配慮
「京都ランド園」は、京都・二条城の東側で2002年から運営される認可外施設「関西ランド園」に併設される形で、2015年にできた園です。
2019年には企業主導型保育所「二条ランド園」(定員12名)の設立に伴い、施設そのものを二条城の西側に移転。3園が同じエリアに集まるなかで、地域に根ざしていくことを強く意識するようになりました。
活動が広がっていくきっかけとなったのは、大学のお祭りへの参加で出会った「二条駅かいわいまちづくり実行委員会」に入会したこと。そこから、地元のお祭り、マルシェ、商業施設のイベントなどに声をかけてもらうようになり、子どもたちや保育士が積極的に地域にかかわる機会が増えていきました。
■ 振り返り
歴史ある京都のまち中にある当園は、近隣にさまざまな神社仏閣があり、年間を通じて伝統的な行事がいくつも行われています。「茅の輪くぐり」「みたらし祭り」など、平日に行くことのできる行事は、保育活動の中で子どもたちを連れて訪れ、地域性を感じてもらう時間を意識してきました。
一方で、土日に公園や商業施設などで開催されるお祭りには、運営側として積極的に参加するようにもなっています。ここでは、園児たちと普段している遊びの発展で、訪れる親子に向けたさまざまな催しを行います。
例えば、「てがたアート」と称して手の形をベースにアート作品を生み出したり、海をテーマにワニやサメを段ボールで型取り、魚や貝などに見立てたボールを口に入れる「ボール投げ」コーナーをつくったり。保育士が主体的に地域の人々と関わることで、園が外とつながる大切な機会になっています。
土日のイベントの場合、通常業務と別の仕事になるため、運営は「行けるスタッフだけで」としていますが、実際は「今年はいつですか? 予定しておきます!」と楽しみにしている保育士も少なくありません。地域のさまざまな子どもと触れ合える時間になること、在園児の家庭もたくさん来てくれること、そして特に、卒園した子どもたちに会える貴重な機会になることが、多くの保育士が手を挙げる理由になっています。卒園家庭の保護者と、子どもたちの成長を確かめ合う瞬間は、日々の保育への大切なモチベーションになります。
また参加に手を挙げるだけでなく、「ハロウィンパーティー」のように自分たちで園内行事としてイベントを企画し、積極的に外に出ることもあります。子どもや保育士のさまざまな側面を地域でお見せるすることで、園としての認知が高まってきているのを感じています。活動は法人のInstagramでも発信をしており、活動内容を見た保護者が「ここなら預けたい」と入園を決めてくれるケースも増えてきました。
■ 「小規模保育」としての視点
園全体が小集団であることは、地域に関わっていくときに大きなメリットとなります。地域にとっても受け入れがしやすいですし、こちらもフットワーク軽く動くことができます。外での、不特定多数の方と関わる活動は時にイレギュラーなことも起こりますが、柔軟に対応しやすいのも利点です。
もちろん、そのためには人員に余裕をもっておく必要があります。もともと子どもの人数に対して多めに保育士を配置していること、休憩がしっかりと取れて持ち帰り仕事も原則しないような体制を3園で取っていることなどを生かし、今後も活動を重ねたいと考えています。それは、園が地域に必要とされる施設であり続けるためにも必要だと捉えています。