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一時保育の枠を転用した「こども誰でも通園制度」へのチャレンジ──写真で知ろう!小規模保育【園運営】
全国各地で試行的事業が立ち上がりはじめている、「こども誰でも通園制度」。本園では2024年9月に事業をスタートさせ、7人の子どもを受け入れています。これまでの一時保育事業の経験も踏まえ、より良い制度に向けた政策提言や運用を行えたらと考えています。
<りとる・ピッピ/神奈川県横浜市>
【園児数】認可枠12人+一時保育およびこども誰でも通園制度枠6人
【保育者数】保育士9人、子育て支援員2人
(2024年10月時点)
■ ねらいと配慮
「こども誰でも通園制度」の本格実施を見据えて、横浜市では現在、市内12施設で試行的事業を行っており、りとる・ピッピもその一つとして運営に手を挙げました。先駆けて実施してみることで、メリットや課題などの意見などを伝え、より良い制度設計につなげていけたらと考えています。
また、そもそも長く一時保育事業をやっていた経験もあり、法人として、より良い形で制度を活用していけたらという思いもありました。
市のWebサイトにフォームを開設したのみでしたが、タウンニュースやマスコミの報道などで16名の申し込みがあり、制度そのものの認知の広がりや、保護者からの期待の大きさを感じました。運用に際しては、火曜と水曜の一時保育の枠6人のうち、3人分を「こども誰でも通園制度」として確保し、7人を受け入れることにしました。
ひと月10時間以内なので、1日5時間を月に2回利用される方もいれば、2.5時間を月に4回利用する方もいます。一時保育を利用した経験の全くないご家庭もありましたが、一時保育をすでに利用されている方が、利用時間枠(一時保育は月120時間)を拡大する意味で新たに申し込むケースもありました。
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■ 振り返り
よく、「こども誰でも通園制度」は子どものための預かりで、一時保育は保護者支援のための預かりと言われます。また、「こども誰でも通園制度」と一時保育では記録の取り方が変わるなど、運用上異なるところも出てきます。ただし保育のあり方そのものは、認可枠や一時保育の子どもたちも含め基本的には何も変わらず、一人ひとりの主体性を大切にしています。
さまざまな子どもと触れ合いながら、集団での生活を経験する。園でしかできない遊びを体験する。入園前のアンケートでも、こうした保育園の時間を保護者が期待していることは感じていましたし、実際に子どもたちも楽しんで過ごす姿を見せてくれています。
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本事業は、園に通っていない乳幼児の育ちを重視したものですが、一方で保護者の心身を守る大切なセーフティーネットであることも、私たちとしては強く意識してます。
核家族化が進み、子育てにおいて孤立してしまう家庭も少なくないなかで、「この日までがんばればちょっとリフレッシュできる」という機会があることは、保護者にとっても心の支えになります。保護者支援としてこの事業を広げていくことが、子どものためにもつながっていくのだと、実際の保護者の感想からも感じてきました。
■ 「小規模保育」としての視点
「こども誰でも通園制度」の対象は、満3歳児未満の子どもたち。つまり、小規模保育園に通う子どもたちと同じ年齢です。
家庭に近い環境で、日々0〜2歳児が生活している空間は、利用家庭の子どもたちにとっても負担の少ない場所ではないかと感じています。乳幼児に特化した園の特性を生かしながら、小規模保育園が率先的に事業に取り組むことで、地域の子どもや保護者が安心して毎日を過ごせる社会をつくっていけるのではと考えています。
【園情報】
りとる・ピッピ(特定非営利活動法人ピッピ・親子サポート・ネット)
https://npo-pippi.net/littlepp/information/
神奈川県横浜市青葉区市が尾町1065-5 市が尾森ビル5番館 104・105・106
定員12名
小規模保育事業B型・管理者設置あり