モロッコのお寿司屋さん一周年を迎えました
2022年11月11日、コロナ襲来よりもずっと前からの計画がようやく実を結び、モロッコで寿司屋を開業することができました。
あれから一年。
気が付くとあっという間の一年間でしたが、経営者として、はたまたモロッコに住む一人の日本人として、それなりの苦悩もありました。
“郷に入っては郷に従え”ということわざがありますが、現実はそんなシンプルなものではなく、現地でよりディープな営みがしたければそれはもう際限なく複雑に絡み合う上にいつ切れるかもわからない糸を延々と解き続けている様な気持ちにもなるものです。
そもそも日本の本物の寿司や文化を広めたいという理念を持ってモロッコまで来た身としては、“郷に従って”ばかりじゃ伝えられるものも伝えられませんからね(笑)
「日本ではこうじゃなくて、こうなんですよ」
「これはちょっと日本の文化とは違います」
「お箸の持ち方はですね...」
日々こんなことの繰り返しで、時々ウザがられることもあるけれど、きっとこれは僕にしかできないことだから。
そう自分に言い聞かせながら奮闘してきた一年間だったように思います。
それでも一年以内の廃業率が30%と言われている飲食店業界で一周年を迎えられたことは素直に嬉しく思いますし、これもひとえに普段から当店をご利用いただいているお客様ならびに僕のことを支えてくれているスタッフのお陰だと心から感謝しています。
誰が欠けても間違いなくここまでは到達できなかった、正に少数精鋭チーム。
店舗改装のときからずっと関わってくれ、今ではマネージャーを務めてくれているウェサム。
意見の食い違いでぶつかることも多いけど、根っこの部分では絶対に裏切らない、どんな時も必ず守ってくれる守護神の様な存在です。
7月から加入し、慣れない発展途上国モロッコでの生活でも日々ポジティブに頑張ってくれているすず。
調理もフランス語もSNS運用も、ほぼゼロから学び奮闘しています。持ち前のコミュ力で誰からも愛される看板娘です。
そして5月から先月まで即戦力として寿司職人を務めてくれたしょうたさん。
某大企業からの案件を無事終えられたのはしょうたさんがいてくれたからこそでしたし、どんなトラブルも優しく包み込んでくれるアニキ的存在でした。
やはりこの3人には特に感謝していて、これからも関わっていけたら嬉しいなと思います。
ちなみに来月からもまた新たな仲間が増えて賑やかになる予定です。楽しみぃー!
アルバニアの時と大きく違うのが、こうしてスタッフを抱えさせていただいていること。
一人気ままにやっていたアルバニア時代と比べ、今は関わる人が増えた分大変なことも多いですが、やれることも増えました。
日々思うのが、みんなそれぞれがうちの店を良くしようと頑張ってくれているし、僕のことを支えてくれているんですね。
何て言うか、御輿を担いでもらってる?みたいな感覚になることが本当に多くて、それが程よいプレッシャーになったり。
僕の知らないところでもお店のことを考えてくれていたり、話し合われていたりするそうで、それを想像するだけでもう感激で。
ようやく一年目を終えたけど、僕たちの目標はまだまだこんなものじゃないから。
いつか本当に付いて来て良かったと心から思わせたるからな!!!
と、深夜1時の厨房で自家製抹茶雪見大福を一緒に包んでくれているスタッフの姿を見て誓うのです...。