見出し画像

「柔道家」に引退はない

 柔道男子73キロ級で五輪2連覇の大野将平さんが、JOCのスポーツ指導者海外研修制度を利用し、2年間イギリスに行くことを発表しました。パリ五輪の出場は目指さず、今後は所属の旭化成でプレイングコーチとなるそうです。
 大野さんは、今回の会見を「引退会見」としていません。「柔道家に引退はなく、一生修行だと思っている。引退だとか一線を退くというような小さな枠組みでとらえていただきたくない。」という言葉がとても印象的でした。スポーツ選手ではなく、柔道家・武道家としての立ち位置を貫き続ける大野さんの姿勢を心から尊敬します。これからも大野さんの柔道家としての活動に注目したいです。



 競技柔道ではなく、生涯柔道を行う上で、この「柔道家」という言葉がキーワードになると考えています。試合に出なくても、黒帯でなくても、年に数回だけの稽古でも、柔道の稽古を続けていれば立派な柔道家です。咲柔館の中高生・大人クラスには、13歳から70代までの柔道家が所属しており、ご自身のペースでのんびり、じっくり稽古に励まれています。稽古の目的は、運動不足を解消したい、体を鍛えたい、礼法を身につけ心を整えたい、など様々です。こうした生涯柔道を実践する柔道家が少しずつ増えていくことを心から嬉しく思っています。

 柔道選手としてチャンピオンを目指す、柔道家として生涯柔道を楽しむ、どちらも素晴らしいことです。ただ、後者を実践できる環境はあまり多くありません。実際に大人の塾生様の多くが「大人が柔道を習える場所を探すのは大変でした。」とおっしゃいます。中には3年間も探し続けた方もいらっしゃるほどです。
 「大人になってから柔道を始めるのは無理」「学生時代に柔道を辞めてから何年も経つので、再開は難しい」、そういった固定概念を少しでも変えていくことが私の夢です。柔道家に引退はなく、また何歳からでも柔道家になれます。柔道にご興味がある方は、ぜひ一歩を踏み出してみてください。咲柔館は、これからも柔道愛好家が安心して柔道を楽しめる道場として活動を続けていきます。

 私もいつか海外に行って色々な柔道場を見てみたいです。きっと新しい柔道の価値が発見できるだろうなあ。

 
「柔道家が増えることで、社会はより良くなる」
文武一道塾 咲柔館


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?