国際生涯柔道セミナーで学んだこと~より多くの方が柔道を楽しむ方法~
7月23日(日)、埼玉県立武道館で開催された「国際生涯柔道セミナー」に参加しました。このセミナーは、子どもから高齢者の方まで、生涯にわたって柔道を楽しむ方法を勉強・体験するためのものです。午前中は講演、午後は柔道衣に着替えてワークショップを行い、国内外の約100名の柔道家の皆さんと共に「生涯柔道」について深く学びました。
セミナー受講後、私が強く感じたのは、「今までの常識を一度見直そう」ということです。その「常識」とは主に2つあります。
1つ目は、「技の教え方」についてです。ドイツのWolfgang DAX‐ROMSWINKEL先生、Ulla LOOSEN先生、マーヤ・ソリドーワル先生が、子どもを対象とした固め技の指導方法を実践してくださいました。
日本では「まず技の形を丁寧に教え、その後に乱取りで試す」という順番で指導することが多いと思います。今回学んだ方法は、その逆です。「まず乱取りをやってみて、その後に技の形を皆で考える」というものでした。もちろん、乱取りは、安全面に配慮した特別ルールを設定したゲームのようなものを行います。その乱取りをやった後に、子どもたちに「どうやれば上手く逃げられる(抑えられる)かな?」と質問し、色々な意見を引き出しながら、合理的な技の形を発見するというものです。
このような方法で技を学べば、「自分で考える習慣」が身につきますし、初心者でも初期段階から柔道の面白さをゲーム感覚で味わうことができます。もちろん、指導者が技をしっかり教え込むことも大切なのですが、同時に「技を探究する」という知的活動を子ども主体で行うことの必要性も強く感じました。このように幼い頃から「技を考える面白さ」を知ることが、生涯にわたって柔道を楽しむ姿勢につながるのだと思います。
2つ目は、「柔道ができる年齢」についてです。森脇保彦先生(国士舘大学 名誉教授)が「柔道けんこう体操」を実践してくださいました。
この体操は、高齢者の転倒を予防し、健康寿命を伸ばすことを目的に作られたものです。相手を投げることはせずに、ゆっくりとした動きで柔道の基本動作を行います。安定した姿勢を維持しながら、色々な技の動きをする、相手と組み合って動くこの体操ならば、高齢者の方でも安心して柔道の動きを楽しめると思いました。
印象的だったのは、実演をしてくださった森脇先生の姿勢の美しさと動きの柔らかさです。時折、ユーモアを交えながら楽しく実演される森脇先生のお姿を拝見し、「柔道は心身の軸を作ると共に、心身を柔らかくする武道だ」と感じました。
「高齢者が柔道をできるはずがない」と多くの方が思われているかもしれません。しかし、高齢者の方が、この柔道の原理を利用した体操を実践されていれば、「私は柔道をやっているよ」と胸を張って言えると思います。
YouYubeに「柔道けんこう体操」の動画がありますので、皆さんもぜひやってみてください。高齢者の方でなくても、柔道の基本を学ぶことができる素晴らしい体操です。
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柔道は、子どもや若い人だけのものではありません。生涯にわたって柔道をされている方は国内外に沢山いらっしゃり、咲柔館の中高生・大人クラスには、40代から70代の方々も稽古をされています。今回のセミナーは、ご紹介した内容以外にも、子どもから高齢者の方まで、様々な世代の方が柔道を楽しむためのヒントが沢山詰まっていました。今回学んだことを活かし、これからも生涯柔道を追究・実践し続け、より多くの方が柔道に親しめる環境作りを行っていきたいと思います。
素晴らしいセミナーを開催してくださった川原久乃先生を始めとする埼玉県立武道館の皆さま、講師の先生方、NPO法人Judo3.0の皆さまに心より感謝申し上げます。参加された国内外の柔道家の皆さまと柔道遊びをしたり、お話しできたこともすごく良い経験になりました。皆さま、本当にありがとうございました。
※セミナーの全内容は、NPO法人Judo3.0代表の酒井重義様が、とても分かりやすくまとめてくださっています。ぜひそちらをご覧ください。
(「教えないでください」-国際生涯柔道セミナーに参加して- NPO法人judo3.0ホームページより)
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「柔道家が増えることで、社会はより良くなる」
文武一道塾 咲柔館
文武一道塾 咲柔館ホームページ
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