私が子どもの柔道指導を始めたのは、2019年の4月です。1人目のお子さんは、フランスから来た5歳の男の子。当時勤務していた「文武一道塾 志道館」(東京都)で約4ヶ月間柔道を教えました。帰国の関係で、一緒に稽古をした期間は短かったのですが、彼と一緒に柔道をした経験が子どもの柔道指導の原点です。
彼は「さよなら」という言葉が嫌いでした。最後の稽古日にお別れするのがさみしくて泣きだした姿を今でも思い出すことがあります。彼が最後に言った言葉は「またね」。フランスで柔道を続けてくれていたら嬉しいなあ。柔道という道の上で、また彼と会いたいです。
当時、彼との最後の稽古を「文武一道塾 志道館」のコラムで書きました。一部転載いたします。
先月、4歳のお子さんが咲柔館で柔道を始めました。柔道衣を着る、礼をする、受身をとる、相手を投げる、彼にとって全てが初めてです。やること全てが新鮮で、とても楽しそうに毎回稽古をしています。
最初に学んだことは、良いも悪いも一生残る可能性があります。安全で正しい技術を教えることはもちろん、柔道の心もしっかり伝えなくてはいけません。「初めて柔道を教える」というのは、とても責任が大きいことです。これからも、柔道の土台を作っているという責任感をしっかりと持ち、1回1回の稽古、1人ひとりのお子さんに心を込めていきます。
お子さんが柔道を始めた時、責任感と同時に柔道家が一人増えたという喜びも感じています。初めて柔道衣を着た時の誇らしそうな顔、初めて受身や技ができた時の嬉しそうな顔、こういった子どもの生き生きとした表情を見る度に、道場を始めてよかったなあと思っています。お子さん達が柔道という道の一歩目を踏み出した瞬間に立ち会えていることは、本当に幸せなことです。「柔道が好き、楽しい、おもしろい」と思ってもらえるような稽古を心がけていきます。
柔道を始めたお子さん達が、将来全国大会やオリンピックを目指して挑戦するも良し、自分のペースでのんびり柔道を楽しむも良し、柔道という道を自分の歩幅、ペースで歩き続けてくれたら嬉しいです。これからも、お子さん達の初めの一歩を応援し続けます。
「柔道家が増えることで、社会はより良くなる」
文武一道塾 咲柔館