「タイ人の強かさに共感する」
前回に続き渡タイの思い出話のような形になりますが、強烈なインパクトを受けた出来事や人々について語らせて頂きます。自分が見て感じたタイでの珍道中ですが、これらがあっての「タイ愛」なので良い事も悪い事も含め私にとっては有難い経験となっております。
*親切なおばさん
滞在中のある日の朝、終日ノープランの友人1人と私で「初めてのアユタヤへ行こう!」となり、ホテル近くのローカル食堂であれやこれやと検索し、「取りあえずMRTのフアランポーン駅まで行き国鉄に乗り換えたら行けるだろう」と、お気楽なオッサン二人は躊躇なく地下鉄に飛び乗った。
MRTフアランポーン駅に到着し、地上に上がるエスカレーターを登りきるとデッカくて綺麗なバンコクの象徴「国鉄フアランポーン駅」が聳え立つ。テンションは上がり「あ~、タイにいるんだぁ」と実感する瞬間で、ワクワクと切符が上手く買えるのか?との妙な緊張感に包まれた。
駅までちょっとの所で小綺麗なワンピースを着たおばさんに声を掛けられた。「ドコイクマスカ?アユタヤデスカ?」テンションアゲアゲのオッサンは、もしかして初アユタヤの我々が困っていて何か助けてあげようとしてくれているのか?と思い、「そうです。電車に乗って初めて行くんですよ!」と張り切ってお答えした。
*チームワーク
少しニヤリと微笑んだおばさんは「駅まで案内してあげる」と直ぐ目の前の国鉄フアランポーン駅までオッサン二人を先導してくれた。駅に着くと(たかが30秒ぐらいで到着)、また違うおばさんにバトンタッチで「アユタヤイクマス」と告げてワンピースおばさんはその場を去った。二番目のおばさんは「イクマス」のワンピースおばさんより流暢な日本語を話す。切符を買おうとする我々を阻止しようと必死で、どうやら観光タクシーを斡旋したがっている模様。ここで初めてオッサン二人は「やられた~」と気付くのである。何とも呑気ほろ酔い二人。
アユタヤは観光名所が点在し、各々への異動が大変。しかもタイは日中とても暑く徒歩などでの移動は到底無理。レンタルサイクルもあるが連日ビールを大量摂取するオッサンには不向き。各々への異動はトゥクトゥクかタクシーが無難である。⇐ここまでの説明を二番目のおばさんがしてくれる。
さて値段が問題。朝ビールを飲みながらローカル食堂で検索し、エージェントを利用した場合の値段は把握していた私は、吹っ掛けて来たら即座に撤収し切符売り場へ直行しようと決め「で、なんぼなん?」と聞いたところ、一人1500バーツで如何?と。ん?朝見たエージェント価格より安いわ。しかし行って帰ってだけの往復運賃プランなら逆に騙された感が増し気分が悪い観光になると思い、おばさんに内容を問いただすと「往復は勿論、3~4か所好きな所への移動も大丈夫です」と。ドライバーが常に帯同するとのこと。ここでほぼ良いかな?とお世話になる覚悟が出来たが、タイ名物のディスカウントおねだり攻撃で攻めてみた。結果1人800バーツで落札。
タクシーが目の前に数秒で到着した。タイでよく見るピンク色のタクシーで、ドライバーの写真入りライセンスもキチンと車内に掲示されているではないか。おまけに恐らく自分で作ったと思われる観光マップや、携帯には日本語翻訳アプリがインストールされていた。恐るべしチームワークである。
アユタヤでの体験や感想は割愛させてもらいますが、我々にとっては相当ラッキーな気持ちでアユタヤを堪能出来た。約¥2800で半日以上遊べて且つドライバーのおかげで正しいアユタヤ王朝の歴史を学ぶ事が出来た。彼にランチを御馳走したり、お別れの際オッサン一人200バーツのチップを二人して渡したが、決して高いとは思わなかった。タイで「ぼったくり」と呼ばれる事例をよく耳にしますが、物を頼む側の気持ちやその重要性に対し頼まれた側がそれに対しての答えられる金額は、時と場合によると思う。
*小悪魔
この話の内容は少しセンシティブな内容の為、主要部分にかなりの割愛がありますが何卒ご了承願います。
ご長老組とのゴルフ合宿旅行を繰り返ししていた時代、ある日とある女の子と出会った。当時あまりタイ料理に巡り合えず、土地勘も地名もわからない私に親切に色々と教えてくれるキュートな女の子だった。トゥクトゥクにも初めて乗ったし、憧れの屋台メシも経験させてくれた。とても自分への美意識が高く顔は勿論のこと恐らく全身何がしかの整形を施し、美しくなりたオーラが感じ取れた。彼女は学生で、学費とお小遣い稼ぎに夜のお店でバイトをしているという。
そもそもの出会いはある方のパートナーからの紹介で、どこかのお店で出会った訳ではなく、渡タイ前にお互いのLINEで待ち合わせ場所や行ってみたい所の話など事前に交換していた。
ゴルフとマッサージを終え食事場所で待ち合わせて初対面。ある方のパートナーと一緒にド派手な出で立ちで現れた彼女は、小悪魔な感じで私よりも年配の方にはモテそうな印象。私から見たら「ちょっと気合入れ過ぎ?」に見えた。食事を終えるともっと飲みたいしあなたが行ってみたい所にも案内したい。と言うのでトゥクトゥクに乗りスクンビットに行く。soi22のバービア、ナナプラザ、ソイカウボーイ(今思えば女の子と行く所じゃなく女の子を探しに行く所)を回り、パッポンで安価な服とアクセサリーをお礼にプレゼントした。その後、お部屋で少しゆっくり過ごし「明日ゴルフで朝早いから今日はそろそろ寝たい」と告げて、お見送りしようとしたら「お部屋から出なくて良いです」。それじゃあ夜中だしタクシーで帰ればいいよとポーチからタクシー代をチップに渡そうとしたら・・。お金が減ってる(´;ω;`)
私は何時もその日使う分だけ安物のポーチに現金を入れ、パスポートや財布はセーフティボックスに入れている。バーツと別に諭吉を2枚必ず仕舞い込み移動するので、バーツの減りは曖昧でも諭吉の減りは酔っててもわかる。「こいつやったな」と問い詰めるが「知らない、帰りたい」と。私もしっかりと思い返し、どこかで使ったか?落としたか?両替したか?と考えるが記憶がないし、そもそも諭吉を使う事などない。どこを探しても諭吉が2枚無くなっている。言いたくは無かったが「ここのホテルは常宿、マネージャー呼んでもいいのか?」と問い詰めると泣き出した。心を鬼にしてフロアーマネージャーに電話し、お部屋に来てもらった。今日の出会ってからの行動を伝え、彼女のIDカードのコピーを取ってくれと頼んだ。彼女は「盗んでない」と泣きながら自分の服を脱ぎ始めようとするので、マネージャーが阻止。そして「君はもう何も話すな!こちらの方が被害届を出す。警察が来る。動くな話すな!」これには私も驚いた。ご長老組が数十年使っているホテル。彼らのおかげで私ごときでも大切なお客様扱いの対応で「嘘をつくはずがない」と彼女に言ってくれた。ヨロヨロと立ち上がり乱れた服を直そうとシャワールームに行く彼女。「警察に電話するの?」とマネージャーに聞くと「もう少しお待ち下さい」と何故か妙に優しい笑顔で私を見た。
数分後、彼女がシャワールームから出てきた。マネージャーは笑顔からまた鬼の形相に変わった。うつむく彼女の手からびしょ濡れの諭吉がポロリと床に落ちた。「シャワールームにありました。」ん?シャワールームに何で諭吉があるの?誰の?と問い詰める私に、マネージャーが一言「見つかって良かったですね。」
タイとはこう言う所なのかとつくづく思う出来事であり、今思えばもっと人様を巻き込んでしまい不愉快な思いをさせずに済んだと考えているし、翌日以降も楽しく過ごせたので個人的には良い勉強になったと思う。
*my best friend
その翌日、ゴルフのラウンド中LINEがよく鳴るのでチェックしてみると、前記したパートナーさんからのLINE。内容は「彼女が迷惑を掛けたみたいね」とか「あの子は悪い子じゃない」と書かれている。返信はラウンド中なので出来なかった。しかし既読にすると同じ内容のLINEがどんどん送られて来る。よく見てみるとそのLINEには「盗った」や「盗んだ」のワードは全く記載されていない。警察に届けられるのを恐れているようだ。そしてもう一つ、そのパートナーさんからの紹介ということなので、自分やお店への悪影響に気を悩ませている。御贔屓にしてくれている日本人のお連れ様に無礼があったのでは、自分の商売に影響が出ると。勿論、私は誰にも昨夜の事は話をしていないし、むしろ恥ずかしいとも思っている。楽しいはずのタイ旅行が一晩の出来事で皆が楽しくなくなる。これはいかん!何とかせねば・・。
実はあんな事さえ無ければ昨日の彼女はとってもキュートで思いやりさえ感じられる良い女の子だった。今一番ビビってるのは昨日の彼女であり、ありとあらゆる恐ろしい妄想に苦しんでいるのだろう。よし、今夜も会おう!
ゴルフ後に早速連絡を入れ待ち合わせの約束をし、マッサージを受けるフリをしてご長老様から脱出。まだ明るい内に顔が見たかったからだ。ポツポツと下を向いて歩いて来る彼女を見つけ、わざと後ろに回り込みポンっと肩を叩いた。「〇〇ちゃん、久しぶり~」唖然とする彼女。声も出せないみたいだ。間髪入れず「メシ行こっ!」
飲んだ飲んだ。食った食った。昨夜より楽しかった。飯屋ではキチンと私の脱いだ靴を揃え、飲み屋では座ると同時に走って私に灰皿を持って来てくれる。頼みもしないのに「あると便利です」とバンコクで使える色んな(配車・食事のデリバリー)のアプリをダウンロードと、きめ細やかな思いやりを感じとれた。お互い食事中一度も昨夜の話はしなかったが、別れ際に彼女がポツリ「昨日はゴメンナサイ」。
私は昨夜のフロアーマネージャーのように、一言で一件落着させられる言葉をゴルフ中ですら考えていた。彼女と彼女を紹介した人をどうやって安心させてあげられるのか・・・。
「あぁ、昨日そんな夢見たよ。あなたも同じ夢を見たんやね?」彼女の目からこんなに出るのかと言わんばかりに大粒の涙が。メイクもグチャグチャ!その数分後、彼女の本当の笑顔を見た。メイクは最悪だったが、小悪魔の顔がそこら辺のお嬢ちゃんになった。お嬢ちゃんから未だにLINEが来る。そのメッセージは必ず「Dear my best friend」から始まる。
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