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5.闇色の研究「あなたのための『未熟』じゃない」
ネガティブもポジティブも、突き詰めると同じところにたどり着く。ヒントは、コインの裏側に潜んでいたりする。
「窮屈」と「退屈」を敢えて生産し続ける構造、仕組み、何かそういうプログラムがわざわざ組まれているような決まり悪さがあるのです。
恩恵、損得勘定をを押しのけて噴き出す、不合理な声
私の場づくりへの思いを生み出す、闇色の声の一つ。
「彼ら彼女らは、未熟だってことにしておかないといけない」
「闇色の研究」には、若干の連続性があります。
何せ、別解の研究のように、相互作用や多様性の産物ではなく、私が直面しているものを掘り下げる一点集中の声なので、重なる部分もそれなりに出てくるのです。
ある程度、似通った声はグルーピングして検討しようかな、とも考えましたが、何だかしっくりこなくて、あえて全部並べてみることにしました。
言い方を変え、重なり合うテーマのフレーズが執拗に脳裏に浮かんでくるということは。そこには理由があるのかもしれなない、と。
不出来というレッテルを執拗に貼りたがる不思議について、もやもや考えてみました。
明確に意識して絞り込んだわけではないですが、レッテルを剥がさないことより、そもそもの烙印が不当であるという部分、それについての「何故?」「新人若手の些細な一面だけ見て、最初からやけに低評価するケースがある。それが、ちょっと気になるほど目に付く。この実感は何故だろう?」という部分に、最後はフォーカスしていきました。
結果「あれ? レッテルを『貼り続ける』問題はどうしたの…?」という感じで終わってましたので、今度はそこに戻ってみます。
一旦「最初の低評価が不当」問題は棚上げしても
私と、そのレッテルを貼りたがる人たちでは、価値観も、見えているものも当然違います。だから、ある新人若手を見て、私からは気にならないけど、その人たちには「どうしてもこれはアカン、困ったものだ」と強烈に印象に残る出来事が、もしかしたら本当にあったのかもしれません。この際、未熟という最初の烙印が不当じゃないか? は、見え方の問題だとしましょう。
過去に、そんなレッテルを貼られた彼や彼女について、たまたま私から見えた良いところ、あるいはお客さまからいただいたお褒めの言葉を報告したとき、それをイレギュラーの様に訝しがって、なんとしても否定しようとする態度は不思議です。
たとえば、これが何かの「仲良しクラブ」的な集まりだったら、感情が邪魔したり、とにかく嫌だとか言われても、ふーん、そうなのか…、まあそういうこともあるかな、という感じではあるのですが。
でも…企業ですよね? 営利組織なのですよね?
好悪は、本質的には関係ない。もちろん、人間だから、あるいは組織だから、案外そういう部分も大事な場面も出てくるかもしれないけれど、少なくとも好悪がすべての世界じゃない。
その人の成長、お客様からの評価は、その人自身だけじゃなくて、あなたにも必ず何かしらプラスの影響が出るはずなのですよね?
それを挫く動機が、どこから来るのか?
誰しも、良い面が出てくるときもある。その場にフィットして活躍する瞬間がある。グラデーションがある。ごくごく普通のことだと思うんですよ。
だからといって、明日から彼を彼女を全肯定して、何でも許してやれとか、崇め奉れとか、そんな極端なことを言っているわけでもない。ただ具体的にこんな活躍が、素敵なことがあったよと伝えているだけなのです。
それを挫く動機が、一体どこにあるというのか?
彼が彼女が未熟なままでないと、何か困るのですか?
人間の脳には、その整合性が破たんしないよう、外界からの情報をゆがめる仕組みが備わっています。それは生物学的には意味のある、生存に直結した進化の結果の一つでもあるので、それ自体が一概に良いでも悪いでもない。
でもそのことを強く自覚していないと、いとも容易く、周りのありのままと乖離していってしまうのです。
そういう、整合性の大いなる調整のために、未熟なままでいてもらわないといけないと処理しているのかもしれません。…しれませんが、その機構に疑いなく乗りながら、実際に表に出してしまうのなら、やはりメイワクな話ではあります。
ある一時点で、彼が彼女が何かしら『未熟』だったのは、あなたの脳に永遠に刻まれるためじゃない。それがそれぞれの、その先に向かうための通過点だったからです。
あなたと私は違う、違う中で相互作用で生きている。あなたと彼や彼女は違う。対話の場づくりで、そう感じる時間がじわじわ増えたら、何か少しずつでも溶けてゆくのでしょうか。
ブレイクできないアイスは、じわじわ長い目で溶かすしかないのかな。