11.闇色の研究「『自ら動く心』が届かない場所」
ネガティブもポジティブも、突き詰めると同じところにたどり着く。ヒントは、コインの裏側に潜んでいたりする。
「窮屈」と「退屈」を敢えて生産し続ける構造、仕組み、何かそういうプログラムがわざわざ組まれているような気まり悪さがあるのです。
興醒めの理由は「教えてちゃん」自身じゃなくて
私の場づくりへの思いを生み出す、闇色の声の一つ。
「教わってないからできません、分かりません」
この声だけだと、いわゆる「教えてくん」「教えてちゃん」問題なのですが、私の個人的な興醒めの理由はそこじゃないのです。
むしろ、この声を受け止める側の方に、不思議さを感じることが多いのです。すなわち、学びが「苦行」で、自分自身も早々に手放してしまった、それでいてそれなりに立場のある方の、この声の奇妙な拾い上げ方が。
組織にしてみれば、いや、この場合は「企業(営利組織)だから」とより焦点を絞って言った方がよいですが、やはり、売上と利益は大切なわけです。
そして、これはもしかしたら私の所属組織がそうであるだけかもしれませんが、組織の課題解決や成長を「尖らせる」よりも「底上げ」で達成しようとします。一概に間違いではないのでしょうし、もしかしたら本当にその時期なのかもしれません。が、それにしても「底上げ」に寄り過ぎと実感しています。
『これでもか』の、過剰なニンジン(しかも不味そう)
何かね。変な強制ルールを作って、例えば勉強会とかね、変な企画が立ち上がるんです。もちろん、実施すれば予算も多少は割り当てられるし、リソースも食われるし。でも、そこに、学ぶことが好きな人のことを考えた形跡は、いつもありません。
どうやったらこんなにツマラナク計画できるの? みたいな退屈な計画、体制、人選。読む気すら失せる退屈な、真面目で頑張り屋だけど内容のない説明資料。それを頑張って紐解いて、さらにため息が出ます。曰く…
「これこれシカジカの資格を、各組織で○名、必ず取ってください」
「でも、当人の希望は聞きません。トップダウン指名です」
「その理由は『組織として、誰かをこう育てたい思いがあるから…』
というようなことではありません。
自分から学びを希望する人なんか、いるはずがないからです。
指名にしないと、どうせ集まるはずがないからです」
「自分から希望する? 何? そんなことを言う人がいるはずないから、
きっと何かの聴き間違いですね。聞こえなかったので返事もしません」
「選抜の基準もまったく明瞭でないトップダウン指名だけど、
その人をニンジンでやる気にさせないとやるわけがないから、
優遇するための予算は割り当てます。一時金とか、ね」
「そもそも自分でやりたい人なんかいないから、
指名されちゃった可哀想な犠牲者を少し優遇したって、
文句なんかあるわけがないでしょ?」
「どうせ、何をサポートさせるわけでもないのだけど、
部下が無事試験合格したら、
その上司の評価(つまりはボーナスか?)もアップします!
だって、ニンジンをぶら下げないと、本当に最小限の事務手続きも、
そもそもの選抜すら、やらないだろうから、ね」
…って、もうこれ、何なの。ニンジンまみれで、むせかえって息もできない
ニンジンは好きなのです。だからこの例えはニンジンにも、ニンジン農家さんにも何だか申し訳ないけど、でもこの例えが一番しっくりくるのです。
これも最初は違和感。その後、ええと、そうか、なるほどなぁ。
じわじわと理解してゆく。ひたひたと怒りがにじみ出てくるのを感じる。
心の底から、ナチュラルに馬鹿にしてるのかな。
馬という字が入っているものな! だからニンジンか! HAHAHA!
馬も好きなので、この例えも心苦しいけど、実感として本当にこれです。
ニンジンと対になるといえば、それは鞭だろうね
そしてまだまだ悪夢は続きます。
「強制べんきょーかいもやります。
だって、強制しないと自分からなんて誰もべんきょーなんてしないよ。
誰だって嫌だから。べんきょー、嫌いでしょ?
『教わってないからできません、分かりません』って
すぐに言うはずでしょ?」
「難関資格にすると、達成できるわけがないから、
ゴリッゴリにハードルは下げるよ。しかもニンジンつきだよ。
でも、俺たち私たちは、実はその資格すら持ってないけどね。
自分たちもやりたくないことだから、
ハードル下げなきゃ誰もやらないと信じているんだ。
その上で、鞭も打たないと、やるはずがないんだよ」
「え? 自らそれよりもっと上位資格を取っている人がいるって?
ふーん? 珍しいね。好きなんだね。変わってるね。
持ってるなら、すごいじゃない? よくわからないけど。それが何?
今回の事とは関係ないから。
それに上位資格持ってるなら、もういいじゃない。
予算とか、自分でできるなら、その人にはそもそも要らないじゃない。
でも本当にそうなの? 嘘ついてるんじゃないの?」
書いてみて、思った以上に根が深いことに驚いた。ビビった。マジか。「え、大げさでは?」と思われそうなほど。
しかし、ほぼまるっとこの主旨のことを発言した「それなりの立場の人」の顔が、私にはありありと思い浮かぶのですよ。
私に向けてではなかったですけども。
いえ、だから、本質は「経営」の課題ですけどね。
闇色の一番深い場所にたどり着く
この怒りは6秒待っても消えはしないし、消せばよいとも思わない。
ずっと違和感を覚えていたし、声も挙げてきましたけど。
こういう人の周りにいる、黙殺する人々がまた曲者だったりで。
そうか。自分が学ぶことを楽しいと思ったことが、きっと無いのだな。
呼吸困難になりそうなくらい、伝わらない。
言葉を変えても、尽くしても、待ってみても、まったく伝わらない。
取り付く島が無い。
そこは『自ら動く心』が届かない場所。
何よりも、この場所で、学ぶことの好きな大事な後輩の心が、じわじわと殺されてゆくのを見るのは、もう嫌だ。
光を差し込みたい。この闇色の淵に、一筋でよいから照らして。
全てを煌々と照らす必要はない。
ある程度の闇色はあってよい。それも人間だろう。
でも、『自ら動く心』が届かない場所は、ちょっと切なすぎる。
そこだけは、終わりにしよう。