条件構造文
論理学の条件構造文は、「AはBだ」「AならばBだ」という形で表される。
具体的には、「ペンギンは鳥だ」「ペンギンなら鳥だ」というふうになる。この場合、「ペンギン」が条件で「鳥」が結論になる。
「ペンギンは鳥だ」の「は」は、三段論法で説明したように「完全に含まれる」という意味に書き換えることができる。
条件構造文の「逆」は、条件と結論を入れ替えた文章だ。
「ペンギンは鳥だ」の「逆」は「鳥はペンギンだ」になる。
これは真か?
「は」を「完全に含まれる」と書き換えると真ではないことが明らかだ。「鳥はペンギンの中に完全に含まれる」ということになり、雀やツバメという鳥までペンギンになってしまう。
よって、条件構造文の「逆」は真ではない。
条件構造文の「裏」というのは、条件と結論をいずれも否定型にすることだ。
「ペンギンは鳥だ」の裏は、「ペンギンで“ないもの”は鳥で“ない”」となる。
ペンギンでないものの中には雀やツバメがいる。
「裏」を真だとすると、雀やツバメが「鳥ではない」という結論になってしまう。
よって、条件構造文の「裏」は真ではない。
条件構造文の「対偶」とは、「逆」と「裏」を両方使うようなものだ。
まず、条件と結論を逆にして、それぞれを否定型にする。
「ペンギンは鳥だ」の「対偶」は「鳥でないものはペンギンでない」となる。
「対偶」常に真になる。
「は」を「完全に含まれる」と書き換えると「対偶」が真であることを容易に理解できる。
最初の命題の「ペンギンは鳥だ」は、「ペンギンは鳥に完全に含まれる」と書き換えることができる。
鳥という枠の中にペンギンが完全に含まれてしまう訳だ。
絶対に突破できない鳥という枠の中にペンギンがいて、枠の外からも中からもアクセスできない状態だ。
「対偶」の条件は「鳥でないもの」なので、鳥という枠の外側に存在するものだ。
人間や犬などがそれに該当する。
「鳥ではないもの」例えば犬は、絶対にペンギンではあり得ない。
人間も同様だ。
ペンギンが鳥という枠の中に完全に含まれているので、鳥という枠の外側の存在がペンギンであることは決してない。
以上のように、条件構造文の「対偶」は常に真となる。
まとめると、条件構造文の「逆」と「裏」は真ではないが「対偶」は必ず真となる。
図を描いて考えると容易に理解できるはずだ。