編集者も実践する「心を動かす5つの文章テクニック」
こんにちは!
文章で相手の心を動かしたい――。そう思ったことはありませんか?
提案書やプレゼン資料、メール、報告書など、ビジネスシーンでは、相手を説得したり行動を促したりする機会がしばしばあります。そんなときに有効なのが、今回紹介する「相手の心理に働きかける5つの文章テクニック」です。
ただ注意してほしいのは、これらのテクニックは相手を騙したり、不利益を与えたりするためのものではありません。あくまで自分の考えや提案をより効果的に伝え、相手と建設的なコミュニケーションをとるためのものです。悪用厳禁でお願いします。
1. 「社会的証明」を活用する
人は多くの場合、「みんながやっていること」「一般的とされていること」に同調する傾向があります。これを「社会的証明」と呼びます。
たとえば、次の2つの提案文を比較してみてください。
Bのほうが説得力があると感じないでしょうか? 「他の多くの人がすでに採用している」という情報が、読み手の心理に影響を与えるのです。
ほかにも以下のような表現が効果的です。
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80%の人がすでに○○を提出しました。
昨年度、同様の課題を抱える企業の70%が選択した方法は〇〇です。
社内アンケートでは、8割の社員が〇〇を支持しています。
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【注意点】
数字や事実を捏造するのは論外です。あくまで事実に基づいた表現を心がけましょう。
2. 「損失回避」を刺激する
人間には「得をすることよりも、損をすることを避けたい」という心理があります。これを「損失回避」と呼びます。
たとえば、次の文章を比較してみてください。
Bがより強い印象を受けるのではないでしょうか。同じ50万円でも「得る」よりも「失う」ほうが心理的インパクトが大きいのです。
ほかにも以下のような表現が挙げられます。
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この施策を導入しないと、年間〇円のコスト増加につながる恐れがあります。
今すぐ行動しないと、競合他社に市場シェアを奪われるリスクがあります。
この機会を逃すと、次の好機は〇年後になるかもしれません。
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【注意点】
過度に不安をあおるような表現は避け、事実に基づいた冷静な指摘を心がけましょう。
3. 「権威」を借りる
人は往々にして、権威のある人や組織の意見を信頼する傾向があります。
この2つの文章を比較すると、Bでは権威ある機関の名前を出すことで、主張の信頼性をより高めています。
ほかにも以下のような表現が効果的です。
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〇〇賞を受賞したの△△さんが提唱する理論によれば......
業界最大手の〇〇社も、同様の戦略を採用しています。
経済産業省の最新レポートでは、この傾向が指摘されています。
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【注意点】
権威を借りる際は、その情報源が信頼できるものかを十分に確認するとともに、文脈に合った適切な権威を選ぶことも重要です。
4. 「希少性」を強調する
人は、手に入りにくいものや、限られた機会に価値を感じる傾向があります。
Bを読むと、即座に行動を起こしたくなる印象を与えますよね。「限定」や「残りわずか」といった言葉が、心理的な焦りを生み出すからです。
ほかにも以下のような表現が効果的です。
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【注意点】
虚偽の情報や過度な煽りは避け、事実に基づいた適切な表現を心がけましょう。
5. 「返報性」を利用する
なにかをしてもらったら、お返しをしたくなる。これを「返報性の法則」と呼びます。
どうでしょう。Bのほうが、購入者が増えそうだと感じませんか? このように先に何かを与えることで、相手も何かを返したくなる心理が働くのです。
返報性の法則を活用すると、営業や提案が通りやすくなります。
ほかには以下のような表現が効果的です。
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私は実は〜(※積極的に自己開示することで相手も自己開示をしなくてはと思う)
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【注意点】
見返りを求めすぎると、かえって相手に不快感を与える可能性があります。さりげなく、自然な形で提供することが大切です。
テクニックの組み合わせで相乗効果を
ここまで5つのテクニックを紹介しましたが、実際の使用では、これらを組み合わせることでより大きな効果を発揮することができます。
以下に、いくつか例を紹介します。
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①社会的証明 + 損失回避
この例では、「多くの企業が採用している」という社会的証明と、「採用しないことによる損失」を示唆することで、より強い説得力を持たせています。
②権威 + 希少性
「権威ある人物の名前を出す」ことで信頼性を高め、同時に「参加枠を限定する」ことで希少性を演出しています。
③返報性 + 損失回避
「無料お試し」という返報性を利用しつつ、「この機会を逃すこと」への損失感を刺激しています。
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これらの組み合わせを使用する際も、倫理的な配慮を忘れずに。事実に基づき、相手の利益も考慮しながら、フェアに使用することが大切です。
では、また次回の記事でお会いしましょう。