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本当に頭がいい人の文章からにじみ出る「知的正直さ」とは?

こんにちは!

文章を書くとき、ついつい「馬鹿っぽく見えないだろうか」と考えてしまいませんか?

間違った日本語・文法を使っていないか、稚拙な表現はないか、誤字脱字がないか、説得力のあるロジックになっているか……あれこれ悩みながら文章を書いている人も多いと思います。

ただ、その過程で見過ごされがちなことがあります。
それは「知的正直さ」です。

ぼくは編集者として、これまで数えきれないほどの文章を編集・添削してきましたが、面識がなくても「この人、超優秀なんだろうな」と思う人は、例外なくこの「知的正直さ」が文章からにじみ出ていました。実際お会いしてみると、そのとおり。知的かつ人間的にも魅力的な人たちでした。

今回は、IQ(知能指数)だけでなくEQ(心の知能指数)も高い、本当の意味で「頭のいい」人たちが、文章で表現している「知的正直さ」について解説します。

「見栄」「意見の押しつけ」「知ったかぶり」を書かない


「文章は読みやすいんだけど、なんか鼻につく」
「正しいんだけど、読むとイラッとする」
「いちいち自慢っぽいから、うんざりする」

こう思った経験、みなさんもあるのではないでしょうか。

たとえば、次のようなチャットです。

先日のプロジェクトお疲れ様でした。

私としては、もう少し細部まで詰められたのではないかと思います。特に、山田さんの担当部分については、私が以前から指摘していた通りの問題点が見受けられました。

私だったらこうします......と、事前にアドバイスしておけば良かったですね。私はこの分野の経験が多いので、どうしても気になってしまいました。

さて、どう感じたでしょうか。

たしかに、相手のほうが知識も経験も豊富なのだろうし、書いている内容はいずれも正論ではある。けれども、スッと心に届かない。むしろイラッとする。この人は謙虚さが足りないのではないか。そう感じさせる文章を書く人っていますよね。

とりわけ学歴、社歴、資格、役職に対して過剰なプライドやコンプレックスを持っている人は、そうした文章を書きがちな気がします。一般に聞き慣れない言葉を駆使し、上から目線で決めつけてくる――。

本人も悪気はないのかもしれません。もしかしたら、他者からの評価を気にするあまり、自己顕示欲が強くなっているのかもしれません。ただ周囲からすれば、やっぱり「一緒に仕事しづらいな」と思ってしまう。それが正直なところではないでしょうか。

一方で、「知的正直さ」を持つ人は、自分の知識をひけらかしたり、意見を押しつけたりしません。「わかったふり」をすることもありません。むしろ、「自分の考えが絶対とは限らない」という前提に立ち、相手の意見を丁寧に聞こうとします。

これは、ソクラテスが言うところの「無知の知」に通じるものがあります。無知の知(または「不知の自覚」)とは、「自分が無知であることを知っている」ということ。「自分が知っていることは、全体のごく一部にすぎない」という謙虚な姿勢を意味します。

ぼくはこれまで1,000人以上に取材してきてひしひしと感じるのですが、どんな業界であれ、「一流」と呼ばれる人たちほど、安易に断言したり、自説を押しつけたりしません。わからないことは「わかりません」と言います。そして、常に相手へのリスペクトを忘れません。

本当にそうなんです。相手の立場に関わらず、常に謙虚。感謝の気持ちを忘れない。そして、その「知的正直さ」は、ふだんのテキストコミュニケーションでも表れるものなのです。

「知的正直さ」がある人が文章で表現する3つのこと


では具体的に、「知的正直さ」を備えた人は、文章でどんなことを表現しているのか。ここでは3つのポイントを紹介します。

1. 「自信のなさ」や「葛藤」を吐露する

本当に頭のいい人は、自分の考えに100%の自信を持っていません。常に懐疑的で、より良い答えがあるのではないかと模索しています。だからこそ、文章でも「私にはまだわからないことが多いのですが」「間違っているかもしれませんが」ときちんと表現します。そして、推定と断定を明確に使い分けます。ときにはある事柄について決断を下す前の葛藤や揺れ動く心情を赤裸々に書くことも。

例:
この問題については、正直自信を持って言えることは少ないです。Aという意見もあるでしょうし、他方ではBという考え方もあるでしょう。ただ私自身、現時点で感じているのは……というのが正直なところです。

2. 相手へのリスペクトを忘れない

知的正直さのある人は、読み手に敬意を払い、リスペクトを忘れません。上から目線になることもなければ、マウンティングすることもない。あくまで対等な立場から、丁寧に語りかけます。読み手の感情を逆撫でしないよう、細心の注意を払って言葉を選んでいるのが伝わってきます。

例:
本件に関しては、さまざまなご意見があるかと思います。私見を述べさせていただくとすれば……といったところですが、みなさまはどのようにお考えでしょうか。異なる視点からのご意見を伺えれば幸いです。引き続き、オープンな議論ができればと思います。

3. 「ありがとうございます」が多い

本当に頭のいい人の文章には「ありがとうございます」が頻繁に登場します。言い換えれば、感謝の気持ちを忘れない。読み手はそんな相手の人となりを文章から感じ取り、好感を抱くわけです。返信の最初が「ありがとうございます。」から始まる人も多いですね。

例:
最後までお読みいただき、ありがとうございました。至らない点も多々あったかと思いますが、少しでもみなさまのお役に立てれば幸いです。忌憚のないご意見を賜れましたら、今後の糧にしてまいります。重ねて御礼申し上げます。

本物の知性とは、ただ博識であるだけではなく、謙虚であり、人を思いやる心を持ち合わせているもの。それは文章からも十分に伝わってきます。

そして、「知的正直さ」はチームで結果を出すうえでは欠かせない要素でもあります。みなさんのチームに「知的正直さ」が足りないメンバーがいたら、ぜひ本記事をさりげなく共有してみてください(自分のことだと気づいてもらえないかもしれませんが……笑)。

では、また次回の記事でお会いしましょう。


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