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「これ」「それ」「あれ」を減らして伝わる文章を書くコツ

こんにちは!

ふだんのメールやチャットで、こんな文章を見かけたことはありませんか?

先日ご依頼いただいた競合データの分析と、新規の企画書を作成しました。これについて、ご意見をいただけますでしょうか。

一見なんの問題がないようにも思えるものの、受け取った側はちょっと困惑するかもしれません。

「これ」は何を指しているのでしょうか? 競合データの分析でしょうか? それとも新規の企画書でしょうか? それとも両方なのでしょうか?

「その」「これ」「あの」などの指示代名詞は、使い方次第で文章の伝わりやすさを大きく左右します。使い方を間違えると、相手に負担をかけたり、思わぬ誤解を招いたりすることも。

今回は、無意識に使ってしまいがちな「代名詞」の使用ポイントを4つ紹介します。

1. 文章構造を変えて代名詞を避ける


原則として、代名詞を使わないほうが文章はより明瞭で読みやすくなります。代名詞を使いそうになったら、まずは「文章構造を変えられないか?」と考えてみましょう。

例1
【Before】
新入社員の研修プログラムを改訂しました。これは、人事部と経営陣の承認が必要です。

【After】
人事部と経営陣の承認を得るため、改訂した新入社員研修プログラムを提出します。

この例文、じつは近いものをかつて見たことがあるのですが、最初に読んだときは「?」となりました。送信した本人にあとから話を聞いたところ、Afterの趣旨だったようです。

今回の場合、「これは」という代名詞を使用せずに、2つの文を1つにまとめることで、動作の主体と目的がより明確になり、理解しやすくなります。

2. 「数字」で文脈を明確にする


複数の事柄を代名詞を使って表現したいときは、「数字」を用いるとわかりやすくなるケースがあります。

例2
【Before】
新製品の開発と既存製品の改良を進めています。これについて、来週会議を行います。

【After】

新製品の開発と既存製品の改良を進めています。これら2つについて、来週会議を行います。

「これら2つ」と明確に示すことで、読み手は迷うことなく内容を把握できます。「これら」でもOKなのですが、「2つ」という数字を使うことで、読み手に「議題が2つあるんだな」という意識をきちんと植えつけることができます。

もう一点補足するのなら、前半の一文に漢字が多くて読みづらいので、カギカッコで囲んでもいいと思います。こんな感じですね。

【Before】
新製品の開発と既存製品の改良を進めています。これについて、来週会議を行います。

【After】

「新製品の開発」と「既存製品の改良」を進めています。これら2つについて、来週会議を行います。

3. 「箇条書き」を活用する


複数(3つ以上)の項目を指す代名詞を使う代わりに、箇条書きによって情報を整理しましょう。

例3
【Before】

谷口さんからA社の資料修正と、林さんからB社の面談設定をお願いされています。あと西脇さんからはC社の企画書確認の依頼がきています。これらについて、早急に対応する必要があります。

【After】
以下の3点について、早急に対応する必要があります。

①A社の資料修正(谷口さんより)
②B社の面談設定(林さんより)
③C社の企画書確認(西脇さんより)

箇条書きにすることで、「これら」という代名詞を使わずに済みます。また、誰からどのような依頼があったのかが一目でわかるようになり、情報の整理にも役立っています。

ちなみに、今回のような箇条書きのときには「・」よりも「①」のように数字を振っておいたほうが、返信するときに「①は〜、②は〜、③は〜」と答えやすいので個人的には好きです。

4. 削れる部分は削る


編集者という仕事柄なのか、代名詞が入っていると真っ先に「削れないか」と考えてしまいます。なくても通じるなら、削ってしまったほうがシンプルになります。

例4
【Before】

来週の株主総会について、準備状況を教えてください。それに基づいて、今後の対応を検討します。

【After】
来週の株主総会について、準備状況を教えてください。今後の対応を検討します。

「それに基づいて」はなくても通じますよね。こういう「代名詞+α」の言い回しは意外となくてもいいケースがあります。ついつい手ぐせで書いてしまいがちですが、送信前に見直して、不要だと思ったら削りましょう。

メールはもちろん、チャットで細かいやりとりを続けていると、「それ」や「これ」が何を示しているのかがわかりづらくなります。そんなときは今回お伝えした4つのポイントが使えるかどうか検討してみてください。

では、また次回の記事でお会いしましょう。

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