隠したつもりでもバレている!!
人間も素材も厚みはバレる 建築素材を考える-1
豪華絢爛な石敷きの玄関。
ピッカピカに磨かれた大理石が敷かれてある。
パーティーに訪れたセレブ達は一様に「まあ!ステキ!!」と声をあげる。
それにもかかわらず家主は震えている。
パーティーの最中もソワソワと落ち着かない。参加者の目を見回してはオドオド、ビクビク。
「さすが、奥様の新居、福岡セレブ界で一二を争うだけあって素晴らしいですわぁー」
「ああ、、ありがとうございます、」
長かった宴も終わり、セレブ達はなにも気づかず、高級車に乗り込み帰っていった。
静まり返った新居。
「ああ、気づかれないでよかった、、」
家主は、ホッと胸をなでおろした。
と、油断したそのとき、ものかげから一人のセレブが顔を出した。
「なにが気づかれないでよかったのですか?」
「うわっ!奥様!まだいらっしゃったのですね!!」
「今日はえらくビクビクされてましたね」
「えっ?、、そんなことはありませんよ、、!」
「もしかして、あれじゃありませんか?」
「あれって、なんですか、、、?」
あれが薄いからビクビクされてたのではないですか?
「なっ、なんのことでしょう、、、?」
「玄関の石、あれ、実はうすっぺらぁ〜い安物でしょう?」
「うっ、、、!」
「何も言えないみたいですわね。わたくし、実は建築設計をしていまして。どれだけ隠しても石の厚みがわかってしまうんでございますの。もう、ほんと、一目瞭然ですわぁ〜」
「・・・」
「こんなことが、セレブ界の奥様方に知れ渡ったらどうなりますかしらね〜」
「それはっ、、!」
「黙っていてもよろしいですわよ。そのかわり、アレヤコレヤソレヤ、、、、」
「ええっ!そんなっっ、、!」
と、これくらいにして。
んなこたぁないという例え話ではあるが。
バレているのである。
「素材の存在感」はバレている。人間の存在感がバレてしまうように。
意識の上でもバレているが、無意識の上でもバレている。
「なんか安っぽい店だったね」と店を出た後に思ったことはないだろうか。
そう、それもバレているのだ。安っぽい材料を使った空間には安っぽい空気が流れるからだ。
素材の厚みは口ほどにモノをいう。
素材選びは慎重に。
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