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音楽家のキャリアパスの一つの形〜藝大ピアノ科から作曲科へと現役で進んだ私の体験談ー勉強法、仕事、演奏やアルバイトとの両立

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初めまして、ピアニスト・作曲家の田中翔一朗と申します。東京生まれの29歳です。

私はピアニストとしての演奏活動(これまでサントリーホールやオペラシティ、東京芸術劇場、紀尾井ホールなど東京の色々な主要コンサートホールに出演させて頂いてきました)と同時に、作曲活動もしており、日本だけではなくドイツ、アメリカ、オーストリア等でも作品が演奏され、楽譜の1部はカワイ出版等から販売されています。

また、今年(2020年4月)から母校である東京藝術大学の作曲科及びソルフェージュで非常勤講師として教鞭をとっており、作曲科では和声初級〜上級を、ソルフェージュ科では基礎クラスと鍵盤の展開クラス(スコアリーディング、初見、即興伴奏付け)などを教えています。また、ピティナピアノコンペティション(これは今年から)を始めとして、いくつかのピアノコンクールの審査員も数年来勤めさせて頂いています。

さて、この記事では、東京藝術大学のピアノ科の学生で18歳から、始めは「アナリーゼ(楽曲分析)に役立つ」という理由で、ゆる〜く和声の勉強を始めた私が、いかにして一度も浪人することなく、最後は東京藝術大学の大学院作曲専攻を大学院アカンサス賞を得て修了したかということについて、何回かに分けて書いていきたいと思います。

ピアノ科の学生時代はアルバイト(コンビニのバイトも、塾講のバイトなど演奏活動や音楽系以外のものもいくつもやりました)もしていたし、演奏と作曲の両立も模索していたし、教職課程も取っていたし、他にも色んな悩みがあったし、何より自分と同じようなルートをたどった人がいなかった(というより話によるとどうやら戦後以降は同じような人がいなかったようですが)ので、進路や自分のキャリアパスの決定一つ一つが(活動が近いロールモデルは年が大分離れた方にはいたものの)、毎回手探りでした。

そのため、下に書いたいくつかの理由からこの記事を書きたいと思いました。

1.ピアニストが作曲や編曲をする(例えばトリフォノフ、ドゥバルグ、ヌーブルジェ、最近はオラフソンやキーシンなども)という世界的な潮流が再び戻ってきている印象があるので、たとえ自作品の作曲をしないにしてもいかにして楽曲分析や作曲的な技法を学ぶかということについて、ヒントになるかもと思ったから。例えばバレンボイムやアルゲリッチなどのいわゆる自作を書かない(作品を発表していない)ピアニストも若い時点でいわゆる和声、作曲法、アナリーゼについて訓練を受けています。かのリヒテルも「プロコフィエフの作品を見て自分は作曲をやめた」みたいなことを言っていましたね。

2. 藝大ピアノ→藝大作曲という(少なくとも戦後は存在しないと言われている←何か情報がありましたらお寄せ下さい)、極めて珍しい「キャリアパス」だとよく言われるので、実際にどんな大変さがあり、あるいは意外とここは思っていたより簡単だったなどの情報を共有し、今の学生さんらの選択肢などを増やすこと。

3. いわゆる「現代音楽」演奏(これまで100〜150は初演してきたでしょうか。もう既にある時点から数が分からないので今リストを作ろうと思っています)、あるいはクラシックにおいても、ピアニストの役割、活動の仕方は、作品の様式の変化に従って変わってきていることを実感しています。また、コロナ以降の音楽会の形ということも含めて少し合わせて考えてみたいと思います。

これから何回かに分けて、以下のチャプターに従ってお話ししていく予定です。どちらかというとピアノ科の学生、ピアニストとしての視点が主で、それだけに他の楽器の演奏家の方にも通ずるかもしれませんが、他方では作曲論や現代音楽論についても触れるので、きっと作曲家(作曲科)の方にも面白く読める内容になると思います。さらに、受験時の勉強法(和声、対位法、作曲、ソルフェージュなど)にも触れますので、これから東京藝大の作曲科等を受験しようと思っている高校生の方、浪人生の方にもきっと役に立つのではないかと考えています。ただしこれはあくまで私の体験談、キャリアパスの一例であり、今はYoutubeやツイキャスなどインターネット配信の可能性も十分に拡がってきているので(これは私が大学に入った2009年には考えられないことでした。私が初代iPhoneを買った時まだ周りはみんなガラケーでした)、現在の活動の仕方にはほとんどそれぞれ無限の可能性があると思います。

以下が今後予定しているチャプターです。

第0章 導入(この記事です)

第1章 幼少期から高校時代まで〜音楽との出会い、私は映画監督になりたかった。

第2章 ピアノ科学部時代〜なぜ和声、作曲を学び始めたのか。勉強法。

第3章 いよいよ作曲科受験〜バイト、教職、ピアノ、卒試、受験勉強、音楽以外の学科の試験。

第4章 作曲科時代①〜両立の模索、思っていたこと/違ったこと、様々な仕事の始まり。

第5章 作曲科時代②〜本格化する演奏、作曲活動、大学院のTA(作曲と指揮科)、コレペティの仕事、マネジメント、論文、そして電子音楽…。

終章 現在〜ここまでのキャリアパスと仕事の関係性。

そもそも私は、時折依頼のある文筆業では、基本的にとても硬い内容(今も実は新しい論文を日本語、英語で書いています)を求められることが多いですが、ここでは出来るだけ難しい話は避けて、なるべく分かりやすく、ゆる〜〜く書いていきたいと思います。なるべく日が空かない内に更新するつもりですが、日程は不定期になると思いますのでその点はご容赦ください!

なお、もしこの記事が面白い、これからの展開に興味が持てそうだ、と感じた方は「スキ」でも投げ銭でもフォローでも意思表示して頂けたら(note初心者なので用語が違ったらごめんなさい)とても嬉しく、大きなモチベーションの一つ、書く原動力になります!

最後に、去年2019年に弾いた演奏(録音音質はよくないのでご容赦ください)と、作曲した作品、楽譜を校訂した作品、そしてホームページのリンクを最後に載せておきます。もしお時間がありましたら是非。

ではまた後日に…👋

ピアノ演奏:ショパン「バラード第1番」作品23

作曲作品:ピアノソロ(コンクールの課題曲として書かせて頂きました)

校訂した作品(故・沖山千佳子さんの作品素敵なので、音質は悪いですが是非聴いてください!)

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