ミミコイ編集後記8月21日


ディレクターの岡山和也です

先週のSUKISHAくんの曲に対する妄想の物語があまりに良くて
時々クリティカルヒットする回があって、
翔平の「そこ」をもっと光らせる方法はないかなと色々考えながら番組を編集している。最近のエピソードではSUKISHAの打上花火の妄想がダントツに良かった。


編集上では、ここ数回にわたってだが、わたせせいぞうさんのアニメ「ハートカクテル」をオマージュしている。わかる人にはわかると思う。現実的ではあるが一部の人が生涯の一瞬にしか感じることのない心境を展開する翔平の語りが、自然とこのハートカクテルを連想させた。また、個人的にハートカクテルが大好きで、いつかこんな生活をしたいと思いながら毎日生きていると言っても過言ではない。笑

自分のイベントタイトルも「ビートカクテル」っていうタイトルにしたぐらいだし、ロゴも誰にも気づかれたことはないけどかなり影響を受けている。

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ちなみにこれ第一回のポスター

これはハートカクテルのサムネイル、ほら、この書体とか。モロw

画像2

パクリと言われたらそれまでだが、そこに愛がある。作者に怒られたら全力て謝るけど弁明もしたい。
HIPHOP的にカルチャーを作っていきたいわけです。よろしくです。

あとは、SUKISHAくんってちょっと前まで自称NEETだったり「金がねえ」ってよく言っていて、今では世間がやっと気づいたのか、音楽を作って暮らす本職の方なんですけど、歌詞の語彙力とか韻の踏み方とか、とても深くて、潔さもあって、独特なんですよね。
だから普通だったら興味深い歌詞に対して「この人どんな経験したんだ」って思うところなんですけど、言葉選びが高尚なんですよね。例えば彼の代表曲「釈迦の手のひら」の冒頭は

空き缶だらけのゴミ捨て場で
彼女と腰を振る夢を見た
飲み干して見えたのはデマゴーグ
低い純度 安っぽいエタノール


です。これ冷静に考えたらかなり歌舞伎町の路地裏感あるし、普通の生活してたら空き缶だらけのゴミ捨て場で彼女とは腰振らないと思います。夢にすら見ない気がする。
何かの暗喩だとしても、皆目検討もつきません。一例ですがこれをここでは創作とします。
そして前回ピックアップした「打上花火」2番のサビ前


どうして どうして どうして
体が戸惑ってる 君を求めてるのがわかる
声を聞いて 目を見て 手を繋いで
それだけでこんなに夢中になってる


なんか急に全世代共感型に感じませんか。
ここだけ切り取ればですけど、僕でも異性に対してこの詞のような感情になったことがある気がします。

ここでは2曲を例にしましたがこの二つの世界観のピンとキリの距離感を定点観測した場合、実体験というより「豊かな想像力を持っている」と考える方が納得までのスピードが速いんです。
そしてその創作された歌詞を妄想し、見つめ、自身の経験や世界観と照らし合わせ翔平が物語を作る。これ、創作を元にした創作っていう、なかなか誰もやっていない、やれと言われてできるものでもない
そこに価値があるなと思ったわけです。

現実に作詞家という仕事もあるし、夢を壊すわけじゃないですけれど、アーティストというのはそういう作業(ここでいう創作)に長けているのも一つの才能です。

何を書きたいのかわからなくなってきたのでそろそろ番組の内容を。

今回から番組の内容がマイナーチェンジしています。

大きく変わったのは全体の尺を短くしたところ。
これはリスナーの聞きやすさを重視しました。
コアリスナーやコアファン向けのコンテンツとしてはとても良い仕上がりの番組だという自負はありますが、それだけじゃなく通りすがりのライトリスナーも受け入れていきたい、という思いがあります。

次に、歌詞という創作物を更に創作するという
「2次利用の前向きなカタチ」を模索していきます。

音楽や絵などをはじめとする創作物は、いわゆる二次利用にとても敏感な素材でありますけれども、この番組のテーマである歌詞の深掘り、妄想というのは、語り手である上村翔平が誰よりもその歌詞と向き合い、時間を割いて生まれたものでもあります。もとい、その原動力は曲と歌詞への愛に他なりません。

個人的に、CDを買わなくなってからもう何年も経ちますが、好きなアーティストのアルバムリリースがあれば購入するし、レコードが出るなら結構買っています。これはコレクター、DJとしての欲もありますが、物質として持っていたい、歌詞カードのデザインを見たいのもあるし、ライナーノーツなどに大事なことが書いてあるからです。

今の時代、一つのアルバムを曲順から歌詞、曲間の無音時間まで全部覚えているような、最後までしゃぶりつくような音楽の聴き方をする人がこの時代どれくらいいるでしょうか。リリースする側(事務所やレーベル)も単発の花火を高く打ち上げる戦いを強いられており、その花火たちを束ねていくというのが主流です。
高さや派手さじゃなくても花火に見どころはあると思います。

潮目を読み、知ることがビジネスにおいては必要不可欠なのは理解していますが、僕は歳のせいか、好きなアーティストはアルバムごとに聞きたいんです。星野源とofficial髭ダンディズムがシングルCD盤を全然出さないのはそういう時代へのオマージュだと勝手に思っています。

なんかぽんぽん曲出ると、1曲を大事にしなくなっていくのですわ(個人的に)

そこでこのミミコイですよ。
ぽんぽん新曲が湧いてくるのは楽しい、でも心から歌詞に共感したり、反発したり、そんな1曲と出逢いたい。

企画とはいえ、曲と向き合わないとできないことですからね。
その曲を作った人がこの番組のことは知らないだろうし、届くことも多くはないですが、ここから愛を叫んでいます。

来週からSpotifyでこのpodcastが聴けるようになるかも知れません。

長くなりました。

D KAZUYA

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上村翔平(THREE1989)
いつもサポートありがとうございます。本作がお気に召しましたらサポートよろしくお願いいたします!次作も乞うご期待。