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Greenlightについて調べてみた【プロダクト分析第2弾】

コインチェック株式会社でマーケティングやプロダクトグロースをしている都丸です。

今回のプロダクト分析はアメリカで流行っている子供向け金融サービスのGreenlightです。

NewsPicksでGreenlightを知りました。


最近の日本は「老後2,000万円問題」が取り上げられていることもあり、積立てNISA・iDeCoの利用者も増えており、金融投資への意識は高まっていると思います。

そのような変化を肌で感じつつ、2022年4月からは成人年齢が20歳から18歳に引き下がり、これからの日本を背負っていく子供たちへの"金融教育"の重要性も高まってきています。

※金融教育の意味

お金や金融の様々なはたらきを理解し、それらを通じて自分の暮らしや社会について深く考え、自分の生き方や価値観を磨きながら、より豊かな生活やよりよい社会づくりに向けて、主体的に行動できる態度を養う教育である

出典元:コトバンク

後ほど触れますが、最近金融庁が「金融教育指導の教材を作成したこと」を発表しました。

子供世代の金融リテラシーを上げることは、国としても大きな課題として認識されつつあります。

そこで今回は、アメリカで金融教育事業を展開しているGreenlightを調べ、日本で金融教育事業を行うためのヒントを得ようと思います。



Greenlight(グリーンライト)とは?

Greenlightは、「親が管理できる子供向けのデビットカード」「子供の金融教育も行える」が特徴のアメリカのFintech企業が提供するサービスです。

「すべての子供たちが経済的に健康で幸せになる機会を持てる世界を実現させる」ことをビジョンとして事業に取り組んでいます。

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2021年にシリーズDへ突入し、調達総額は5億5,500万ドル(約600億円)を超え、2021年4月時点での評価額は23億ドル(約2,500億円)とまさにユニコーン企業です。

※SmartNewsが2022年1月時点で評価額約2,000億円

会社概要
拠点:アメリカ
設立:2014年
サービスリリース:2017年
累計調達額:約3億ドル(約310億円)
評価額:約12億ドル(約1,240億円)
HP:https://greenlight.com/

Greenlightのメリット

親のメリット

- 子供が持っているデビットカードにお金をチャージでき、送金は即座に反映される。
- 毎月自動入金設定も可能なので、お小遣いの自動付与ができる。
- 子供の資産管理が可能。子供がお金を使用したらリアルタイムで通知を受け取ったり買い物できるお店の設定ができる。
- ATMでの使用可否や引き落とし金額の上限設定ができるので、子供がお金を使いすぎるのを防ぐことができる。
- 子供がカードの紛失や盗難された時はすぐにカードを無効化できる。

子供のメリット

- 現金を持たずにデビットカードやApple Pay/Google Payでお買い物ができる。
- お手伝いをするとアプリ内で稼ぐことができる。子どものアプリ画面で毎日習慣にしてほしい「お掃除」などをお手伝いリストに追加すれば、親が子どものお手伝いを承認した分だけ、報酬がデビットカードに追加される仕様。
- 株式投資の勉強ができる。Morningstarによる分析や気になる企業の調査ができる他、親が許可すればApple(アップル)、Tesla(テスラ)、Microsoft(マイクロソフト)、Amazon(アマゾン)などの株にも投資できる。
- 利用できる最小年齢/最小残高に制限がないので誰でも使える。

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利用料金

最初の1ヶ月は無料で、その翌月からは以下のプランを利用できます。

■Greenlightプラン_4.99ドル/月

- 最大5人まで子供用のデビットカードが発行できる
- 教育アプリの利用
- 貯金、入出金管理、お小遣い付与などの使いやすいツールの利用
- ペアコントロール機能の利用
- 1%/月の利子を得られる。子供はウォレットに資産を保有しているだけで毎月1%の利子が付与される

■Greenlight Investプラン_7.98ドル/月
Greenlightプランの機能に以下が追加されます。

- 子供の株式投資。手数料無料で1ドルから投資可能。両親が取引を承認する必要あり
- 親の株式投資。親が子供の将来のために投資を行うこともできる

■Greenlight Maxプラン_9.98ドル/月
Greenlight Investプランの機能に以下が追加されます。

- 2%/月の利子を得られる。子供はウォレットに資産を保有しているだけで毎月2%の利子が付与される
- Greenlightカードを使用するたびに1%のキャッシュバックを受けられる
- ブラックカードの利用が可能
- 優先的に電話でのカスタマーサポートを受けられる
- 個人情報の盗難防止。家族全員の個人情報盗難の監視、警告、復元が可能
- 携帯電話の保護。破損、紛失、または盗難にあった電話番号の保護が最大5人の子供まで保護可能
- 購入保護。デビットカードが盗難または破損した場合の修理または交換が可能

スーパーボウルにCMを出していた

Greenlightは2022のスーパーボウルの放映権を取得し、7億円以上かけてCMを放映しました。

スーパーボウルとは、アメリカンフットボールリーグ『NFL』の優勝決定戦で、平均視聴率が45%を超えている超特大人気番組です。

スーパーボウルを日本プロ野球で例えるとパリーグとセリーグの王者が日本シリーズで対戦する構図とほぼ同じですが、NFLのプレーオフの各試合とスーパーボウルは全て1試合だけの1発勝負の純粋なトーナメント戦です。

この番組に投下されるCMというのは必然的に注目度も高いので、各社は毎年スーパーボウル専用のCMを作り、耳目を集めることに注力します。キャスティングや監督がスペシャルなだけでなく、その構成も凝ったものが多く、さながら“CM博覧会”の様相を呈しています。

推定ダウンロード数

Greenlightの推定累計ダウンロード数を調べてみたところ合計で約970万DLでした。

■iOS:約467万
過去6ヶ月デイリー平均:約4,000/日

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出典元:AppTweak

■Android:約302万
過去6ヶ月デイリー平均:約3,000/日

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出典元:AppTweak

1日平均だと7,000DLくらいで楽天銀行アプリと同じくらい新規でDLされていると推定されます。

ただ、日本で同じようなサービスがリリースされたとして、同様の勢いでサービスが広がるのでしょうか?それを考える重要な論点としてアメリカと日本の金融教育の違いを考察してみたいと思います。

アメリカと日本の金融教育の考え方

今までの日本とアメリカの金融教育の考え方について、次のような違いを感じる人が多いのではないでしょうか。

<アメリカ>

アメリカは個人主義が発達していることもあり、子どもに金融教育を学ばせるのは当然との理解がある。

<日本>

日本においては「お金=不浄のもの」「子どもの前でお金の話はしない」といった道徳心が一般的であり、金融教育が遅れている。

実際に、日本証券業協会が「中学校・高等学校における金融経済教育の実態調査」を行ったところ、中学校1~2年の金融教育に使っている時間は0時間という結果が出ています。

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出典元:中学校・高等学校における金融経済教育の実態調査報告書

しかし、ここ1年ほどの「金融教育」関連KWの検索ボリュームを調べてみた結果、日本の金融教育に興味関心を抱いている検索ユーザーが増えていることが分かります。

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出典元:Googleキーワードプランナー

■KW「金融教育」

2018年3月 Vol 480 → 2022年2月 Vol 2,900

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■KW「金融教育 義務化」

2018年3月 Vol 0 → 2022年3月 Vol 1,600

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また、2022年3月17日に金融庁から、高校向けの金融経済教育指導教材の公表について発表がありました。

2022年4月からの成年年齢引下げにより、18歳から、クレジットカードを作るなど金融に関する様々な契約を自ら行えるようになり、金融経済教育の重要性はますます高まっています。また、2022年4月からの高校学習指導要領改訂で、金融経済教育の内容が拡充されます。

引用元:高校向けの金融経済教育指導教材の公表について発表

2022年4月からの成人年齢引き下げによる法改正で未成年・成年の定義が変わるので、18歳になればクレジットカードを親権者の同意なしで作れるようになりました。(法改正前の18歳〜19歳でもクレジットカードの申し込みは可能だったが契約には親権者の同意が必要だった)

高校教育に金融経済教育指導を導入する必要性が高まってきたということですね。

日本にも子ども向け金融教育ベンチャーが誕生していた!

喜ばしことに、日本にも子供向け金融教育サービスが立ち上がろうとしています。

先日、「2022年夏ごろに株式会社MEMEとGMOあおぞらネット銀行株式会社が、子ども向けの金融教育サービスの提供を目的に業務提携した」というプレスを見つけました。

2021年3月31日に設立された株式会社MEMEがGMOあおぞらネット銀行の「かんたん組込型金融サービス」を採用して「manimo(マニモ)」という子供向けのデビットカードや支出管理ができるアプリを提供するようです。

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以下プレスの一部を抜粋したものです。

本サービスでは、親御さまからお子さまへおてつだいの依頼(タスク管理)、おてつだい完了時のおこづかいの入金、実店舗やECサイトでのデビットカード決済、お子さまのおこづかいの支出管理を実際に体験することが可能です。このデビットカード決済にご利用いただくデビットカードは、本アプリから子ども用のデビットカードの発行を申込することで、10歳以上15歳未満のお子さまにデビットカードを発行*します。そのため、実際に「働き(おてつだいをする)」、お金を「稼ぐ」「貯める」「使う」「管理」するといった一連の流れを実践的に体験できるのが特徴です。

親御さまはご自身のデビットカードを通じて、おこづかいやその他のお金をお子さまに送る事ができ、お子さまは現金の代わりに、自身の専用デビットカードと「manimo(マニモ)」アプリでお金を管理する力を養うことができます。口座に入っている金額以上の利用ができないというデビットカードの特長に加え、アプリから決済上限額の設定をさらに細かく行えるため、使いすぎを防止しつつ安心してお使いいただけます。

出典元:子ども向け金融教育ベンチャーMEMEとGMOあおぞらネット銀行が業務提携

サービスローンチは2022年夏ですが、サービスサイトはすでに公開されており、manimoの特徴も書かれていました。

1.ゴールに向かって貯金できる!
2.進んでお手伝いをするように!
3.デビットカードでまとめて管理!
4.シンプルで使いやすい!

日本版Greenlightになっていただき日本の金融教育を変えてくれることに期待です。

さいごに

わたしは、金融教育とテクノロジーを通じて子供のマネーリテラシー向上に貢献したい気持ちがあります。

きっかけは、子供のころの劣等感です。実家は裕福な暮らしではありませんでした。(私を一生懸命育ててくれた両親には大変感謝しています)

友達の塾や家庭教師・習い事への参加、友達の家にある漫画やゲームの数々、友達のお弁当の中身など、常に友達と自分(の家庭)を比べてしまっては「ぼくの家は貧乏なんだな」と、よく勝手に気分が落ち込んでいました。また、「とりあえずお小遣いはすべて貯金しなさい」「将来は安定的に収入が入る公務員になったほうがいいよ」と教えられ、「これが生きるための秘訣なのか!」と勝手に信じ、「お金を貯める、稼ぐ、使う目的とは何か?」という本質的な問いについて考えることに気づけませんでした。

ただ、20歳を過ぎて会社員として税金を支払い、生活費を自分で稼ぐようになると、真剣に将来について考えるようになります。

さらにインターネットも普及しているため自分で資産運用の始め方も調べられます。

市場価値が上がり投資も始めるようになった頃には「投資で複利運用すれば貯金以上のリターンがあること」「資産に少しでも余裕があれば人生の選択肢が増えること」を実感しました。

働く・食べる・買う・見る・聴く体験など、ITの恩恵を受けた現代人は昔よりも多くの選択肢を取るチャンスがある。選択肢を増やす手段としてお金が必要で、自分の欲求や想い、希望を叶えるための選択肢を広げてくれます。

その選択肢を増やすためには未成年のうちからお金の価値・働く価値・資産運用・税金との向き合い方などを知っておくことで"なんかカッコいい大人"になれるのではなと思ってます。


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