暗い杜(もり)

第1章

 空は灰色で、雲が低く垂れ込めてる。そこは、どこか遠くの記憶に残る幼少期の風景である。私は小さな足で湿った土の上を歩く。どんよりとした記憶を思い出しながら、今日も生きる意味を探しているうちに、午後4時をすぎてしまった。

 8月の雲ひとつない青空は、私に何か訴えかけているのだろうか。それとも私のことを惨めに思っているのだろうか。誰もいないこの海沿いで私が今から何をしようとも誰も気にしない。少なくとも家族は気にしないであろう。それともどこからか僕のことを監視、いや見守ってくれているのだろうか。そう願えるほど私は夢見心を持ち合わせてはいない。
 幸いにも、連絡をいまだに取ってくれる友人は数名いる。彼らの言葉は、信じるに値するのであろうか。信じたいのはやまやまだが、信じることは私の中では最も難しい。

 1人孤独を感じながら、強く生きねばならぬ、と言い聞かせ、必死に生きる理由を探すも、そう簡単には見つからない。いや、23年間も探しているのにも関わらず見つかっていない。このまま、私が死ぬまでに見つかるのだろうか?理由は見つけるのもなのだろうか?生み出すものなのだろうか。

 なぜこんなにも複雑になったのかは、今後自分の心と相談しながらゆっくりと話していきたい。

#小説

 
 
 


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